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2005年07月18日

Does Patriotism Have any Marketing - Exploratory Findings for the "Crafted with Pride in U.S.A." Campaign (Daser and Meric 1987)

要約
 この研究は,"Crafted With Pride in U.S.A."キャンペーンのような,愛国的な広告の使用に対する意識や態度を調査することを目的としている。「愛国的な訴えは,どれくらいの効果があるか」という疑問を解決し,このような研究を促進することが目標とされている。実証的な調査の結果と,保護貿易に対する態度について報告された全国規模の世論調査の結果との関連についての検討がなされている。その結果,消費者のCOOに対する意識が高まっていることが明らかにされている。

イントロダクション
 まず,アメリカにおける繊維産業の保護に対する状況が示されている。外国との競争によって打撃をうけたアメリカの産業にとって,保護貿易体制の形成が必要であるという世論が高まっているという。また"Crafted With Pride in U.S.A."キャンペーンは,繊維製品の原産国を消費者に意識させるために,アメリカの繊維・織物・アパレル連合や,アメリカ織物製造業者機構(ATMI)により1983年に開始された。さらに,ATMIは,人々が"Made in U.S.A."に注目するように立法府に援助するようはたらきかけたとされている。
 また,文献レビューの結果,これまで愛国的な広告の有効性が研究された実証的な研究はないとされ,さらに"Buy-American"は愛国心の象徴であるとするる研究はいくつか存在するが,マーケティングにおける有用性については言及されていないと述べられている。
 エスノセントリズムが高まっている状況と,この種の研究の不足から,この研究では"Crafted With Pride in U.S.A."キャンペーンのような,アメリカにおける愛国的な広告の使用に対する意識や態度を調査することが目的とされている。調査研究はノースカロライナの2地域で行われ,電話による調査が行われている。この調査研究の結果と,保護貿易に対する態度について報告された全国規模の世論調査の結果との関連についての検討がなされている。

結果
 およその消費者は保護貿易を支持し,特に失業が誘発されたなど,輸入によって打撃をうけた地域においては,保護貿易を強く支持する傾向があるという考えを,この調査研究は支持していると述べられている。82%がより厳しい制限を輸入品に課すことを支持している。これは1981年のDickersonによる研究での,55%を大きくうわまわっているという。ウォールストリートジャーナルやNBCニュースによる全国規模の世論調査ではその数字は51%であったことも示されている。
 また,消費者は"Buy-American"の問題について高い意識を持っているように思えると述べられている。大部分(88%)はそれについてテレビ広告やラジオ広告で知っているという。"Crafted With Pride in U.S.A."キャンペーンについては多少その比率が下がっている(73%)ことも示されているが,その両方に対して圧倒的に好意的な反応が報告されている。
 さらに,42%の人々は意識してアメリカ産を得ようとしているという報告もされている。衣服のラベルを見てそれがどこで作られているのかをチェックすると答えた人々の76%は,たいてい輸入品よりアメリカで作られたものを選ぶと答えたという。それにもかかわらず,衣服を購入するとき重視することを答えてもらったところ,身に合っているか(64%),価格(32%),スタイル(25%)に続き原産国は18%で4位にとどまっていることが指摘されている。
 そして,アメリカ製品の質が輸入品のそれよりも上回っていないと,すすんでアメリカ産を購入する気にはならないと答えたひとが多いことも紹介されている。

結論
 この調査研究を通して,びっくりするようなアメリカびいきの意見が得られたと述べられており,これは調査の地理的性格がある程度影響しているという。しかしながら,他の全国的な世論調査の結果もまた,保護貿易主義的な態度が広範囲に及んでいることを示していることを指摘している。また,消費者は質を重要視していることから,販売促進キャンペーンでは質の知覚問題への取り組みが必要とされるだろうと述べられている。実証的な調査を通して愛国心の強い広告の有効性を評価する絶好の機会であるとして,最後にこれからの研究への示唆と疑問があげられている。
 まず,調査の結果からもわかるように,人々の述べていることと実際の行動は矛盾しているので,愛国的な訴えの広告への行動に関する反応をとらえる実験や調査は非常に役に立つだろうとしている。また,愛国的な広告ではどのような語調がふさわしいのかの調査もも薦められている。最後に,"Crafted With Pride in U.S.A."キャンペーンは有効であるのかどうか,人々に原産がどこであるかを意識させ,最終的に自国の製品の購入に導くことができるのかどうかの調査も必要であると述べられている。

出典:Daser, Sayeste and Havva J. Meric (1987), "Does Patriotism Have any Marketing - Exploratory Findings for the 'Crafted with Pride in U.S.A.' Campaign." Advances in Consumer Research, Vol. 14, pp. 536-537.

投稿者 02eiko : 2005年07月18日 22:46

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