プロジェクトの紹介 ごあいさつ

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最新技術を顧客データ分析に応用し、考える力と行動力を兼ね備えたプロセスイノベーターを輩出します。

本プロジェクト「プロセスイノベーター育成プログラムの開発」は、 文部科学省平成20年度「産学連携による実践型人材育成事業」に採択され、同省からの委託業務として関西大学商学部において実施しています。

近年、ユビキタス環境が急速に普及し、WEBログ、センサーデータ、トランザクションデータなど、ビジネスプロセスに関する詳細かつ膨大な時系列データが企業内外に蓄積されつつあります。それらのデータから、ビジネスのダイナミクスを科学的に理解し、新しい知見を発見したいという、データマイニングへの社会的ニーズが非常に大きくなっています。「プロセスイノベーター」とは、価値創造プロセスのダイナミクスを理解し、新しい知見をベースに新しいビジネスを創造しうる人材を意味します。そこで求められるのは、第一に、複雑な事象を科学的にとらえ、考える力。第二に、新しい知見を見つけるだけではなく、それを駆使した企画力と実践力、実際に行動を起こすことです。そのために、高度な統計数理、データマイニングに関する知識と社会科学の素養を養います。

本プロジェクトは3年計画で、学部学生を対象にした、ビジネスプロセスを科学的かつ実践的に分析できる「プロセスイノベーター」の育成・教育プログラムを開発することを目的としています。プロセスイノベーター育成プログラム(DSI(Data Mining and Service Science for Innovation)プログラム)では、高度な統計数理、データマイニングに関する知識と社会科学の素養を培い、ビジネスプロセスを科学的かつ実践的に解明できる人材の育成、そのための教育プログラムを開発します。本プログラムでは、大規模データを用いたビジネスプロセス解析のプロトタイプとしてマーケティングに関する問題に焦点を当て、消費者の購買行動に関する大規模時系列データから知識を発見する教育プログラムを開発。学生は企業からのアドバイスをもとに企画立案訓練を行うため、実践を通じたスキル獲得が可能であり、企業にとっては、今まで眠っていた膨大なデータを有効活用し、新しいニーズの発見が期待できます。本プロジェクトにより社会人力豊かなイノベーターの創出を行い、社会に貢献できる人材の育成をめざします。

データマイニング(Data Mining、データからの知識発掘)

大規模なデータベースから発見されたパターンやルールを知識ベースとして蓄積・学習し、新しい知識を発見・学習するプロセスである。データマイニングシステムとは、このような知識をデータベースから発掘する知識獲得システムであり、これらの獲得された知識を知識ベースとしてコンピュータ内外に蓄積している。またそれは、人間の介在を最小限に抑えながら、新たな知識の生成を達成しようとするものである。データマイニングは、ナレッジ・ディスカバリー・イン・データベース(Knowledge Discovery in Database)、略してKDDと呼ばれることもある。

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「座学」ではない「実学」をめざす。

ビジネスは最高に面白い!その面白さとビジネスの厳しさを伝えるためのプロジェクトでもあります。

プロジェクト統括責任者 矢田勝俊

本プログラムを通じて、私が学生に養って欲しいのは、最後まで自分で成し遂げる力。これは非常に困難なことであると同時に、ビジネスの世界では最低限必要とされる力でもあります。受験勉強で経験してきたような、効率的に決められたことを覚えるといった座学ではなく、自分で何かをクリエイトしていくということは、非常に魅力的で面白いことです。ビジネスにおいては、自分の力で成し遂げたことが、利益であったり、人の笑顔であったり、何かしらの成果を生み出します。自分の力で未知のものを創り上げていく、そして自分のアイデアが世の中で生かされる。そこにある達成感は素晴らしいものですし、こうした取り組みそのものが学生にとって非常に興味深い事だと考えます。

今回のプロジェクトでは、実践教育プログラムの段階で企業へのビジネス提案を行います。実際にビジネスとして成立するプランを企業に提案するためには高度な問題設定能力が求められます。そのためには「現場を知る」ことも大切です。消費者の購買行動を知るのであれば、実際にレジに立ってみないとわからないことがたくさんあります。教育の場で与えられたプログラムの組み合わせでは答えの出ない、不可解なデータへの判断力も大切になります。また、産学連携ワークショップでは非常に厳しいスクリーニングが行われます。企業から求められるのは、自ら問題を発見し、それを解決へと導き、利益に結びつく企画を立て、そしてプレゼンテーションするといった能力です。悔し涙を流す学生もすくなくないかもしれません。しかし、今後ビジネス界に身を置く限り、この厳しさを乗り越える力が必要です。初年度、2年度は20人程度の少人数でスタートし、運営ノウハウを蓄積、質の高い教育プログラムを開発します。それらをもとに、将来的には効率の良いコースウェアを開発し、50人規模での運営を行います。皆様の本プロジェクトへのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

矢田勝俊 関西大学商学部教授(経営学博士)

1997年、神戸商科大学大学院経営学研究科博士後期課程修了後、大阪産業大学経営学部での教鞭を経て2000年より関西大学商学部に着任。大学院時代から複数の企業内で情報化の現場経験を積み、データマイニングのビジネス応用に関して研究。日本人として初めてKDD&DM(国際ジャーナル)に採択される。
ビジネス・マイニングワークショップ(データマイニング・オリンピック)主宰。
1995年兼松フェローシップ大学院生研究奨励賞
2002年人工知能学会研究会優秀賞

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