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2005年06月27日

広告・ブランド評価から購入への因果研究――広告表現評価・ブランド評価・購入にからむ五つの心理的広告効果ル-ト(鈴木 2000)

要約
 本稿では,広告表現効果について述べており,特に「広告の受けての表現評価が,ブランド評価や購入(経験・意向)にどう関連しているかについて」(16ページ)言及している。

はじめに
 広告評価には広告投入量のよる効果,広告表現による効果,その相乗効果の3種類ありこれまでの筆者の広告効果研究で表現効果を扱ったものは,ビデオリサーチ社のCMカルテのデータ約600本のCM表現データを使い,広告評価(広告認知率・広告好意度・広告理解度)を目的変数にして,約200項目に及ぶ広告表現要素との関連分析を行ったもの,テレビ広告認知率への表現の影響度合いを扱ったもの,人をある広告の認知者と非認知者に分け,さらに認知者から表現に反応した人を取り分け,その購入経験率や購入意向率等を比較したものがある。「しかし,以上の3つの研究は,広告の表現評価の範囲にとどまるものであったり,因果分析をしても広告の表現評価は1指標だけであり,ブランド評価を介在させないものであった。また,分析手法も個別のクロス集計・平均であったり,単純な1つの重回帰分析でしかなかった」(17ページ)。したがって,いくかの広告表現評価やブランド評価,及び購入(経験・意向)のすべてを一括してモデル化している。

5つの心理的広告効果ルート
 ビール,缶コーヒー,自動車,冷蔵庫,医薬品などの35のブランドを商品関与度,ブランド認知,媒体別広告認知(テレビ・新聞・雑誌広告でいずれかの認知を広告認知としている),表現反応(広告認知者への限定質問で広告表現への好き,もしくは興味,関心度合),購入経験(3ヶ月以内),購入意向のベースの項目に付け加えてブランド評価項目,広告表現評価項目で調査を行い,因果関係図(モデル)を作成し,心理的広告効果を5つのルートにまとめている。
①ブランドロイヤリティー
自分に合う,なじみがあるのブランド評価から,そのブランドが好きから購入に至るルートであり,ブランド論でも最もわかりやすいルートである。
②集団効果ルート
広告によって広告や商品が話題になったり,よく売れているということが推測され,自分自身の広告やブランド評価に返り,時代に合っているというブランド評価につながる購入に至るルートである。
③広告表現総合評価ルート
興味・関心が引き立てられる広告,印象に残る広告,自分の感覚に合う広告,親しみを感じる広告から広告表現の総合評価(好きな広告と表現反応広告)につながり,そこからブランドが好き,または時代に合っているのそれぞれにつながり,購入に至るルートである。
④興味・印象ロイヤルルート
広告やブランドに興味を持たせられ,後々まで印象に残っていて,それがブランドが好き,時代に合っているにつながり,購入に至るルートである。④のルートは③のルートと関わりが深く,似ているところがある。
⑤(ブランドや広告への)フィードバックルート
ブランドの飲用・利用などの購入後の商品満足度がブランド評価や広告表現評価に影響を及ぼすルートである。
この5つの心理的広告効果ルートにより,広告表現はブランド評価,または商品購入にまで影響を及ぼしていることが分かる。
 
結論
 因果関係図や5つの心理的広告効果ルートにより,広告表現効果の影響範囲がかなり明確になり,広告表現から購入までの心理的な効果ルートの強弱を理解することでブランドの広告・戦略の立案やより深い広告のキャンペーンの評価につながる。

出典:鈴木克則(2000),「広告・ブランド評価から購入への因果研究――広告表現評価・ブランド評価・購入にからむ五つの心理的広告効果ル-ト」『日経広告研究所報』,34(5),16-22ページ。


投稿者 : 2005年06月27日 19:37

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