2006年11月29日

新車購入

本日はちょっとばかし自慢をば。そうです,ついに購入しました,新車を。やっぱり,アメリカは車社会ですし,ニューヨーカーの端くれとしては,愛車を転がしてショッピングのひとつもしないとね。もちろんアメ車で車名はG&A。究極のエコ・カーです。

基本的なスペックは下記の通りです。

 製造期間:2000-2006
 ボディタイプ:ステーションワゴン
 エンジン:直4 1.5L 101PS
 駆動方式:4WD
 全長:4440mm
 全幅:1630mm
 全高:1490mm
 車体重量:1250.5kg
 価格:$40,019

さて,お楽しみの画像はここをクリック。

投稿者 Baba : 03:06 | コメント (2) | トラックバック

2006年11月22日

ニューヨークのかけら

しばしばニューヨークはエキサイティングな街と評される。ここには最上と最低が,本物と偽物が,そして,混沌と秩序が同居している。ここに行けば何もかもがあり,もしかしたら自分も何かになれるのではないか。世界中から人々を惹き付けるには十分な神話が構築されている。何につけても鈍感なってしまった今ではなく,もっと若く愚かな頃にここを訪れることができたら。ひりひりした表情で街を歩くやせこけた若者を目にすると羨ましく思う。

こんな若年性老衰の私にもニューヨークはおこぼれをくれる。地下鉄のユニオンスクエアから大学までの徒歩10分間,ぐっと口許に力が入り,ここで学べることの喜びを独り噛みしめることができる。この感覚が持続すれば僕も何かになれるのに,とすぐにいつもの自嘲気味の自分に戻ってしまうが,いずれにしても貴重な心の動きである。おっと,こんな青臭い感情よりも,なかなか味のある出来事が起こってくれるので,なかから3つばかり紹介したい。

今の住居はブルックリンにある。近所にはプロスペクト・パークという市民の憩いの場があり,湖ではフィッシングを楽しむことができる。幸い,ぎりぎりシーズンに間に合い,マンハッタンでバスのタックルを一揃えし,3回ほど釣りをする機会に恵まれた。晩秋のスローなバスに,ゲイリー山本よろしくワームでコツコツとあったていたところ,20メートルぐらい先の茂みから,突然若い兄ちゃんの声が。"Don't hate me. I always come here." 思考を無理矢理に湖から地上に引き上げられたことに若干いらだち,"It's OK, I don't care"とぶっきらぼうにやりすごすと,大兄おもむろにしゃがみ込む。どうやら私は雉撃ちの許可を求められたようである。その後も彼はお気に入りの場所で小枝を片手にぶらぶら。私は次のポイントに。その日は彼のおかげか運が回ってきたようで,3回の釣行のうち唯一釣果があり,キレイで元気な小ぶりのバスを3匹あげることができた。

2つ目の出来事は風邪で寝込んでいるときに起こった。訪問者を知らせるベルが何度も鳴り,遠くで家内が返答している声が聞こえる。しばらくのやりとりの後にドアを開ける音が。訪問者に対してドアを開けないことは鉄則なので不安になり,重たい身体を引きずって玄関に向かうと,電力会社のconEdisonから人が来たとのこと。身なりもきちんとしており,IDもぶらさげていたため,危険がなさそうなことを安心していると,家内は何やらサインをしている。きっと何らかの検診が行われたことへのサインだと思い込み,寝床に戻った。数日後にふと家内がサインしていた書類に目をやるとそこにはIdt energyの文字が。書面に目を通すとconEdisonからIdtに電気のデリバリーをスイッチする旨の契約書で,変動相場への投機により電気代を「安くできることもある」とのこと。契約書のカーボンコピーにはしっかりconEdisonのカスタマー・アカウントも明記されている。やられたと思い急遽,ネットで検索するとconEdisonの名を騙り,強引な戸別訪問をかけてくる業者であることが判明。早速,家内がconEdisonに電話をしてスイッチをブロックしてくれるように依頼し,Idtにキャンセルの電話をかけて事なきを得る。

さらに,別の日にはCCSとやらから突然,クレジットカードらしきものが郵送されてきた。First National Cardと記されたそのカードはどう見てもクレジットカードで,添付文書を見ると頼んでもいないカードなのに"Approved"と書かれ,限度額は6,500ドルなど破格の条件が記されている。アメリカ発行のクレジットカードを保有するにはクレジット・ヒストリーが不可欠で,渡米後2ヶ月の私のもとにカードが送れれてくるはずはない(アメックスのブラックはある日突然送られてくるそうだが私には一生縁はないし)。よく書面を読んでみるとまたしても「このカードはCCSのカタログ・ショッピングでのみ利用可能」とのこと。本物件もネットで調べてみると,クレジットヒストリーがあまり無い人へカードを送りつけ,割高商品しか掲載されていないカタログショッピングしかできない上に,200ドル程度のフィーをとるというやり口が判明。とりあえず,Activateしていないので実害は無いと思うが,しばらく口座を監視しなくては。

