ハレ便り2018



滞在許可をもらう



 ドイツに3ヶ月を超えて滞在するには許可がいる。いわゆるビザを取得しなければならない。これを扱うのは国の役所ではなく、市のようだ。あらかじめゾルムス先生がハレ市と連絡を取り、面談の日を決めてくれた。担当の係員はKokottと聞かされた。彼は9年前、私にビザを発給してくれた人だ。その個性的な名前ゆえ、聞いてすぐ思い出した。これはラッキーだ。指定された6月19日、かなり早く家を出た。大丈夫だとわかっていても、滞在許可をもらうという行為には独特な雰囲気があり、遅刻してはいけないといった思いが緊張感を高めている。市役所は中央広場にあるが、ビザ関係の部署(AusländerbehördeまたはAbteilung Einreise und Aufenthalt)はハレ・ノイシュタット地区にある。ハレ西部にあるハレ・ノイシュタットは旧東ドイツの面影を残していると言われ、当時のベトナムとの関係からか、「ハノイ」ともあだ名される。ここは治安の悪さがよく指摘されるのだが、大家さんはうなずくと同時に、地区全体というわけではないと言う。ハレ市民としてはそうアピールしたいのだろう。
 午後1時の約束だが、12時前に着いてしまった。ちょうど草木が広がっているところにベンチがあり、すわって時間を過ごした。この辺は東独時代の名残であろう、高層の建物がたくさんあり、市の建物もその一つである。12時45分に建物に入り、面談の予定があることを告げ、指定されていた1番の部屋の前で待った。13時に部屋をノックして入ることを頭の中で何度も予行演習していたのに、Kokottさんは外からやってきて、ドアを開けてくれた。「再び会えてうれしいです。9年前もここでお会いしました」と私は述べた。彼もわかっていたようだ。別の職員が入ってきて、ファイルを置いていった。9年前のファイルである。こういうところはしっかり管理している。ゾルムス先生からハレ市宛の手紙も渡し、話はスムーズに進んだ。パスポート写真も渡した。今は身分証明書のようなカードを発行するのだが、わずか4ヶ月の滞在なので、昔ながらのラベル(Etikett)にすると言って、ラベルを作成し、パスポートに貼り付けてくれた。これがビザである。9月9日にドイツを発つと言ってあったのだが、9月10日まで有効にしたとのこと。「ありがとうございます。ベストを尽くします」なんて言葉を発して部屋を出た。そんな大袈裟なと思われるかもしれないが、滞在許可をもらうというのは大きな出来事なのである。手数料は前回は50ユーロ。あのときは賄賂を要求されたかと思ったが正当な手数料だった。今回、事前に用意するものなど、詳細が記された資料をもらっており、それによると手数料は100ユーロ近い。9年で倍に跳ね上がったかと覚悟していたら、56ユーロと言われた。20分ほどの面談であった。
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1:広々としているからか、寒々しい感じがする。
2:1と同じ建物
3:1, 2とは別の高層建築
4:外国人課が入っている建物
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