« カルフールの中国進出 -先発者利益の追求-(田村 2003) | メイン | 小売業におけるIT活用の現状と本質―POSデータ活用の日米比較を中心に―(佐藤 2004) »

2005年05月07日

アドバタイジング・マネジメント:広告意思決定の理論( D.A.ア-カ-,J.G.マイヤ-ズ 1977)

目次
第4章 広告目的の設定
第5章 イメージと競争的位置

第4章では広告における目的設定の在り方を記している。広告目的の機能は「1つはコミュニケーション能力」(105ページ),「第2は意思決定の基準を提供すること」(106ページ)である。広告活動はマーケティング活動の1部でしかないが,目的設定によって結果が変わってくる。しかし,その結果は即時性がなく,すぐには表面には出てこない。また,この章では「DAGMAR」(広告結果測定のための広告目標の定義)(123ページ)をコミュニケーション過程として,例を挙げて記している。「DAGMARは広告目標を,所与の期間内に限定されたオーディエンスの間で達成さるべき特定のコミュニケーション課業として定義する」(166ページ)DAGMARアプローチは経営に際して多大に影響するが,広告マネジャーと研究者の間に生まれた批判の声もある。そのDAGMARに対しての6つの挑戦(批判)が「売上目標」(139ページ),「実用性」(140ページ),「測定問題」(140ページ),「システムにおけるノイズ」(140ページ),「偉大なアイデアの抑制」(141ページ),「コミュニケーション結果の階層モデル」(142ページ)である。これを受け,本章ではDAGMAR MODⅠⅠ(DAGMARに改良を加えたモノ)を提言しており,GMの例を挙げて説明している。また,DAGMARアプローチの実行に際して,媒介変数の決定が重要であるということも記している。

 第5章ではイメージと態度(次章で詳しく説明される)の媒体変数を前章で記したDAGMARより拡張して説明している。広告により消費者にイメージを与える時には自社の特色を知り直す必要があり,また,コスト面で広告費は資金配分における割合が少ないのでイメージを与えた後の正確な測定が必要であると記している。さらに広告はイメージを維持する重要な力であると同時に消費者のイメージを大きく違う方向に向ける性質もある。ここで他社と差別化をはかるためには,「事前に,代替銘柄間で意味のある区別ができるような属性や特性を見つけることが,基本的な課題となる」(175ページ)といっており,マールボロー物語の失敗と成功を例に挙げ説明している。広告戦略において大切なことは短期的な利益を追求しないということである。
 広告などのイメージに対して消費者が反応を示さない場合には銘柄への態度の真の決定要因が問題になってくる。このことについても本章で記されている。
 また,本章ではさまざまな例を挙げて空間配置分析を説明している。空間配置分析とは,理解という媒介変数をより拡張しているものと見なされ,「対象が種々のセグメントによってどこに位置づけられるか,そしてこれらの位置のどのような変化が望ましいのかについて,計量的分析の枠組みを提供し,一つのイメージは多くの属性や次元に係わっているという認識のうえにたって,いくつかの次元を同時にとり扱うための種々の技法を援用する」(191ページ)と記されている。

出典:D.A.ア-カ-,J.G.マイヤ-ズ著;野中郁次郎,池上久訳(1977)『アドバタイジング・マネジメント : 広告意思決定の理論』 東洋経済新報社,4-5章(105-220).

投稿者 : 2005年05月07日 14:25

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~t020026/blog/mt-tb.cgi/28

コメント

コメントしてください




保存しますか?


 
Copyright© 2005-2006 Baba Seminar. All rights reserved.