ハレ便り2018


ドイツの天気



 この夏の日本の猛暑はインターネットで伝え聞いている。ここではドイツの状況をお伝えしたい。5月15日にこちらへ来て、最初の1週間は寒く、ジャージのようなものを買って部屋で着ていた。その後3週間くらい30度近い気温が続き、うんざりしていた。この時期、日本から持ってきた半袖の下着では暑すぎるので、ランニングシャツを買った。6月半ばになると一変して涼しくなり、6月12日16時の気温は20度であった。7月2日のメモによると、15時の気温が24度。お昼時に墓地を散歩したが、涼しくて実に気持ちがいいと書いてある。7月6日は風が冷たいとある。7月24日15時45分の気温が31度。この頃から第二陣の熱波がドイツにやってくる。メモとして書き留めていたものはいつしか日記風になり、インターネットで調べたハレ(晴れではない)の午後の気温をずっと書き記すようになった。
 7月25日、ゾルムス先生の車でゲッティンゲンに行った。現地はとても暑く、帰り道車の温度計は外気温35度を示していた。以下、毎日調べた午後の気温をまとめて記したい。
7/26(32度)、7/27(30度)、7/28(32度)、7/29(26度)、7/30(33度)、7/31(36度)、8/1(27度)、8/2(27度)、8/3(30度)、8/4(32度)、8/5(25度)、8/6(27度)、8/7(35度)、8/8(34度)、8/9(33度)
 7月31日のインターネットのニュースによれば、ハレが属しているザクセン・アンハルト州のBernburgという町で14時の気温が39,2度に達したという。8月7日、私は北側にある台所のテーブルにパソコンを移して作業していた。しかし窓を大きく開けても熱い空気が入ってきて何の意味もなかった。腕からにじみ出る汗で作業中の紙がぬれてしまう。エアコンのなかった若い時分、風通しのいい北側の部屋にちゃぶ台を持っていき、タオルを腕に巻いて上半身裸で勉強していたのを思い出す。日記には「最後の牙城であった台所もだめか」とある。エアコンのないドイツではこうなると逃げ場がない。しかし就寝時、部屋の窓を開けて寝たのはこの夏3日だけで、あとは閉めきった部屋で寝ていた。
 ドイツでも連日異常な暑さが話題になっていたが、熱中症の心配よりも毎日テレビの画面に踊っている文字はDürre(干ばつ)であった。農作物の被害が大きく、政府は農家を救済するために国家予算を投入することを決定した。この猛暑も8月10日以降、後退した。
8/10(24度)、8/11(23度)、8/12(25度)、8/13(不明)、8/14(22度)、8/15(24度)、8/16(28度)、8/17(29度)、8/18(24度)、8/19(28度)、8/20(24度)、8/21(23度)、8/22(28度)、8/23(33度)、8/24(22度)、8/25(21度)、8/26(20度)、8/27(22度)、8/28(24度)、8/29(27度)、8/30(18度)、8/31(20度)、9/1(22度)、9/2(16度)
 8月25日ごろから予想最低気温も調べ始めたが、11〜15度が多い。ここに至ってようやく日本からうらやましがられるようなドイツ本来の天気に戻ったと言える。外へ出るときは長袖Yシャツにジャケットを着て出る。室内ではジャージの上着を羽織る。ドイツ人がなかなかエアコンを導入しないのは、ちょっとがまんすればまもなく涼しくなるという意識があるからかもしれない。しかしこの夏は少しこたえたのか、テレビでは今後夏対策を考えなければならないと言っていた。
 最後に言葉について。暑い日、まわりでよく聞こえてきたのはwarmという言葉だった。かなり不快な暑さのときでもwarmを使っている。warmは「暖かい」と訳すことが多い。「暖かい」は「ほのぼのとした」「ほんわかした」というイメージがあって、マイナスの意味には使いづらい言葉である。warm=「暖かい」と考えるのは間違いなのかと思っていたところ、テレビで「昨日はwarmという言葉を使ったが、今日はheißを使う」といったことを言っていた。つまりもっと暑くなるということである。やはりwarmの上にheißがあるようだが、よほどの暑さにならない限りwarmを使うのかもしれない。