関西大学文学部英米文化専修 小林剛ゼミ

Department of Cross-Cultural Studies, Faculty of Letters, Kansai University

グローバリゼーション3

具体例で見るグローバリゼーション
グローバリゼーションの概要についてはわかりましたか?
それでは次に「米」を例に、グローバリゼーションの枠組みで見て見ましょう。

1.米
1-1.日本の農業の歴史と現状
1961年に農業基本法が制定され、日本の農業の近代化による生産効率を上げることにより、工業の生産額に追随することを目標としました。そして都道府県や市町村別に生産品目を定め、地域専業を推し進めました。その後、経済成長に伴い、農業経営の規模拡大、農地の集団化、機械化、農地保有の合理化などによる農業の近代化を目指しました。それにより、金融、政府による助成等、農家にとって「カネ」や「政府」との関係がより一層深くなりました。
また、農家の高齢化は進む一方です。農業を行うための資金の融通などの対策が政府によって取られているが、総務省発行のデータによると、農業就業人口に対する高齢者(65歳以上)の比率は、1990年の50.5%に対して、2008年は70.3%にまで上昇しているのが現状です。
もし仮に、TPPに加盟するか否かの問題を除いたとしても、日本の農業が抱える問題は大きく、米だけではなく日本農業全体の衰退は、依然懸念されるべき問題であるのです。

1-2.語句の説明
■TPP
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP:Trans-Pacific Partnership、またはTrans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)。
2006年5月にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国加盟で発効。
次いで、オーストラリア、ペルー、アメリカ、ベトナム、マレーシアの5カ国の計9カ国が参加。

■ASEAN
東南アジア諸国連合(Association of South‐East Asian Nations)は、東南アジア10ヶ国(ブルネイ、インドネシア、カンボジア、ラオス、マレーシア、シンガポール、フィリピン、タイ、ベトナム、ミャンマー)の経済・社会・政治・安全保障・文化での地域協力機構。

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1-3.TPPの現状、問題点
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、2006年5月にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4ヶ国が発効した経済連携協定ですが、アメリカ合衆国の加盟により、現在は実質、主にアメリカ合衆国に主導されるものとなっています。
また、日本の参加に対して国内で賛否が大きく分かれています。例えば、現在日本は貿易を行うことで成り立っているのだから、自由貿易には賛成すべきであるなどの賛成意見や、自由貿易を行うとなると、農家、特に米作農家が打撃を受けるなどの反対意見があります。
外国産の輸入米に関税がつかなくなると、それに比べて高価な日本米が売れなくなることなどを懸念し、日本政府は2010年、TPP加盟に踏み込むことも、また拒否することもできませんでした。
問題点として、日本国内で議論が盛んに行われていない点や、メディアによるTPPに関する情報発信の不足という意見などがあります。


1-4.まとめ
農業の現状の部分にも書いたように、日本の農業は衰退し、様々な問題を抱えています。また、TPPについても一時的な議論しかされておらず、具体的な解決に至っていません。TPPに参加する、しないということを考えることも重要ですが、まずは農業の現状を正しく理解する必要があるでしょう。日本国内の問題をまずは理解し、そして世界全体の現状も把握したうえで、学校などでもさらに議論を深めていくべきではないでしょうか。


1-5.参考文献:TPP関連
小林剛ゼミ、ディスカッションボード(facebook):TPPについて(2011/07/14)
http://www.facebook.com/group.php?gid=41124207185#!/topic.php?uid=41124207185&topic=13992
・農林水産省HP(2011/07/14)
http://www.maff.go.jp/index.html
・農林水産省 TPPについてのPDF(2011/07/14)
http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/syokuryo/110202/pdf/refdata5.pdf

・日本経済団体連合会HP(2011/07/14)
http://www.keidanren.or.jp/indexj.html
・日本経済団体連合会 APECについてのPDF(2011/07/14)
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/054/gaiyo.pdf


*アクション
私たちもTPPについて更に理解を深めるために、ディベート大会を開催しました。

<議題> 日本はTPPに参加するべきか?
(賛成派)9名
メンバー:奥田、大原、岸田、隈元、下野、但野、立川、出口、柳井
http://www.facebook.com/group.php?gid=41124207185&v=app_2373072738#!/topic.php?uid=41124207185&topic=14035

(反対派)9名
メンバー:市場、江頭、大賀、北橋、小橋、清水、中川、中村、松村
http://www.facebook.com/group.php?gid=41124207185&v=app_2373072738#!/topic.php?uid=41124207185&topic=14005


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Posted by mai| 2011-08-04 (Thu)