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データマイニングが切り開く カード会社のビジネスチャンス。 vol.4 湯浅 薫さん 関西大学商学部商学科データマイニング・ラボラトリ2002年卒

クレジットカードの発祥は1950年、日本への進出は1960年と、すでに50年近い歴史があるんですよ。今では皆さんも1枚くらいは何らかのクレジットカードを持っておられるんではないでしょうか。特に海外旅行では、現金を持ち歩かなくても買い物ができるカードは重宝しますよね。そのクレジットカードの生命線は、世界中で安心して使えるシステムとネットワークの提供に尽きます。安全で安心して利用できるシステム、これは偽造・不正利用とのイタチごっこなんです。JCBでは、約6000万人の顧客と1200万件の加盟店、そして1日あたり150万件の購買履歴データがリアルタイムに蓄積されています。偽造カードであれば、ハード的なチェックでの防止も可能になりますが、なりすましや悪用・不正利用は決済後に見つけたのでは意味がありません。不正利用しようとしたその瞬間に、このカードの使われ方はオカシイと判断できるシステムが必要になります。この「悪用・不正利用検知システム」でデータマイニングは、大いに活用され、成果を上げているんです。過去の忌まわしき悪用・不正利用の膨大なデータを分析し、不正利用のパターンを発見していきます。そうです。全世界に広がるネットワークでこのパターンに一致した使われ方をした際に、カードの利用を抑止するなど、自分が発見したパターンで数億円単位の被害を食い止めるなんてことも可能となる訳です。想像しただけでも、スリリングでやりがいのある仕事だと思いませんか?普段のゼミの中でのマイニングは販促目的の研究をすることが多いかと思いますが、実社会ではこんな形で活用されていたりするのです。

もちろん、悪用・不正利用検知システム以外でもマイニング技術は活用されています。たとえば、毎年3月と8月に旅行に行っているユーザーへは、少し前の月の段階での旅行案内・DM等による販促活動も可能ですし、新商品開発時のユーザー動向、動線分析を実施することも可能です。カード利用での購買履歴では、「何を」購入したかまでは完全に把握できないこともありますが、「いつ」「どこで」「どのお店で」という情報は沢山蓄積されています。何時にどこの土地でいくらくらいのモノを購入し、その後どこに移動して、どんなお店でいくらの商品を購入したのかという、静的な購買履歴を繋げて分析すれば、ユーザー像に合わせた動線も浮かび上がってきます。これらのデータは、今後新しいショッピングモールの開発や町作り、町興しへの有力なデータともなるわけです。どうでしょう、何となく新しいビジネスチャンスにも繋がっているように感じませんか?カード会社という枠にとらわれず、社内に保有するこれらの情報資産を様々な価値ある情報に変化させ、新たな収益源としてのビジネスチャンスを発見し形にしてみたいというのが、私の最近の目標です。

湯浅 薫 Kaoru Yuasa

データマイニング・ラボラトリ(矢田研究室)1期生。2002年 株式会社ジェーシービー入社。コンサルティング会社かSE系の就職を考えていたにもかかわらず、矢田の「カード会社って面白いよ」のひと言でカード会社を就職先に選んだ生粋の矢田ファミリーの一員。カード会社の持つ情報資産を生かして新たなビジネスチャンスの発見・ビジネス化が目下の目標。

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