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2005年05月12日

アドバタイジング・マネジメント:広告意思決定の理論(D.A.アーカー,J.G.マイヤーズ 1977)

目次
第14章 媒体モデル
第15章 媒体調査

第14章 媒体モデル
 広告戦術上の意思決定は,広告予算設定に係わる意思決定,表現意思決定,媒体意思決定に大別できる。これらの意思決定は段階的になされ,媒体意意思決定は最後に下されるのが普通である。媒体意思決定は,広告予算を利用可能な媒体オプションへ配分することに関するものである。プラナーが媒体意思決定を構造化し,効果的な媒体出稿計画を立てるのを助けるために設計され,定式化されたメカニズムである媒体モデルは,三つの要素を含んでいる。「第一に,目的関数によって出稿計画についてのある値が得られる。第二に,ヒューリスティック法が,目的関数に関して相対的にもっとも高い値を持つ出稿計画が見つかるまで,すべての出稿計画を探索する。第三に,予算制約のような制約条件が,ヒューリステック法によって考慮される出稿計画を限定する」(602ページ)とされている。目的関数の構成要素に焦点を絞り,二つの定式化されたモデルが紹介されている。MEDIACモデルは,広告過程に関するある特定の見解に基礎を置いている。広告露出によって訴求対象セグメントの心的状態や露出価値が創出される。露出価値は必ずしも線形的であるとは限らないが,売り上げに直接連結されている。しかしながら,露出価値は,忘却によって絶え間なく侵食されていく。MEDIACは媒体オプションを選択するだけでなく,時間軸に沿って出稿をスケジュール化する。現実の時間が組み込まれているので,反復関数や,ビークル露出パターンの季節調整を定式化してモデルに合わせることが,自然に可能になる。「MEDIACの限界は,露出が集計的な意味においてのみ蓄積あるいは忘却されるということである」(603ページ)これに対してADMODは,銘柄知名獲得や新規試用購買意思決定のような,広告で促進しようとしている消費者の特定の認知変化あるいは意思決定に焦点を当てている。ADMODでは,サンプル内の全個人についてその出稿のインパクトを吟味する。このインパクトは,「意思決定あるいは認知変化の純価値,出稿計画から作り出される個人への露出回数および露出情報資源,期待された認知変化あるいは意思決定を得る確立に基づいた露出のインパクトなどに依存している」(604ページ)としている。

第15章 媒体調査
 広告露出の測定に際しては,ビークルの露出の測定と,ビークル中の媒体オプションへの露出の測定とを分けて考えなくてはならない。ビークル露出は注意深く定義される必要がある。「印刷媒体ではビークル露出はあるビークルの典型的なあるいは平均的な号の,『中身を読む』ことと定義することができる」(607ページ)電波媒体では,例えば「ある番組の間テレビ受像機が『つけられている』時間の長さが基準になるのである」」(607ページ)ビークル露出をフィールド調査で測定しようとする場合には,雑誌の編集内容への関心をきくとか,ニールセン式の自動モニター装置を利用するとかいった技法を工夫しなければならない。媒体オプション露出は,回答者がある広告に物理的に露出したかどうか,または広告のある部分を心の中に吸収したかどうかを判定することにより測定することができる。「広告への露出は広告の大きさや形,ビークルの中の位置,当該製品クラス,オーディエンスのタイプ,表現アプローチといった媒体オプション変数に依存することが示唆されている。媒体オプションの情報源効果は読者をひきつけるビークルの能力の測度でも,オーディエンスの質の測度でも,広告注目率を獲得するためのビークルの能力の測度でもない。媒体オプションの情報源効果を評価する基準は広告のキャンペーンの目的に密接に関係していなければならない」(651ページ)としている。コミュニケーション理論は,媒体オプションの情報源効果の決定に,ある洞察を与えた。「ビークルという情報源は,それがどの程度公明であり,専門的であり,威信があると評価されるかによって広告の効果に異なった影響を与えるであろう」(651ページ)と筆者は述べている。媒体クラス情報源効果は,媒体クラス間の相対比較に関するものである。媒体クラス情報源効果は,使用される表現アプローチに依存することを明らかにした調査がある。この調査は,露出測度の場合と同様に,情報源効果の場合にも,ある結果が依存している諸条件をいつも明確にしなければならないという一般結論があてはまることを示したわけである。

出典 D.A.アーカー,J.G.マイヤーズ著;野中郁次郎,池上久訳(1977)『アドバタイジング・マネジメント:広告意思決定理論』,東洋経済新報社,14-15章(573-658ページ).

投稿者 02hidemin : 2005年05月12日 15:01

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