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2005年07月06日

Gauging Foreign Product Promotion (Anderson and William 1972)

要約
 この論文では,消費者の外国製品に対する選好に人口統計学上の客観的要因やパーソナリティが影響を与えているのかについての分析がなされている。分析の結果,外国製品の選好に対して消費者のパーソナリティが関連していることが明らかにされている。保守的な人であるほど,独断的態度をとる人ほど,外国製品への選好が低いという結論を下している。

分析
 1970年5月に国内生産車および海外生産車の購入者がそれぞれ58人ずつが回答者として選ばれている。
 まず,彼らの外国製品に対する選好度合いを測るために「外国製品は質の悪い部品で作られている」や「外国製品はいかなる点においても優れている」といった質問をし「とてもそう思う」から「全然思わない」までの意見によって回答してもらっている。この調査から,消費者を海外製品に対する選好度合いによって3つのグループに分類している。
 次に,回答者を人口統計学上の項目(家長の職業・年収・家長の教育水準・回答者の社会的地位・結婚期間・家長の年齢)と個人的な性質(地位に対する執着心・保守性・大取引に対する態度・独断的態度)を図る項目について解答してもらっている。そして,それらの項目と外国製品に対する選好に
についての関連を分析している。
 
結論
 客観的尺度を分析したところ,家長の教育水準以外は,外国製品選好にたいして影響を与えていないことがわかった。このことから人口統計学上の客観的要因は外国製品の選好と関連がないことが明らかにされいる。
 しかし,消費者のパーソナリティは外国製品の選好に影響を与えていることが明らかにされている。比較的低い地位にあり,保守的な傾向が低く,独断的な考えをあまり持っておらず,さらには,大学教育を受けたという比較的教育水準の高い人が外国製品に対しての強い選好を示しているという結果が示されている。
 この結果は,外国製品に対する評価というのは,個人が変化・相違に対してどれほど寛大であり,寛容性を持っているかによって下されるという常識的な考えと一致する。
 逆に,外国製品に対しての選好が低い人は,比較的高い地位にあり,保守性が強く,独断性が高い人であり,満足な大学教育を受けていないという特徴が示されている。
 保守性の高い人程外国製品に対して低い選好を示すという分析結果は,保守主義者はいかなる変化・相違についても懐疑的な態度をとるという常識的な考えと一致している。
 国内生産車の所有者に比べて,外国生産車の所有者は比較的社会的地位が低く,より寛大な性格を有しており,教育水準が高いという性質を備えている。

インプリケーション
 外国製品に影響を与える個人的性質につていて明らかになったことにより,効率的な市場計画やマーケティング戦略がたてられるようになる。さらに,プロモーション戦略を評価する際の判断基準となるだろうとしている。

出典:Anderson, W. T. and William H. Cunningham (1972), "Gauging Foreign Product Promotion," Journal of Advertising Research, Vol. 12, No. 1, pp. 29-34.

投稿者 02daigo : 2005年07月06日 03:35

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