産学連携ワークショップ

.

期間を考慮した最適な値引き戦略に関する分析 関西大学商学部商学科 データマイニングラボラトリ 岸田明子さん

シャンプーの効果的な販促とは?

現金値引き、ポイント還元値引き、そしてクーポンによる抱き合わせ販売など、商品の購買を促す販売促進には色々な方法がありますが、皆さんはどのように販促されると商品を購入しますか?

私は、現金値引きという販売促進の方法に着目して、これまで蓄積されてきた購買履歴データを分析することで、あるシャンプーの売上を一番増加させることのできる値引き戦略の方法を提案しました。

一概に値引きといっても、値引き価格や値引きの期間など様々な条件が考えられます。例えば、定価500円の商品を300円で売ると、最初は安いと感じてたくさん売れるかもしれませんが、300円で毎日販売していたらどうでしょうか?お客さんは300円で売られているのが当たり前だと感じて、値引きの効果は減少するかもしれません。つまり、売上増加に効果的な値引きを考える際には、値引き額だけではなく、その期間なども考慮する必要があります。また、データを分析していく上で、ある値引きから次の値引きまでの間隔が売上に大きな影響を与える要因になっていることを発見しました。

そして、これらの点を考慮して、値引き価格、値引き期間、そして値引き間隔をどの程度にすると、売上が最も大きくなるのかという問題を設定しました。もちろんこのような要因の重要性は、データを詳細に分析していくことで明らかになった点です。そして、この問題を解決するために、蓄積されたデータを利用して、それぞれの条件に対して複数の値を設定し、シミュレーションを行うことで売上を最大にする条件の組み合わせを導き出しました。最終的にその値引き戦略を用いた売上予測を行い、産学連携ワークショップで報告しました。

このように目的を持ってデータを分析していくことで、最終的には売上に貢献できるビジネス戦略を立案することも可能になります。一度身に付けたデータ分析の技術や経験は、今後社会に出てからも十分に役立てることができると思います。


研究発表を終えて

研究や発表を通して身に染みたのは、マーケティングはデータに囚われてはいけないという事です。研究をしていくとどうしても目の前のデータにかじりつき、近視眼的にしか物事を考えられなくなってしまいがちになるのです。そういった時には、とにかく買物に行く!決して逃げていたわけではありません。これこそがマーケティングの研究に必要なことなのだと気付いたためです。つまり、自分が消費者の視点に立ってマーケティングを考えるということ。私にとっては、分析自体は楽しくも何ともなかったのですが、こうした実際の消費シーンで思いついたことを取り入れた途端、新しい発想ができあがるというのはとても面白い体験でした。

【DSI産学連携ワークショップ】

菱食株式会社 次世代事業推進本部の穐吉貴則本部長(株式会社シー・エム・シー社長兼任)、コロンビア大学教授 Rajeev Kohli教授をお招きし、マーケティングとデータマイニングの活用に関する講演をいただくと共に、出席頂いた企業様に対して、関西大学商学部 矢田研究室の学生が研究発表を行いました。

開催日:
2010年3月9日(火)
場所:
サピアタワー9階
主催:
関西大学DSIプログラム
共催:
株式会社シー・エム・シー
ページトップに戻る
.