語学留学体験記/宮内さやか
初めまして、こんにちは。文学部英米文化専修、小林剛ゼミ第6期生の宮内さやかです。私は、去年の6月から今年2月まで約8ヶ月間、カナダのトロントに留学しました。私のとった留学方法は、1年間大学を休学して語学学校に通うという私費留学です。私は、とにかく格安で留学したかったので、留学エージェントを通さず、語学学校の申し込み、航空券の手配等すべて自分で手続きしました。語学学校の申し込みはもちろん英語で行われますが、それ程英語力がなくても出来るものです。
8ヶ月間という短い期間ではありましたが、かなり内容の濃い8ヶ月間になりました。皆さんの中にも「ある期間留学すれば英語が流暢に話せるようになる!」と思っておられる方がたくさんいると思いますが(私も留学する前にそう思っていました)、しかし、これはそう甘い物ではないという事に気づきました。確かに留学して真面目に勉強すれば語学力は伸びます。しかし、母国語でない言語を習得するとなればかなりの時間と努力が必要です。留学してもっとも大事なことは、どれだけ英語に触れるか、英語の勉強をするかということです。留学しても、日本人と過ごし、日本語を話すようでは当然のことながら決して英語力は伸びません。私は、お金と時間を使いカナダに来た以上、「日本語を忘れてやる!日本で経験出来ない事を出来るだけ沢山吸収してやる!」という気持ちを強く持ちました。日本ではいつもiPodでJ-Pop を聴いていた私も留学中は洋楽に、日記や手帳もすべて日本語から英語に切り替えました。自分自身を日本語の環境から出来るだけ英語の環境に置きました。
ここからは、私が留学中に体験して感じたことを述べたいと思います。まず、何人かの人(特に日本人)に見られがちなのが、自分の英語力に自信がない、シャイな性格のせいか、英語を話さない(授業中何も発言せず、黙っている)ことです。これは、語学(スピーキング力)を習得する上で一番悪いパターンです。英語を話して、話して、話しまくってスピーキング力は向上します(自分の間違いを指摘してくれる人がいれば尚更良いのですが)。もし本当にスピーキング力を向上させたいのであれば、とにかく初めは間違えを恐れずに話すことです。出来れば英語を母語とする人の方がいいのですが。アジア人は文法にかなり重点を置いて話そうとします。というのも、アジア人の英語教育は文法にかなり重点を置いている、また、間違え=恥ずかしいという観念があるので完璧な英語を話そうとするからだと思います。確かに、文法は大切です。しかし、私のように留学経験もなく、英語を話せないという人は、始めは文法をあまり気にせず、英語を口に出すことが一番大切だと思います。頭では英語を理解していても口に出すと間違ってしまうということがよくありました。英語を口に出すにつれて次第に自分の間違いにも気づいてきます。そしてこれに対して、メキシコやブラジル等、南米の人達やヨーロッパの人達はあまり文法を気にせずとにかく話します。彼らの英語教育は(ヨーロッパは分かりませんが)文法よりも話すことに力を入れているそうです。そして、文法についてですが、私が今まで中学、高校と日本で習った文法と語学学校で習った文法は幾分違いがありました。
私は留学中、日本の英語教育について考えたことがあり、日本の英語教育はあまり意味がないのでは・・・と思いました。何のために英語教育は存在するのでしょうか。英語教育が存在するそもそもの理由はやはり「国際化が進展する中で、コミュニケーションを図るため」なのではないのでしょうか。しかし、ただ中学、高校と6年間英語教育を受けた人のどれくらいの人が英語を話すことが出来るのでしょうか。かなり少人数だと思います。確かに私たちは文法やリーディングには強いかもしれません。しかし、スピーキングやリスニングはかなり劣っているように思えます。英語を話せず、どうやってコミュニケーションを図るのでしょうか。日本の英語教育は英語を習得する上で十分だとは思えません。リスニングやスピーキングをも英語教育に取り組むべきだと思います。今、お隣の韓国で"English town"というのがあります。このEnglish townでは韓国語は一切禁止でEnglish onlyの町だとか。私は全般的に日本人に比べ、韓国人は英語を勉強する意識がかなり高いことに驚きました。私の友達の大学は卒業条件の1つに「TOEIC900点取得」とあるそうです。私は合計2校の語学学校に通ったのですが、どちらの語学学校も韓国人が圧倒的に多く、彼らに色々話を聞いたところ、「英語が出来る=いい仕事に就ける」だそうです。大体の韓国人が大学を1年休学して海外へ英語の勉強に行くそうです。このパターンが今や当たり前だそうです。私は英語習得がすべてだとは思いませんが、韓国人はかなり英語に対する意識が高い、勉強熱心だなと驚き、ある意味感心しました。
