関西大学文学部英米文化専修 小林剛研究室

Department of Cross-Cultural Studies, Faculty of Letters, Kansai University

フランスでの国際ボランティア体験記/外越真衣

1-1.jpgみなさん、こんにちは。そして、はじめまして。私は、英米文化専修、小林剛ゼミの第5期生の外越真衣です。

私は、去年の夏、CIEE主催の国際プロジェクトに参加し、フランスへ行ってきました。関大でも説明会が行われたので、知っている方もいるかもしれません。このプロジェクトは、各国でボランティア団体が参加者を集め、その後その国のボランティア団体に委託するという形式で行われました。フランス大使館、ドイツ大使館などが後援についていたため、他の国に比べ、フランス、ドイツのキャンプ数がとても多かったように思います。私がこのプロジェクトに参加したきっかけは、将来漠然と国際ボランティアにかかわる仕事がしたいと考えていて、また「国際ボランティアってどんなもの?」という思いからでした。

私が参加したワークキャンプは、Rhone-Alps地方のSt Jean en Royansという最寄りのValence駅からバスで1時間くらいの田舎町でした。このキャンプに参加していたのは、フランス人3人、スペイン人1人、韓国人1人、セルビア人2人、ロシア人2人、そして日本人3人でした。期間は3週間で、町の会館に泊めてもらい、自炊でした。最初にワークキャンプと書きましたが、正直、それほどワークがハードという感じではなく、午前中に働いて(公共施設のペンキ塗りなど。そんなに大変ではなかったですが・・・)、午後からはフリーかアクティビティへの参加(強制ではなく)でした。これは、国やワークキャンプ、またはリーダーさんによって大きく異なるそうです。今まで、他のキャンプに参加したことのある人によると、1日8時間ほど働いたところや、アクティビティは全くなかったところもあるそうです。また、リーダーさんいわく、その国のボランティア団体の規模などにもよるところが大きいそうです。日本より海外の方が比較的裕福な団体が多いそうで、ここの団体もそうで、食費や宿泊費などは負担してもらいました。リーダーさんには、日本では良いことをしてるって思ってやっていないと続けられない、NGOに就職したいなら給料もいいし、海外の団体に就職した方が良いと言われました。これは、国の援助によるところが最も大きいそうですが、多くの人がボランティアを身近に感じていることも関係しているそうです。しかし、彼女が他の団体主催のアフリカのキャンプに参加したときには、白人や日本人だということで、いろいろお金を払わされたというようなことがあったそうです。

1-2.jpgここに参加したことで、ボランティアに対する考え方は大きく変わりました。私は最初にも書いた通り、ボランティアに興味があって参加しましたが、このキャンプに参加した理由は、みんな様々でした。普通に旅行するより安く旅行できるから、語学の学習のために、フランス人の子は学校からとか親に申し込まれてなど、想像もしていなかった理由もありました。また、働きたがらない人もいれば、日本人の子は思っていたのとは違うと言って、1週間ほどで帰ってしまうし、ロシア人も終了の3日ほど前に、帰りのバスのチケット買ってあるからと言って途中で帰ってしまいました。正直、国際ボランティアって名前がついているぐらいだからボランティア精神あふれる人が来るんだろうなぁと勝手に想像していたのですが、全く違って本当に驚きました。確かに、フランスは発展途上国ではないし、国際ボランティアをやるために選択する国ではないでしょう。でも、発展途上国以外で海外からのボランティアを募ってワークに参加させたり、そのワークも形だけで全然大変じゃなかったり、宿泊費など一人一人にかなりのお金がかけられていたり、途中で帰れたり、何のためにこんなことをしているんだろうと何度も思い、考えました。そこで、私が出した結論は、地域活性化とボランティア精神の定着という2点です。ガイドブックにも載っていないような、少し過疎が進んだ田舎町で、何かやってもらうことよりも来てもらうことに意味があるのではないか、と思いました。前後に旅行をする人がほとんどで、観光地への誘致も同時に行うことも出来ているんだと感じました。また、宗教についての話をする機会もあり、キリスト教の影響力はすごいなと思いました。日曜日に教会に行く人も、食事の前に祈る人もいませんでしたし、逆にキリスト教を批判し、やめたという人もいましたが、ボランティアについての考え方には、キリスト教的な考えが根底にはあるのではないかと感じました。フランス人の子は自分の意思で来たわけではありませんでした。学校や親がボランティアに参加することを教育に利用しているのかと思い驚きました。日本でも、最近中学校や高校でボランティア活動によって単位を認められたりということもありますが、定着しているわけではありません。フランスでしっかり定着しているのだとすれば、また多くの人がボランティア活動に参加することを当然と考えているのであれば本当にすごいことであると思います。こういう形で行われるボランティアもあるのかと知り、自分の狭い世界観と常識に気づき、考え直すきっかけとなりました。

様々な人々と出会い、話すことによって、視野や世界観を広げることができ、また、ボランティアとは何か、と深く考えることができました。旅行よりもいろいろな経験が出来て、本当に楽しかったです。ボランティアって何だろうとか、何かその国のためにやってみたいなどと思っている方には、自分の考え方を見つめなおすきっかけになるのではないか、と思います。

2008-02-22 (Fri) | Comments (0)

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