日々雑記


風景

2021-9-1

もう9月。過日の写真(上)をUP。 に次いで定点観測。
右に朝日連峰、左に水田が広がる風景。
ごく普通の風景ながら、無人駅ホームの端から見る風景はいつもながら心が和む。

しばらく和んでいると、踏切の警報音が聞こえる。列車が到着しそうなので慌ててホーム外へ。駅周辺には新しい建物やコンビニもいくつか出来ている。
以前とは少しずつだが変化している・・・。

発車した列車を眺めながら、しばらくは風景を堪能。
余韻が未だ醒めない。

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霊木化現

2021-9-3

終日、強雨。某所寺院へ向かう。

阿弥陀如来立像。今の職場に移って間もない頃に調査し、隣接市での展覧会にも出品された作品。
このたび、指定候補にしたいということで、再見。

10世紀後半の制作、内刳りなしの一木彫。地髪と肉髻の境が曖昧なので、もとは天台系の薬師如来像だったようである。故あって隣接市の別寺から移座された。

調書(私が作成したものではない)には「霊木化現」とあるが、その痕跡は見当たらない。尋ねると、躰部衣文の間に細かいノミの梳き目があると。
「仕上げ(のノミ目)でしょう。そこは削除してください」と。

一時期、「霊木化現」がブームとなったが、その後の研究はあまりみない。私見ながら、神像や神宮寺関係の仏像に顕著な特徴が見られ、考察の余地が残る。 不思議ちゃん(2013-08-26)と称される仏像もこれに連なる・・・。

時折、ワイパーを強回転させながら、帰宅。
秋雨前線、北上。

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趣味

2021-9-5

久々に末娘とデート。
ふいに退職後を聞かれ、「(老後の)趣味は?」と問われる。

「『釣り』?」と末娘。
「アカンねん。釣った魚が、クーラーボックスでバタバタするやろ。そのうち音がしなくなると、もうアカン。殺生はちょっと、ゴメン。」
「アカンか。じゃ、博物館・美術館の解説ボランティア?」
「もっとアカン。質問する来館者に『この作者はこうした経歴なので、この作品はこういう意味を持つのです。それを知った上での質問か!?』って暴言吐きそうやん。」と。
「確かに。クレーム、多そう。」と戸惑う末娘・・・。

「なんか、趣味ないん?」
思いを巡らせるものの、浮かぶモノなし・・・。

末娘、ふいに「”ふねこ”どう?」と。確かに。
ふねこは阪九フェリーのキャラクター。強引ながらフェリーで日本一周も可能である。

よい案だと思いつつも、ガチの猫はどうする?

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実技試験

2021-9-6

長らくぶりに大学。電気工事も終了。

某博物館から学芸員採用試験案内が送られていた。ご厚意ながらもうちでは該当者なし。
パラパラと案内をみると、実技試験(15分)〔プレゼン・パワポ無〕と。
せっかく15分間の実技試験なんだから、もっと現場っぽい(即戦力的な)実技試験だと面白いことになると思ったり・・・。

実技試験会場。会場中央には大きな机の上に仏坐像・茶碗を納めた箱(紐掛け有)・掛幅を納めた箱(同)・矢筈・道具箱(メジャー・折尺2本・筆記具在中)が置かれている。

試験官:「受験番号××番の受験者、入室して下さい」。受験者:「入ります。」

試験官:「机の上にある作品をひとつ選んでください。」
受験者:「えっ?じゃ、掛幅の箱を・・・。」
試験官:「では箱から掛幅を取り出して壁(ワイヤーフック付)に掛けて下さい。そしてまた壁から外して再び箱に納めて下さい。」

受験者:「茶碗の箱。」
試験官:「では箱から茶碗を取り出して、また元通りに箱に納めて下さい。」
受験者:手を動かす・・・・。
試験官:「はい、そこまで。箱紐の掛け方が間違っています。」

