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2005年05月09日

アドバタイジング・マネジメント:広告意思決定の理論 (D.A.ア-カ-,J.G.マイヤ-ズ 1977)

目次
第6章 態度と市場構造
第7章 行為を促進すること:行動的目的
第8章 コミュニケーション・システム

第6章では態度について述べられている。態度は「認知的(知名,理解,知識),情緒的(評価,愛好),および動能的(行為傾向)」(225ページ)の3つの構成要素からなっており,態度の測定には「直接測定」(225ページ)「派生測定」(225ページ)と呼ばれる態度モデルがある。「直接測定は,態度の対象(単数および複数)についての明示的な属性や次元基準を回答者に与えずに,回答者の行動について質問し,あるいは観察することを含んでいる。派生測定は,態度の対象(単数および複数)についての被調査者の反応パターンを調べることによって行なわれる態度状態の評価に基づいており,通常は一組の属性あるいは次元の基準を含んでいる。したがって,派生測定はいろいろなタイプの態度モデルと見ることができ,与えられた市場ではどのタイプのアプローチやモデルの使用が最も適切であるかの評価ができる」(277ページ)そして,総合的態度に強い影響を及ぼす属性にレバリッチがある。高いレバリッチをもつ属性は,消費者にとって重要であり,ある銘柄と他の銘柄を区別する時などに使われ,購買意向に関しての決定要素となる。

第7章では「行動に影響をおよぼす際の広告の役割と,特定の市場状況下で,行動がどのように目的設定の有益な基礎になりうるか」(284ページ)について述べられており,消費者は広告によって即時行動を促進されるため,広告の役割は長期的な売上よりも短期的な即時売上に関連している。そのため,過去の広告は購買意思決定に無関係であり,現在の広告も将来の売上には無関係である。そして,「広告目的は新規試用者を獲得する広告の能力のみならず,受容の意思決定に影響を与える能力も反映するように拡張することが必要である」(296ページ)

第8章ではマス・コミュニケーションにおける広告の役割について述べられている。消費者は6つの段階を通して情報を処理しており,この情報処理段階にコミュニケーション・システムの5つの構成要素を組み合わせたものが説明マトリックスと呼ばれる。この説明マトリックスは広告のデザインや許可,または広告キャンペーンの開発に有効であり,キャンペーンの長所と短所を把握することができる。また,キャンペーン展開後に「得られる潜在的効果の評価のためにも使うことができる」(313ページ)そして,消費者や市場過程をさらに深く理解することによって,広告主は広告キャンペーンの目的達成を促進することができる。
出典:D.A.ア-カ-,J.G.マイヤ-ズ著;野中郁次郎,池上久訳(1977)『アドバタイジング・マネジメント : 広告意思決定の理論』 東洋経済新報社,6-8章(224-317).

投稿者 : 2005年05月09日 17:07

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