関西大学文学部英米文化専修 小林剛ゼミ

Department of Cross-Cultural Studies, Faculty of Letters, Kansai University

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<形式>
賛成派が先攻、反対派が後攻で主張を始め、判定は4回ゼミ生と先生が行う。[主張] 、[反論]、[再反論・結論]、3項目を10点満点、合計30点満点で評価し、合計得点の高いチームの勝ちとなる。

[主張] 3分
[反論] 3分
[再反論・結論] 5分


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<ディベート内容>
[主張]
(賛成派)
①工業面
・TPPに参加することによって、関税がなくなり工業製品の輸出量が増える。
 =日本のGDP、GNPが増加することになる。
・農業面でマイナス面があったとしても、工業面で補うことができる。
・日本のブランド力で勝負することができる。(農業面でも)
②政治面
・APECで孤立しないためには参加するべきである。
 多くの国がすでにTPPへの参加を表明しており、日本が早い段階で参加しなければ、他国から大きな遅れをとってしまう可能性がある。
③農業面
・TPPに参加しなくても、現在の日本では農業従事者の高齢化が進んでいるため、新たな対策、取り組みが必要な状況である。
・教育の見直しにつなげることができる。
スウェーデンでは4歳から食育が行われており、学校給食でも50%を地域のオーガニック作物を使うよう政府が定めている。
=日本でも同様の対策をとることができれば、TPPに参加しても農業に与えるマイナス面を軽減することができる。

(反対派)
①農業面
・TPPに参加することで食料自給率が低下する。
(現在の40%→14%になる)
・TPPに参加しなくとも、地産地消の推進によって農業の活性化を促すことができる。
(給食に地元で取れた野菜を使用する、道の駅の活性化による販売促進または雇用の増加)
②環境面
・輸入の増加に伴いCO2の増加が考えられる=環境汚染
・TPPは京都議定書に参加していないアメリカが中心となって活動をおこなっているため、
CO2の削減を重要視していない。
=日本が公約を守ることができなくなってしまう可能性がある。
③医療ツーリズム 
・TPPに参加すれば人の移動も盛んになり、現在話題となっている医療ツーリズムが盛んになる。医療の商業化につながり、国民健康保険という制度の崩壊にもなりかねない。


[反論]
(賛成)
①農林水産省のデータは不確かなものであり、実際には食料自給率も14%まで下がらないと考えられる。
・スイス、スウェーデンは食育を進め成功している。
=安い他国の食品よりも自国の商品であれば、少し値段が高くとも購入する。
②地球規模ではTPPに参加する国が増えることが確定している。なるべく早くTPPに入って、主導権を握り環境面の面を主張した方が良い。
・日本が参加しなくてもCO2は世界的に増加してしまうと考えられる。
③医療ツーリズムに関しては、TPPに参加する、しないの判断基準にならない。

(反対)
①②FTAでよいのではないか。
・工業面の輸出拡大を狙うのであれば、TPPでなくてもFTAでよい。
(FTAであれば、農業を守ることができる)
・個別に各国と協定を結ぶことができれば、孤立も防ぐことができる。
③TPPに参加し、日本の農業が解体してからでは、食育を行っても意味がない。
子供たちが農業に興味を持ったとしても、働く場所自体を失うことになる。
・現在農業に従事している人々の再雇用の問題もある。


[再反論・結論]
(賛成)
・FTAでは二カ国間協議であるために、複数の国と結ぶにはあまりにも時間がかかる。
・FTAを交渉する相手国がTPPに参加するのであれば、意味がなくなってしまう。
・現在の日本の農業は関税で守られており、発展する努力が見られない。
・日本ブランドを重視
日本の農産物は世界で認められており、大量生産大量消費ではなく、ブランド力で他国と勝負することができる。

(反対)
・多少の数字の誤差はあっても食料自給率がマイナスになることは確実である。
・スウェーデンはかなり前から食育をしているから成功しているのであり、日本では成功しないと考える。
・1キロ600円のアメリカ米、2900円の日本米、本当に消費者は日本米を買うのか。
・日本は外交力がないから、すでに多くの国が参加しいているTPPに入っても発言できない=FTAであれば二国間で協定できるのでいいのではないか。
・医療ツーリズムは日本よりも積極的に推進しているタイの前例があり、タイでは私立病院と公立病院の格差が実際に生じている。


<結果>  賛成チームの勝利
賛成 反対
主張 8点 6点
反論 8点 6点
再反論・結論 9点 9点
合計得点 25点 21点

<反省点>
・具体的なデータや数字が賛成チームのほうが多く、事実に基づいた主張であった。
・情報量が少なかったために反論する際に、十分なデータがなかった。
・日本語の資料ばかりであったため、偏った資料、主張になってしまった。英語で書かれている資料収集も必要であった。
・時間配分が難しく、決められた時間内での主張、反論ができなかった。

<ディベート大会での参考文献>
・社団法人 日本医師会(2011/07/14)
国民皆保険の崩壊につながりかねない最近の諸問題について
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20100609_2.pdf#search
・農林水産省(2011/07/14)
地産地消の推進について
http://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/tisan_tisyo/pdf/chisuishin.pdf
・財務省ホームページ(2011/07/14)
http://www.mof.go.jp/
・JA全中(2011/07/14)
http://www.zenchu-ja.or.jp/food/1289547810.html
・統計局ホームページ(2011/07/14)
http://www.stat.go.jp/data/nihon/g1507.html
・日本経団連 力強い農業の実現に向けた提言(2011/07/14)
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/010/index.html

Posted by yui| 2011-08-03 (Wed)