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2005年05月20日

グローバル小売企業の創造的適応プロセス―日本市場におけるカルフールの事例を通じて― (白石・鳥羽 2004)

要約  この論文は,世界の小売企業売上高ランキング第2位で,ハイパーマーケットという新しい業態を生み出し,海外市場で先発者利益を得たカルフールの日本進出における戦略について書かれている。小売業が海外進出する時の戦略についての既存研究で欠如している点は,戦略類型を集計水準に基づき類推で分析していて,結果に至ったプロセスを明確にしていない点と,現地での企業行動を認識する集計水準が明確化されていない点とされている。カルフールが日本進出した要因は,出身国市場における市場の飽和と,対日貿易赤字を解消する為にフランス政府が促進したことなどである。日本市場に参入する時,オーガニック型を選択したのは,リスクを覚悟してでも進出する価値があると考えられたからです。2000年の開店当初の売上は予想よりも好ましくなかったが、2003年には売上高が前年比10%も増加している。その要因について検討されている。

理論的検討

小売企業が海外進出した際,各国の市場特性という障壁を乗り越える為の海外市場における小売企業の適応行動について検討する。

Ⅰ.日本進出後の業態戦略

 開店当初は,フランス流に興味を持った消費者が大勢押し寄せたが,カルフールは日本に現地適応化しすぎたせいで,フランス風を期待していた日本の消費者との顧客志向の違いが出てきた。だからといって,現地適応化を全くしなくてもよいというわけではないので,今までの失敗例をふまえてカルフールは独自で顧客調査を行い,日本の消費スタイルにあわせて,欧州商品の輸入販売を増加した。そして,外資系企業らしいイベントや施設も充実させていっている。

Ⅱ.商品調達システム

 第1号店開店する時に充分な商品の仕入先を確保できなかったことも開店当初の消費者の不満の一部でもあった。原因としては,取引条件を強気に出したことや,今までその卸売と取引していた小売企業から圧力をかけられていたことがある。しかし,外資系流通企業との取引を考えている卸売り企業が40.7%もある。今後はバイイングパワーを訴求しながら直接取引を実現していく。

Ⅲ.マネジメント
 初代店長がフランス人であり,日本の習慣や礼儀を知らなかったので,販売員への指導が不十分だったことや,語学能力優先で人材を採用したので,接客未経験の従業員が次々と辞めていった。それからは,採用は経験重視となり,店長も将来的に全店舗の日本人の店長を起用する考えを示している。

 結論は,以下の通りである。今までの戦略の改善により,2003年の上半期は,前年比で業績が10%増加しているので,適応行動の成果があらわれている。競争優位を発揮することは,「『全循環』の実現能力にある」(23ページ)とされ,「業態」「商品調達システム」「マネジメント」は,全循環を実現するために作用している。カルフールが多くの海外進出国で成功しているのは,全循環が回転しているからで,日本でもうまく回転させていくのがこれからの課題としている。

出典:白石善章・鳥羽達郎(2004),「グローバル小売企業の創造的適応プロセス-日本本市場におけるカルフールの事例を通じて―」『流通科学研究所モノグラフ』No.045。

投稿者 02aiko : 2005年05月20日 16:53

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コメント

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投稿者 daigo : 2005年05月20日 17:43

次回から論点を付け加えてみてください。

投稿者 02daigo : 2005年05月20日 17:56

文章の意味が不明な箇所がいくつかあり,また,著者の指摘と自分の文章との区別が曖昧です。早急に修正するように。

投稿者 Baba : 2005年05月22日 13:16

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