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2005年05月23日

広告の社会的役割(宮原 2002)

 この論文は企業の社会的役割と責任という観点から社会に影響力を及ぼす広告に関して記している。

1.広告批判
2.広告の社会的役割
3.広告の社会的責任
4.制度としての広告
5.企業の社会的役割と広告

1.広告批判
 広告批判として企業が販売促進として多額の広告費を費やすと消費財コストや物価が上昇し,社会がインフレを起こす可能性があることや広告は全てではないにしても,消費者に誤った情報を与えてしまうことや「広告は企業集中を促進し,独占の弊害をもたらす」(30ページ)ことなどが挙げられている。このように,経済が発展すると企業活動に伴い,広告活動も活発になり,「広告が経済問題だけでなく,社会問題や文化問題としても影響力を持つようになり,広告に対する批判が大きく浮上することになる」(30ページ)

2.広告の社会的役割
 広告の社会的役割としては,売り手と買い手の距離を縮め,購買までの過程を円滑に進める役割を果たすことや一企業の利益目的だけでなく「全社会の福祉と厚生の増進のために用いられるべき」(30ページ)としている。また,広告によって消費者が利益を受けるため一般大衆による広告費の負担や広告制作者をコントロールし,社会の利益をまもるため広告制作者を資格制にすることなどを提案している。

3.広告の社会的責任
 ここでは広告の社会的責任を広告の経済的機能から述べている。つまり「消費生活にもたらす諸メリットを消費大衆に知らせ,その面から消費購買行動の容易化,円滑化,有利化に資する」(31ページ)と主張している。そして今後の広告活動について購買行動の援助と同時に需給のバランスを維持し,広告を企業の経営的・社会的活動としている。また,広告は消費者に商品の情報を与え,選択幅を増やし,生活水準を向上させ,大量生産を可能にし,商品の低価格化に貢献してきた反面,社会環境の破壊や生産資源の浪費などの批判も存在する。したがって,これらの問題を解決するために「企業理念が顧客志向から社会福祉志向に移行する」(31ページ)ことが望ましく,これらの理念に基づいて広告のあり方を考慮する必要がある。

4.制度としての広告
 現代の高度消費経済では広告は社会的・文化的影響力をもっており「広告を現代社会の中の制度と捉えている」(32ページ)ここでの制度とは「数十年にわたって蓄積されたグループ行動のパターンをさす。制度は,ある共通の感情を社会の人々に共有させる機能を有する」(32ページ)とし,広告を単なるマーケティング・ツールとしてではなく,より広い観点から論じている。

5.企業の社会的役割と広告
 現代社会では企業の影響力が増大しており,企業の利益を得るための行為が自然環境のシステムを乱し,消費者に自分自身の幸福という自己中心的な哲学を普及させていることに疑問を投げかけており,この問題を解決するための需要の抑制に広告の役割があると論じている。

出典:宮原義友(2002),「広告の社会的役割」『日経広告研究所報』,36(4),29-33ページ。

投稿者 : 2005年05月23日 18:05

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投稿者 Baba : 2005年05月24日 04:20

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