関西大学文学部英米文化専修 小林剛ゼミ

Department of Cross-Cultural Studies, Faculty of Letters, Kansai University

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3.マクドナルド化
マクドナルドの経営の形が、レストラン業界にはもちろん、教育、医療、旅行・レジャー、政治など、社会のあらゆる面に影響を与えているという考え方です。
『マクドナルド化する社会』の著者ジョージ・リッツアは、マクドナルド化を以下の四つの特徴として捉えています。

 ① 効率性…マクドナルドのシステムはファストフードという名の通り、消費者に迅速で効率的に空腹を満たすための場所を提供しています。その手軽さの裏側には、食文化の喪失など様々な問題点があります。
 ② 計算可能性…販売される商品の量、また商品を手にするまでにかかる時間を計算できることです。例えば「ビッグ」や「ダブル」さらに最近は「クオーターパウンド」などの言葉を用い、質よりも量によってその商品の価値が計算し、値打ちのある消費をしたと思い込まされるのです。同時に、商品を作る従業員も、質にこだわるより、いかに早く多くの量の商品を生産できるかを重視しています。
 ③ 予測可能性…消費者にとってマクドナルドの商品及びサービスはどの店舗でも均一であると予測可能であることです。また従業員も予測可能であるマニュアル化された業務やサービスを行うことを義務付けられています。そこには驚きや変化はありません。
 ④ 制御…商品を手に入れるために並ぶ行列、選択の余地のないメニュー、座り心地の悪い椅子、客自身が後片付けをすることなど消費者に対しての制御。また、定められた作業のみをこなすことが求められ、それを組織的に補強・監視するという、従業員に対しての制御が働いています。
これら4つを重視すればするほど、人間性が喪失されてしまうというわけです。

普段何気なく食べているそのハンバーガー。その材料はどこから来てどのように作られたのか、また、店に入ってから出るまでに自分自身がマクドナルドのシステムから課せられた作業について、そして、同じ様なシステムが社会のあらゆる場面で見られることを、ご自身の生活の中で考えてみてはいかがでしょうか。

『マクドナルド化する社会』 ジョージ・リッツア
出版:早稲田大学出版会(1999年)


Posted by yui| 2011-08-03 (Wed)