« 国民市場における小売国際化(田村 2004) | メイン | 広告の理論と戦略(清水 2004) »

2005年05月02日

広告の理論と戦略(清水 2004)

目次
第1章 現代における広告の機能と定義および種類
第2章 世界およびわが国における広告の発展
第3章 低成長時代のコ・マーケティングにおける広告の位置づけ

第1章 現代における広告の機能と定義および種類
この章ではまず,広告の社会的機能について述べられている。広告のプラス面では,広告は新商品を人々に認識させ,商品の選択肢を増やす効果があり生活を豊かにし,繰り返し消費者に訴えることによって商品やサービスの信頼性を高める効果,また「企業の売上を伸ばし経済活動を活性化させる」(2ページ)効果がある。逆にマイナス面では,広告は情報過多社会,一部の企業によるマスメディアの支配,社会の低俗化,消費の画一化を招く可能性も存在する。次に広告の経済的機能について述べられており,その機能としては経済の活性化が挙げられる。なぜならば,広告は大量生産によりコストを低減させ,より一層消費を拡大させることができるからである。アメリカ・マーケティング協会(AMA)は広告とは「明示された広告主によるアイデア,商品,もしくはサービスについての有料形態の非人的提示および促進活動である」(4ページ)と定義している。この定義でのポイントは3つあり,広告するもの,つまり「明示された広告主」次に「有料形態」そして広告提示の方法「非人的提示および促進」ということが明示されているところである。そしてこの定義や他の定義を踏まえて「広告とは企業や非営利組織または個人としての広告主が,自己の利益および社会的利益の増大化を目的とし,管理可能な非人的媒体を使って,選択された生活者や使用者に,商品,サービス,またはアイデアを,広告主を明確にして告知し説得するコミュニケーション活動である」(9ページ)と筆者の定義を述べている。

第2章 世界およびわが国における広告の発展
 広告の起源は古代バビロニアで,現存する最古の広告は古代エジプトの「ちらし広告」である。そして15世紀に入り,イギリスで広告は大きな発展を遂げた。それは印刷広告が登場したからである。また日本の広告の起源は8世紀初頭であり,明治時代に広告代理業ができ,広告は一般的なものになったのである。つまり,歴史は連続しているもので広告はその時代の文化と強く結びついているので現在や将来を知るためには過去の歴史を知ることが重要である。

第3章 低成長時代のコ・マーケティングにおける広告の位置づけ
 高度経済成長時代ではマーケティング・ミックスの要素はProduct,Promotion,Place,Priceの「4P」で表されてきたが,低成長期時代ではCommodity,Communication,Channel,CostまたConsumer,Communication,Convenience,Costの「4C」で表す方が適切である。そして,「Pro(前)の接頭語の多い高度経済成長時代のマーケティングはプロ・マーケティング(促進マーケティング),そして低成長時代のマーケティングはCo,Con,Com(共に)の接頭語が多いことからコ・マーケティング(共生マーケティング)になろうかと思う」(82ページ)とマーケティング・フレームワークの変遷を論じている。また先ほどの「4C」にConsumer(消費者),Corporation(企業・団体),Circumstance(環境)を加えたものが「7Cs」であり,「消費者への考慮要因N=Needs(必要性),W=Wants(欲求),S=Security(安全性),E=Education(消費者教育)また環境への考慮要因N=National and international circumstances(国および国際環境),W=Weather(気象・自然環境),S=Social and cultural circumstances(社会・文化環境),E=Economic circumstances(経済環境)のコンパスの形をとっているので7Cs COMPASS MODEL」(97ページ)とし,このフレーム・ワークのコミュニケーション・ミックスに広告が位置づけられている。

出典:清水公一(2004),『広告の理論と戦略』創成社,1-102ページ。

投稿者 : 2005年05月02日 16:57

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~t020026/blog/mt-tb.cgi/18

コメント

出典の書式が誤っているので修正してください。

投稿者 Baba : 2005年05月02日 21:58

コメントしてください




保存しますか?


 
Copyright© 2005-2006 Baba Seminar. All rights reserved.