最後はニューヨーク名物の地下鉄の車内。家内がオペラを観に行った日は,劇場近くのバーで一杯やった後に迎えに行くことにしている。帰りの地下鉄で席に着くと正面にはすっかりできあがったおっちゃんが二人がけの席を独占して,何とも幸福そうな顔で,うつらうつらしたり,何やらつぶやいたりしている。彼のあまりにほほえましい姿を家内と話題にしていると,私の席の隣に立っていた乗客も何やら話しかけてくる。車内の騒音で聞き取れなかったので,適当に相づちを打っていると,大将,帽子を床に落としてしまった。気の毒なので拾い上げると,これまた幸福そうな表情で礼ともつかない何かをもぐもぐと言おうとしている。しばらくして,おや,隣の乗客が別の乗客と酔客を話題にまだ会話しているようだと思いながら,ふと床に目をやると真の話題が何たるかを知った。大将の入れ歯が床で大口を開けているのである。どおりで口許がおぼつかない訳だ。さてここで,ジレンマがよぎる。はっきり言って入れ歯には触れるのはキツイ。かといって,このまま放置すれば大将帰宅後に母ちゃんから大叱責を受けるだろうし,アメリカの医療制度から考えると,新しい入れ歯はかなりの出費になるだろう。幸いポケットにはハンカチが入っていたので,えいやと入れ歯を包んで大将の手に持たせるも相変わらずくねくねしているので,墨痕鮮やかに「投票にはちゃんと行きましょう」と書かれている彼のジャンパーのポケットにハンカチごとねじ込んだ。

「雉撃ちの許可」,「スキャム」,「入れ歯拾い」。これが私にとってのニューヨークのかけらである。能動的にあれこれ面白そうなことを見つけに行かなくても,受動的に存在することで何かが起こってくれる。これこそがあらゆる街の真なる魅力を決定し,いわくエキサイティングということだ。事前の予想や経験や常識との乖離があればあるほどいい。だからこそ若ければ若いほどこれらの乖離を感じられると思う。20歳そこそこなら,観光名所を一夜漬けの知識で回るよりも,ありもしないロマンスを期待するよりも,何だかよく分からないけど美味しいと思いこむよりも,街の魅力を感じられるだけどこかに住んでみるべきだ。私はここで1年暮らすために,大学院時代の5年間と就職してからの5年間で合計10年かかっている。ちと,時間がかかりすぎた。もはややせこけてもいないし,ゼミ生諸君はよくご存じの通り,目元には常に微笑みをたたえている。

投稿者 Baba : 23:36 | コメント (1) | トラックバック

2006年11月15日

ユニクロのNYフラッグシップ店

UNIQLO@NY_1いつのまにやらニューヨークにいます。と申しますのも2006年9月から1年間在外研究の機会を得,ニューヨーク大学のスターンスクール・オブ・ビジネスにて,国際マーケティング研究の大家,サミュエル・クレイグ先生のスポンサーのもと,研究を行っています。このブログもすっかり放置気味なので,筆無精にむち打ってたまにはNYでのあれこれを投稿しようと思います。というわけで,第一弾はオープン初日(11月10日金曜日)のユニクロ,ニューヨーク店。

UNIQLO@NY_2ユニクロといえば無印やギャップとあわせて家内が私用に購入してくる3大ブランドの一角を占め(その理由は言わずもがなですな),バイトをしているゼミ生が数名,さらには就職したゼミ生までいるという縁の深い企業。02takenakaさんの投稿を見て,まさかNYにまで・・・と驚愕した覚えがあります。

UNIQLO@NY_3NY店の立地は大学から歩いて10分程度のブロードウェー沿いにあります。いわゆるソーホー(SOHO)と呼ばれる地区であれこれ若者向けのファッション関連の店舗が軒を連ねており,NYのおしゃれさんが集まっています。まあ,NYで勝負するならベストの立地でしょう。店内は左の写真の通り1000坪ととても広々としており,初日とあってとても混雑していました。比較的日本人以外のアジア系の人たちが多く見られ,日本人は私も含めてとりあえず見に来ましたという感じ,ときおり白人客がどっさりとまとめ買いをしている姿が見受けられました。

すでに新聞や経済誌ではNY店について多くが語られていると思いますが,若干の観察結果をば。第1に店員がしっかりと教育されている感があります。ほとんどの小売店の出入口にはセキュリティが仁王立ちになっていますが,まずもって彼らの服装(黒系のスーツ)および対応(一方でドスをきかせながら他方でナイス)がしっかりしています。また,家内は現地の店員が店員に顧客の大事さを説いている一場面を目にしたとか。NYでの店員のいいかげんさには辟易していたので,とても新鮮でした。

第2に昨今の円の弱さが起因していることもありますが,価格水準が日本人の目には高く映る気がします。例えば,オックスフォードシャツが29.50ドル=3,471円(11月15日現在のレート)なので,日本のオンラインストアの2,990円に比べて500円弱高いわけです。他方でユニクロマネーと称して75ドル以上の購入に対して15ドル割り引くクーポンが店頭で配布されていた"UNIQLO PAPER"に綴じ込まれていました。

第3に曖昧な表現ですが日本的な何かの伝達方法。ユニクロの製品はなんとなくカルチャー・フリーな気がしますが,"From Tokyo to New York"のテーマが先ほどのフリー・ペーパーの表紙を飾っています。「東京じゃのうて広島(ないしは山口)出身じゃろ」というツッコミはさておき,特筆すべきは料理の鉄人,森本正治氏がフィーチャーされていること。店内には,ソニックユースのベーシスト,キム・ゴードンらとともに,ハチマキっぽいものを頭に巻いた森本氏の写真が大きく飾られています。彼はNYの有名レストランNOBUの総料理長を務めた後,アイアン・シェフになったそうです(フリーペパーではNYのスシのパイオニアと紹介されています)。他にも"Japanese pop culture T-shirt project"と銘打ち,日本人アーティストがデザインしたTシャツをヘアドレッサーや写真家などのダウンタウンのニューヨーカーに着せるという企画もありました。

日本の文化,コンテンツ,製品の移転という観点からは,UNIQLO@NYの事例は興味深いですね。開店直後の喧噪が落ち着いたらインタビューを申し込んでみようかと思います。

投稿者 Baba : 20:34 | コメント (6) | トラックバック