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2005年05月31日

日本の小売企業の国際化(田口 1989)

要約
 日本企業の海外進出は円高により一段と活発化し,製造業だけでなく,流通業やサービス業にまで拡大し,国際化戦略が流通企業においても重要問題となっている。この論文では,小売業の国際化に焦点をあて,背景と歴史について述べられている。さらに,最近注目されている仕入れルートの多様化についても論じられている。

国際化の歴史と背景 
 小売業国際化は戦後の高度経済成長と供に始まっている。この時期の日本の小売企業は,欧米先進諸国に集中的に進出している。先進流通技術の導入や高級ブランド品の仕入れルートの確立を目的とし,現地日系人や日本観光客を顧客としていた。また,欧米先進諸国の参入が,革新的な流通技術の導入を可能にし,日本企業の国際化への意識を高めさせた。しかし,80年代の国内市場の成熟と円高により,国際化のパターンに変化が起こった。海外仕入れルートの多様化が行われるようになった。従来の海外仕入れルートの他に,直接輸入,開発輸入,並行輸入という多様なタイプが発展している。
 直接輸入は,「小売企業が卸売企業などを経由せずに直接海外から商品を輸入すること」(58ページ)である。直接輸入は,中間を通さないため価格の低下が期待できる。これまでの直接輸入は,大手小売業になどによる有名海外ブランド商品に限られていた。しかし,円高の影響によって直接輸入の対象商品が拡大し,有名ブランド品に限らず実用性・機能性を特徴とする商品にまで広がっている。
 開発輸入とは,小売企業が主導権を持ち商社や国内メーカーと提携した形でプライベート・ブランド商品の生産や海外メーカーへのOEM発注などである。開発輸入による商品では,より消費者の要求に応えられる製品が生産することができる。

結論
 円高が小売の国際化について大きな影響を与え,今までの後発型の国際化パターンから多様な国際化タイプへと変化をもたらしている。

論点
 円高という企業の外側の環境を国際化パターンの原因としているが,企業の内要因変化についても考えるべきだと思う。

田口冬樹(1989)「日本の小売企業の国際化について」『専修経営学論集』,第47号,45-80ページ。

投稿者 02daigo : 2005年05月31日 18:59

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