そして、留学先で日本人同士英語を話す人が何人かいますが(私もそうでしたが、笑)、正直私は日本人同士で英語を話してもあまり意味がないと思います(日本語を話すよりはましだとは思いますが)。なぜなら、一般的に私たちは同じ発音上の問題を抱えていますし、英語が多少間違っていたとしても、日本人的な感覚、価値観が同じためか、言いたいことが伝わりやすいからです。そして、韓国人や、中国人、特に韓国人の人に対しても同じことが言えます。アジアという同じ地域にいるせいか、日本人同士程ではないのですが、こちら側に対してもやはり日本語と韓国語(ハングル)の発音が多少似ているせいか(!?)、理解しやすいのだと思いました。例えば、私が経験した1つの例として、"pottery"という語を韓国の友達に言った時、その人は直ぐ理解出来ましたが、これをHSのカナダ人に言った時、彼らは直ぐには理解してくれませんでした。他にも、韓国人の友達が"Phoebe"とカナダ人に言ったとき、私は直ぐ理解できたのですが、カナダ人は理解出来ませんでした。こういった経験を何度かし、アジア人の発音はヨーロッパや南米の人達の発音に対してやはり似ている部分があるのだと思いました。逆に、ヨーロッパの発音、南米の発音に対しても同じことが言えると思います。少し話が逸れるのですが、ヨーロッパにはフランス語、ドイツ語、スペイン語と様々な言語があります。フランス人の友達がフランス語で話していた時、私は全く理解できませんでしたが、その場にいたスペイン語を母国語とするメキシコの友達は彼らが話している事を何となくですが理解していました。彼に聞いたところ、彼はフランス語を話せないし、ましてや学んだ事もないのだとか。ただ、発音が微妙に似ているせいか彼ら達はお互いなんとなく理解できるのだと。その事を聞いた時、彼らが羨ましくなりました(笑)。
私がこの8ヶ月間で学んだことは英語だけではありません。海外に8ヶ月間暮らし、世界中の様々な人々に出会い、様々な体験をしたことで自分自身の視野がかなり広がり、色々考えさせられもしました。例えば、私は英語の習得だけで苦労しているにもかかわらず、私がカナダで出会った人はマルチリンガルの人が多く、そんな視点から自分を見ているとちっぽけなような気がして、私も日本に戻ったら、もう1ヶ国語挑戦しようかと思いました。私の友達の中には5ヶ国語話せるという人もいました。
留学する主な目的はもちろん言語の習得だと思いますが、それと同じくらいこれは様々な経験が出来る絶好の機会だと思います。留学して一番大切なことは、「最後まで自分の意思を貫き通すこと(なぜ留学したのか!?)、そして自ら行動を引き起こすこと」だと思います。これは、留学だけでなく人生においても言えることなのではないでしょうか。海外でただ単に語学学校に通わなくても英語を勉強する方法はたくさんあると思いました。例えば、現地の人々と一緒にボランティアするとか習い事に通うとか。私自身、語学学校で習ったことをもちろんその日その日きちんと勉強しましたが、それよりも学校帰りにスーパーなどに行き、店員さんに話しかけるとか、家でホストファミリーと話をするとか、学校やカナダ人の友達と遊ぶ、ただ机の上での勉強よりもこういったこと、実践した方が身につく!!と思いました。だから私はなるべく生の英語に触れるため、よくカフェで勉強をしたりしました。というのも、カフェだと図書館と違って人々の会話を聞く、英語を耳にすることが出来るからです。しかもたまに話しかけられたりもするものです(良い会話の練習になりました、笑)。そして「相手の言ったことを真似する!」と言う事も大切です。幼児が、言語を習得する過程は、まず、相手の言うことを聞くというリスニングから始まり、そしてそれを今度は真似して発言する。母国語でない言語習得もこの過程に似ているのではないでしょうか。私は帰国前の最後の1週間は、帰国前にしてただ単に語学学校に通うよりも友達と留学最後の良い思い出にもなり、逆に英語の勉強になるのでは?と思い、語学学校をサボって留学中仲の良かった韓国の友達とニューヨークに行きました。ニューヨークでハプニングがありましたが、何とか2人で乗り越える事が出来、今では留学中の良い思い出の1つであります。本当に自分の工夫次第で海外で言語を習得する方法はいくらでもあります。
長々となりましたが、本当に留学はただの語学習得だけではなく、様々な体験、新しい自分発見や視野を広げる良い機会になるので、皆さんも何かチャンスがあればぜひ体験して欲しいと思います。