受験者:「仏像を・・・。」
試験官:「では、道具箱に入っているもの全てを使って採寸してください。」
受験者:像高、面幅などを採寸するも折尺は1本のみ使用。「終わりました!」
試験官:「折尺の使用は1本のみでしたが?坐奥は?」
受験者:「・・・・。」(少し大きな坐像の坐奥は折尺1本では計測不可)

いやぁ、緊張感あふれる実技試験。

ただでさえ高倍率なので、実際にどこかで実施してくれないかな。
お手伝いしますけど。

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ウィズコロナ

2021-9-8

さっそく学内会議(Zoom)。

これまでカメラ付のノートPCで出席していた。
ところが夏休み直前に「組織により、PINを変更するように要求されています。」とPINを変更したが、すっかり失念。2度ほど試したが駄目だったので、急遽、秋学期授業準備に使用しているWebカメラに変更し、対応。

昨春はほとんどの授業がパワポ+字幕。今春は一部パワポ+音声、今秋は全授業パワポ+映像+音声と徐々に進化。もっとも映像は冒頭の顔出しのみ。主役はもちろん作品画像。

もう、このスタイルが通常なのか、異常なのか分からなくなってきた。
学生はオンライン授業のほうが好評のようだが・・・。

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画中画

2021-9-11

フェルメール《窓辺で手紙を読む女》の壁から大きな弓を持つキューピットの絵が出現とのニュース。

これまで女性の物憂げな表情から手紙が女性が望む内容ではなかったとも説明される作品。
弓を持つキューピットの出現によって「女性が望む内容ではなかった」のではなく、望む内容以上のことが手紙に書かれていて当惑した表情のようにも思える。

絵画(特に西洋)はこうしたさまざまなアイテムを描き込むことによって、絵の内容が明確になるという好例。

大阪市立美術館「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」(2022年7月16日~9月25日) に出品予定。
お急ぎの方は「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」(11月13日~2022年1月16日)に フェルメール《信仰の寓意》が出品。
不自然な体勢、やや平板的な構成から対とされる《絵画芸術》よりやや劣るが・・・。

大阪市立美術館はフェルメールがお好きとみえる。

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マッチポンプ

2021-9-13

Kという全く見知らぬ男性から、「博物館資料保存論」レポート課題の”お助けメール”がやってきた。

なんでも「美術研究方面でご指導賜ってい」る同僚教員の繋がりを頼ってきたらしい。
もちろん同僚教員からの話は皆無。 Kは都内T大学の学芸員資格科目(通信制)を履修とのこと。そんな依頼は同僚教員にお願いしたらいいのに・・・。

ご丁寧に課題のスクリーンショットを送ってきた。
課題は「博物館資料を活用・公開することによって、保存に繋がった実例を挙げ、博物館資料(文化財)の活用と保存について論ぜよ」。
留意事項として1.資料(文化財)を公開することで保存に繋がった具体的な例示、2.公開によるリスクの改善策、3.多くのリスクを負ってまで公開することの、保存におけるメリット、4.民間レベルでの保存活動例がより好ましい、5.学芸員としての対処法(努力や工夫)を考察、と盛りだくさん。
ガン無視しようとおもったが、アホなこちらは実例を提示。4.5については無理だが何とかメモが出来た。

ところで、学芸員資格科目(通信制)の担当教員はT・Y先生。
試みにググってみると、よく知る知人を介せば、コンタクトが可能。
「Kのレポートの骨子は私が書いたものです。ですから評価としては『可』あるいは『不可』でいいんじゃないでしょうか?」と助言することもできる。

