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2005年05月30日

テレビCMのメッセージ効果(八巻 2000)

1.はじめに
2.視聴率(GRP)と好感度
3.好感度と購買喚起率(購起率)
4.購起率と売上高  

1.はじめに
 多情報時代である今日,日本の消費者はテレビ放送から1日4500本のテレビCMを受け入れている。しかし,その中で「消費者の記憶に残っているのは38.4%で,購買意欲に刺激を与えているのは33.8%である」(7ページ)。この33.8%のCMのメッセージ効果を視聴率,好感度,購買喚起率(購起率),販売実績(POSデータ)を使用して検証している。

2.視聴率(GRP)と好感度
 テレビ視聴率は1960年代から存在したが,このテレビ視聴率ではテレビCMを「見た」か「見てない」かのCM効果をはっきり示すことができないのでテレビ電波が届いているかを示す到達率にすぎなかった。はっきり「見た」ことを示すデータは印刷媒体の場合,再生法と再認法の2種類あり,「双方とも生理的効果を捉えている」(7ページ)。しかしながら,テレビの場合,生理的データを再認法では測りにくいため再生法によってテレビCM効果測定を行っている。「84年から実験を始めたが,『見た憶えのあるCM』よりは『好きなCM』の方が回答が出やすいことが分かり,好感度を取ることになった」(7ページ)。また,視聴率と好感度との関連性を相関関係でみると88年が0.35で98年が0.22とほとんど認められない結果になった。

3.好感度と購買喚起率(購起率)
 広告の効果は心理的効果で,広告の目標は「知名,理解,確信,行動」の態度変容である。そして,この「確信」(買いたくなる)を購買喚起率(購起率)とし,購起率と好感度を相関係数でみると88年が0.90で98年が0.93と高い関連性を示している。「従って好感要因をチェックすれば,購起率にも関連するし,また実際の売り上げにも結びつく」(8ページ)。

4.購起率と売上高
 実際に97年11月から98年10月までに放映されたCMの中でPOSデータと対応できない耐久消費財,レジャー,情報を除外し,好感度,購起率が上位14商品のCMを購起率とPOSデータによって売上高の推移を分散分析で検討している。この結果,5つのケースで有意性が示された。この5CMの好感要因でもっとも多かったものは「出演者・キャラクター」で次に「商品にひかれた」そして次に「画像」である。従って「商品に魅力を感じさせるCMがやはり売り上げに結びつくのである」(11ページ)と論じている。

 結論は以下の通りである。まず視聴率と好感度,次に好感度と購買喚起率の関係について相関係数を用いて述べており,最後に購買喚起率と売上高の関係を検討し,CMが売り上げに関係していることを述べている。

出典:八巻俊雄(2000),「テレビCMのメッセージ効果」『日経広告研究所報』,34(1),7-11ページ。

投稿者 : 2005年05月30日 17:51

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