関西大学文学部英米文化専修 小林剛ゼミ

Department of Cross-Cultural Studies, Faculty of Letters, Kansai University

リンク:SNS

7.SNS
・エジプト
エジプト反政府デモはtwitter革命やfacebook革命と呼ばれるほどSNSからの多くの情報発信が行われ、大規模な運動へとなりました。
“ネットで呼びかけネットが伝える『1.25エジプト革命運動』デモのライブ中継も”
ガジェット通信(東京産業新聞社※紙を使わないニュース配信を行う新聞社)
http://getnews.jp/archives/95474

国の政治・経済を変容させ得る革命運動において、SNSを介して国内外から支持者が集まり実際に行動を起こしたという、グローバルなSNSの持つ可能性を示した最たる例です。
この革命自体はもちろんですが、この記事のようなネット上の新聞社などのメディアが、海外の情報を日本国内に発信する、もしくは個人的にも見ることが出来るようになったこともグローバル化のひとつの例です。

このような「情報のグローバル化」のプラス面としては、たくさんの人間が情報を受け取ることができるようになったこと、
またマイナス面として、信憑性に欠ける情報が多くあることが上げられます。
その上テレビや新聞などに比べ、SNSは情報の受け手が限られており、かつSNSを利用していなければその情報は入ってこないという点も指摘できます。
しかしエジプト革命運動の例のように、SNS上で発信された情報がテレビ・新聞に広まった現象もあり、メディアのグローバル化が示された出来事だと言えます。


・アメリカ
2010年ハイチ地震後、アメリカ赤十字社は、mobile accordという会社のmGiveというモバイル専用の募金促進アプリケーションを利用して救済募金活動を行っています。
利用者は、「90999」宛に「HAITI」と送ると、通信料の請求時に募金として10ドル加算されるという仕組みになっています。地震発生5日後に、200万ドル集まりました。(下記のサイトの要約)
ハイチ震災で再び示された「災害時のツール」SNSの実力(2011/07/23)
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100121/1022308/

メリットは、利用者が簡単に、また小額でも募金ができることです。
東日本大震災後では、GoogleやYahooの決済サービスを利用しての募金活動が行われています。ネットを利用しての募金は便利です。
しかし、詐欺目的の募金サイトが表れ、その情報がTwiiterやSNSで出回る等のデメリットがあります。信頼できる情報かを見極める力がなければ被害を被る可能性があるのです。


・韓国
韓国K-POPブームについてです。
K-POPブームの原動力はフェイスブックやユーチューブを使ったSNSだと分析されています。K-POPアーティストの歌とダンスはYouTube等の動画共有サイトを通じて紹介され、FacebookやツイッターといったSNSによって広がります。こうして海外のファンを獲得していくようです。

http://japanese.joins.com/article/753/140753.html?servcode=100§code=120

http://japanese.joins.com/article/754/140754.html?servcode=100

韓国のSNS普及率はアメリカを抜いて世界第一位です。韓国は、SNSによるグローバリゼーションにおいて最も注目すべき国の一つなのかもしれません。

・日本、その他の国々
mixi、中・韓の最大手SNSと連携(2011/07/23)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1009/10/news083.html

ミクシィ、ドイツの SNS 大手 Vznet とソーシャルアプリのプラットフォーム共通化で合意(2011/07/23)

http://japan.internet.com/busnews/20110121/3.html
最初の記事は日本のSNSであるmixiが韓国や中国のSNSサイトと提携したことについて、後の記事はドイツのSNSサイトとソーシャルアプリのプラットフォーム共通化をすることに合意したことについてです。
これにより、アプリの提供側はSNSごとにアプリをカスタマイズする必要なく、世界市場で提供できるようになるようです。日本の会社が開発したアプリが世界に進出し、反対に海外のアプリがmxiなど日本のSNSに入ってくるようになると考えられるので、SNSのグローバル化と言っていいのではないでしょうか。


さらに、Facebookを利用した就職活動もグローバル化の影響でしょうか。Facebookのアプリケーション「コネクションサーチ」を利用して、学生にとっては、志望業界で働くOBOGと知り合い情報を得ることができるのがメリットだそうです。楽天の「みんなの就活日記」も情報共有という点では便利ですが、「日記」とあるように情報が主観的な感想である場合がある点がデメリットだと思います。
また、ネットを利用して会社説明会を開く企業も増えてきています。距離という障害をなくし、より多くの有望な学生にその企業に興味をもってもらえるというのがメリットです。


これらのように、SNSのグローバル化やその浸透が急速に進んでいることを示す例はたくさんあります。しかしながら、多くの国々で多くの人々に受け入れられている文化が、ある国では根付かないという事例もあります。
例えば、世界中に多くのユーザーを持ち、現在日本でも徐々に浸透しつつあるFacebookです。以下の記事には「日本人は、個人よりも集団を重視する傾向が強いために、誰にでも見られる可能性のあるfacebookは広まりにくい。ある文化が異なった国で受け入れられるには、国の特性を理解して変容させることが必要である。」といった意見を数字とグラフを用いて解説しています。

http://jp.techcrunch.com/archives/20080803taking-social-networks-abroad-why-myspace-and-facebook-are-failing-in-japan/(2011/07/23)


グローバル化が進み、SNSはより身近になり気軽に使えるようになってきています。そうであるからこそ、SNSの持つ影響力と浸透性を知り、メリットだけでなくデメリットも把握することが大切なのではないでしょうか。

Posted by yui| 2011-08-03 (Wed)