そもそも、「これまで美術の制作や歴史方面を専門に勉学に励んで参りましたが、恥ずかしながら博物学方面には弱」い博物館学芸員は必要か?
マジで、知人の電話番号を押しそうになったわ。

k-(同僚教員)-ハセがOKなら、ハセ-知人-T・Y先生もOKやろ。

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隔世の感

2021-9-14

講座(飛鳥史学文学講座)で旧職場蔵の屏風の画像が必要となった。
屏風は『優品図録』に掲載されているが、マイナーな屏風で細部までは分からない。

特別利用(熟覧・撮影)を提出して撮影するか・・・と思っていたものの、緊急事態宣言で臨時休館中。
ちょっと慌てて4×5フィルム(確かあったはず)を借用し、デジタル化して1部を旧職場を納品という手続きを踏まねばと思い、過日、問合せをする。

学芸員氏(もちろん知らない)に対応していただき、特別利用申請書の提出・許可を経てメール添付で画像を送る旨を知らされる。
あのマイナーな屏風のデジタル画像があるんだと、ちょっと驚き。

昨日、許可がおりて画像が送られてきた。想像以上にデカいサイズ!細部までバッチリ。深謝、深謝。
昔は4×5フィルム(貸出・返却)、書類の不備等で大変な業務であったが、隔世の感。

頑張って、夜半まで資料作成に励む。

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仏像調査

2021-9-17

雨天ながら某所で仏像調査。

事前に伺っていたのは、本尊坐像1躯。ところが、どうも全仏像の調査を希望。夕刻までかかって調査終了。

馴染みの職員氏に加えて新規採用の職員氏が同行。
以前、累積していく文化財保護業務を行うため、資料館運営を外部委託させ、職員を文化財保護業務に集中させた責務が私にはある。 新採職員氏の顔を見ながら、ちょっとだけ肩の荷が下りた。

しかし、これまで文化財には関心も興味もございません(だから予算は削減!)と言っていた首長が改選近くになると、「おらが町の宝」「大切な郷土の文化財」と言い出すのはどういうことなんだろうか。 これまでの不信に加えてあまりの豹変ぶりに現場は戸惑うばかりだが、首長の指示ゆえ動かざるを得ない。

なんか再選したらまたぞろ「(文化財)予算は削減の方向!」と元に戻りそうにも思う。

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MIHO MUSEUM

2021-9-19

久々にMIHO MUSEUM「ミネアポリス美術館 日本絵画の名品」展へ。

冒頭は、藝愛や山田道安の水墨画。
道安の作品は小品はいくつか見たことがあるが、大型作品(「龍虎図屛風」)は初めて。

群仙図襖(旧天祥院客殿襖絵)もオリジナルは初めて見る。狩野探幽「瀟湘八景図屛風」は色紙形がすべて失われているが、どこかにあるのだろうかと邪推。屏風は、そのほか武蔵野図屛風、誰が袖図屛風など興味深いものばかり。

あとは清原雪信(1643年~1682年)。父は久隅守景、母は探幽の姪という画家一家。大叔父探幽に絵を習っていたが、同じ塾生の尼崎藩士の息子と通じて駆け落ち、画業で身を立てて大いに繁昌、尼崎で亡くなったともされる。
清原雪信の作品は尼崎市立歴史博物館でも見た。
寛文12年頃に守景の息子彦十郎も悪所通いなどが原因で狩野家から破門を受け佐渡に流罪。相次ぐ子供の不祥事で、一家は狩野派から距離を置き、守景は金沢で活躍。

そんなことを微塵に感じさせない作品。
充実した展覧会であった。満足。

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秋学期

2021-9-21

授業開始(オンライン)。構内を歩く学生の姿は疎ら。

米子・八幡神社神像が県指定にとのニュースに接する。
初の調査は2012年3月。それから米子まで調査や調査後の報告に何度、通ったことかと感慨深い。

女神像や男神像、僧形神像の11躯が指定、近世作の3躯は「附」で、指定としてはほぼパーフェクト。

失礼ながら、あまり仏像や神像に関心のない行政、誰が動いたのだろうか・・・。
「平安の半ばまでさかのぼる神像は全国でも決して多くない。美術史や信仰史において貴重な存在」と評価するが、調査当時から言っていたことではないか。

