ハレ便り2018


テレビ番組



テレビ番組(平日)
 テレビは楽しみの一つである。朝はARD/ZDFの情報番組Morgenmagazin(略してMoma)を見ながら朝食をとる。9年前からなじみのキャスターもいる。スポーツ担当のPeter Großmannは22年前のハイデルベルクですでに見ていた。ニュース、天気予報、スポーツが30分おきにあり、その間にさまざまな話題を取り上げている
 昼は13時過ぎから14時ごろまで、アメリカのドラマCastle(放送局はKabel Eins)を見ながら昼食をとることが多い。というよりCastleを見たくて、できるだけ家で食事をしていると言ったほうがいいかもしれない。他の多くのドラマと同様、Castleも再放送で、日本で毎日午後に「水戸黄門」や昔のサスペンスドラマを放映しているのと同じである。作家であるがその推理力を買われて警察に協力しているCastleと敏腕女刑事Beckettをめぐる刑事ドラマである。最初見たときはシリーズも後半のほうで、二人はいい仲になっていたのだが、最終話まで来たあと、なんとシリーズ1に戻って放送し始めた。BeckettがCastleをうさんくさそうに見て距離を置いているのがおかしい。Castleには最初の妻との間に生まれた娘がおり、シリーズ後半ではきびきびと働く大人の女性だったが、シリーズ1に戻ったら16〜17歳の学生で幼さが残っている。他の俳優はシリーズを通してさほど変わっていないが、やはり若い人の成長は著しい。
 9年前は昼から夕方までRTLIIという放送局で毎日日本のアニメをやっていて、それが勉強を妨げていたのだが、今はやっておらず、14時にはテレビを消している(ドイツで日本のアニメへの熱が冷めたのであればちょっと心配)。
 夕食時に見るのは18時5分ごろから18時55分ごろまでのSOKOシリーズ(ZDF)である。Sonderkommissionの略で特別捜査班とでも訳すのだろうか。SOKO 5113(SOKO Münchenとも言う)(月)、SOKO Köln(火)、SOKO Wismar(水)、SOKO Stuttgart(木)、SOKO Kitzbühel(金)、SOKO Wien(土)。これらも再放送である。特にSOKO Wienは2011年のものを放送しており、2009年に見ていた登場人物と変わりないのでなつかしい。正直Castleも含めて、テレビドラマは1〜2割しか聞き取れていない。それにもかかわらず毎日食い入るように見ているというのも不思議である。
 ドイツ各地の放送局が競って製作しているTatortというシリーズがある。このタイトルを初めて見たとき、「タトルト」とは何ぞやと思った。ハレ便り「デモ行進で路面電車動かず」でRathausを「ラタウス」と読むのと同じ過ちを犯したことになる。カタカナでは書きにくいが「タートゥオルトゥ」(犯行現場)である。Tatortは私には内容的に重苦しいものが多く、9年前はよく見ていたが、今回はほとんど見ていない。逆に食事以外のときでも必ず見るのがAlarm für Cobra 11である。番組冒頭からお約束の派手なカーチェイスがあり、車が宙を飛び、ぐしゃぐしゃに壊れる。そのあとようやく話が始まるのだが、カーチェイスとアクションシーンが随所にあり、飽きさせない。こうした痛快活劇は聞き取り能力をさほど要せずにのめり込めるのである。ドイツのドラマでありながらハリウッド映画のようなところがある。Tatortとは対極にあると言えるかもしれない。
 スウェーデンとの合作でDer Kommissar und das Meer(直訳すると警部と海)という番組があり、不定期に放送される。このドラマで興味深いのは法医学者の役割を担っている女優Inger Nilssonである。Pippi Langstrumpf(長くつ下のピッピ)でおなじみであるが、50歳台の彼女とピッピとの落差に相変わらず驚きながら見てしまう。


テレビ番組(週末)
 土、日の朝、ARD/ZDFはずっと子供向けの番組をやっている。土曜はPaula und die  wilden Tiere(パウラと野生動物)、Anna und die Haustiere(アンナとペット)。女性が専門家の話を聞きながら動物の生態をつぶさに観察する。そのあとに来るChecker Tobiは最近見始めた番組で、男性のTobi(< Tobias)が毎週決まったテーマ(ドラゴン、電車、水泳、キャンピング等々)を紹介する。ここまではARDで、ZDFでは最近までPippi Langstrumpf(長くつ下のピッピ)を見ていたが、今はラッシーというアニメになったので見ていない。それにしてもピッピは繰り返し放映され、永遠に子供たちを楽しませる存在になっている。
 日曜の朝はARDで7時5分から8時5分までTigerenten Clubを見る。タイトルはイラストレーターのJanoschが描くトラ縞のカモに由来する。番組では学校の生徒たちが2チームに分かれてゲームやクイズなどで競う。ハイデルベルクにいた1996年にすでに見ていたが、この年に放映が始まったらしい。8時台はZDFのLöwenzahnを見る。毎週特定のテーマを取り上げる教養番組だが、物語仕立てになっている。Fritz Fuchs(役名)と犬のKeks、そして知人たちとのやりとりがさわやかで楽しい。これに続いて前任者のPeter Lustigの演じていたものがLöwenzahn Classicsとして再放送されている。記憶が薄れてしまったが、ハイデルベルクで見ていたのはこちらである。
 日曜はアメリカの刑事ドラマCriminal Intent(放送局VOX)を見ながら昼食をとり、夜はBBC制作の刑事ドラマDeath in Paradise(ZDF NEO)を見ながら夕食をとる。ここで突然大家さんに登場してもらうが、彼女はアメリカのドラマを見ると、ドイツと違う物や背景に目が行くという。私の場合、アメリカ人がドイツ語を話していてもまったく違和感がなく、吹き替えであることを忘れている。たまに英語の文字が映し出されたとき初めて、ああドイツではなかったんだと気づく。それにしてもTatortのようなものを見ずに、アングロサクソン系のドラマばかり見ている私は、ドイツ語教師としてあるまじきことなのだろうか。ゾルムス先生と映画の話をして、私は007、ターミネーター、バイオハザードといった映画を列挙していくと、先生からは「私はそういうのは見ないんだ」と一蹴される。名画座専門なのかな。またあるとき私が「今日は(サッカーの)ワールドカップを見なければなりませんね」と言うと、彼はワールドカップには興味はないんだと答えて、私をうろたえさせた。う〜ん、どういう人なんだ。だんだん私が俗人の極みに見えてきた。あるとき私がTigerenten Clubを好きで見ていると話したら、先生がまわりの人たちに「おい、みんな聞け、工藤がTigerenten Clubを見てるんだとよ」と叫ぶ。子供番組なんか見てという含みがあるが、NHKの「おかあさんといっしょ」とはわけが違う。
 日曜が過ぎるとまたMorgenmagazin、castle、SOKOの一週間が始まる。