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2005年04月29日

中国市場におけるカルフールの店舗競争力ー世紀聯華との比較分析ー(田村2003)

要約
この論文は、フランスのスーパーのカルフールが、中国で現地スーパーにまじってスーパー部門で2位を維持している先発者利益について明らかにしている。先発者は先発者利益を持続するために差別化し、顧客のニーズにあわせて適応して、顧客価値を維持することであるとされている。ここでは、世紀聯華 体育館店とカルフール南方店の事例を用いて両店の顧客満足度を検討している。その結果、カルフールは接客サービスや食品の差別化を図って高い顧客満足度を得ていることが判明した。「顧客価値とは消費者が店舗選択に際して用いる判断基準の重要度である。」(12ページ)と定義されている。顧客欲求を的確に満たしている。



理論的検討
カルフールは外資系企業にも関わらず、中国のスーパー部門で2位である。このような高い顧客満足度を得て先発者利益を維持できるのは、カルフールに店舗競争力があるからである。この店舗競争力がどのようなものであるかを競合店との比較において以下の実証的に明らかにする。


実証分析
 小売ミックスの状態と顧客満足水準を来店者に調査を行ない、小売ミックスについての顧客満足をマンホワトニー検定で測り、以下のことが明らかになった。
利用客の特徴としては、客単価が、カルフールは世紀聯華の倍以上あり、「発展途上国では、外資系のスーパーなど、大型店はまず中流所得者以上を顧客にする」(8ページ)とあるように中国のスーパーとターゲットが異なっている。食品売場の顧客満足水準は有意差があり、カルフールの方が高い顧客満足を達成している。衣服売り場でもカルフールは世紀聯華に明確な差を出している。
また、顧客価値ベクトルで、カテゴリー回帰分析を使って顧客価値の推定をした。推定のモデルは以下の通りである。

S = B1 X1 + B2 X2 +・・・+ Bn Xn
Sは両店の各売り場の顧客満足度
X1,X2・・・Xnは各売り場の小売ミックスのスコアであり、独立変数
B1,B2・・・Bnは各属性の顧客満足度への影響度を現す標準化係数
として本論文では推定している。
 
 この論文では,以下のような結論が述べられている。カルフールは先発者利益を得て優位性を持っている。客単価は倍以上で配置の分かりやすさやレジ待ち時間は世紀聯華に劣るが、食品安全性管理や接客サービスで差別化していて、顧客欲求に適応している。これが店舗競争力の強みになっている。そのため、店舗競争がおきても、カルフールは顧客欲求に的確に適応し、高い顧客満足を得て先発者利益を維持する。
 今後は中国で大型店を規制する新法が制定され、他の外資系流通業の競争が激しくなり、シェア拡大が予測されているので、今後の中国流通業競争の展開において、カルフールの先発者利益の維持はこれからも検討されるべき課題であると述べられている。


田村正紀(2003),「中国市場におけるカルフールの店舗競争力―世紀聯華との比較分析―」『流通科学研究所モノグラフ』No.38

投稿者 02aiko : 2005年04月29日 23:52

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コメント

以前のエントリーを熟読の上,書式を修正するように。
また,理論的検討について記述がなく,結論部分のまとめも不十分です。しっかりと,論文を読み直し,著者の意図を十分にくみ取り,適切な言葉を与えるように。
修正の期限は本日中とします。

投稿者 Baba : 2005年04月30日 06:49

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