行政の腰の重さには驚くばかりながら、まずは祝いの一献。

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土佐派と住吉派(其の二)

2021-9-23

祝日ながら授業日。

久保惣記念美術館で「土佐派と住吉派 其の二―やまと絵の展開と流派の個性―」が開催中(~11/7)。

何気なしに出品目録を見ると、土佐光吉「源氏物語手鑑」(館蔵)に加え光起の作品。このあたりの内容まではママある展示。
ところが以下、光成・光祐・光芳・光孚らの作品がずらり。加えて住吉広守・広行・弘貫・広賢の作品や板谷派の作品。総数200点弱。しかも前期(~10/10)と後期(10/12~11/7)で大幅な展示替。
もっと早く気付くべきであった。
後世の土佐派の教科書とすべき豊富な内容。

早速手帳を見ながら、見学の算段。

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関大LMSはTwitterではない

2021-9-25

昨日、1年生の講義(リレー講義)があるので次週への連絡と思い「(オンライン)受講方法の栞」を送信した。
どうも早すぎたのか、1年生の一部からLMSに資料等が上がっていないとの連絡。
多くは通勤途上で処理したが、ただ許せない女子学生(昨日受信)がひとり。

件名:Re> 学びの扉(芸美・長谷)のオンライン受講方法について
メッセージ:教材が送られていません!(のみ)

オレの授業は来週(10/1)から。今日はガイダンス(他教員)。シラバス(講義計画)も見ていないし、「栞」にも「授業開始時間までにあげておきます」と書いてある。
件の学生は昨日の他教員にも送ったらしく、やんわり注意される始末。

腹立たしく思いながらも返信するも本日に至るまで「すみませんでした」「ありがとう」の返事すらなく、スルーな状態。一般常識の欠片もない人間である(件の学生以外はまず「長谷先生」と記して本文が来る)。
このまま何事もなかったように受講するのだろう。
個人的には「謝る」「反省する」ことの出来ない人間は嫌悪の対象。間違ったら謝るのは当然じゃないか。

最近は、大学ホームページもおかしくなっており、Information System「お知らせ」に「いいね!」ならぬ「気になる!」クリックが付く始末。それってホンマに必要か。
大学がTwitterやヤフコメのマネをするから、一般常識も知らないアホな学生が集まってくるんやで。

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古事類苑

2021-9-27

ひょっこりと来た院生と雑談に及ぶ。ふいに「漆箔」は箔何枚重ね?と聞かれた。

「ほら、あの江戸時代の辞書に書かれている」と言いながら、書名が出て来ない・・・。

艱難辛苦の末、ようやく『古事類苑』と。
『古事類苑』「宗教部三」「施箔」には、『二中歴』「木像用金薄」からの引用で「面七胸五 衣三座一」とある。
現実の漆箔はどこまで何だろうかとちょっと考える。

以前はすっと出てきたのに。今や図書館の場所だけが記憶に残る。

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電子メモパッド

2021-9-29

最近あまりにもミスが多いので、過日、電子メモパッド〔電子石版〕を購入した。
すこぶる快適。

常用の手帳もあるが、某日の欄には「13:00」とのみ書かれ、また某日には「×〇館」とのみ書かれ、記憶力低下と共に、真偽・確認に時間を要すること夥しい。
メモパッドに未決事項や処理案件を書き留めて、確定すれば手帳へ筆記、処理が済めば抹消線を引けばよい(部分削除は不可)。ほぼ未決事項や処理案件が済めば、メモパッドに残った案件を一旦、紙に写しパッドを 削除し、改めて未決・処理案件を写す・・・。

ただ、未決・処理案件が最近、増加していくばかり。
最初は目立つように大きな文字で書いていたが、だんだんと小さくなり、余白にどんどん書くので、この頃は未決事項や処理案件が乱雑で優先順位もわからないほど。

ともあれ、ミスが減ってきたことは幸い。

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