産学連携ワークショップ

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ビールの市場分析と販売促進 関西大学商学部商学学科 データマイニングラボラトリ 金東賢さん

ビールの市場分析と販売促進

ビールの市場は、ビール、発泡酒、第3のビール、そしてノンアルコールビールなどのカテゴリに分かれていて、非常にたくさんのアルコール飲料が各メーカーから販売されています。お客さんは、このようなカテゴリの中からアルコール飲料をどのように選択し、購入しているのでしょうか?値段や味だけが商品購入の要因になっていて、特定カテゴリの商品だけを購入しているのでしょうか?それとも様々なカテゴリの商品を消費シーンに合わせて購入しているのでしょうか?

産学連携ワークショップでは、提供していただいた膨大なデータを分析し、ビール市場に着目して、お客さんのアルコール飲料に対する特徴的な購買行動を発見し、ビールの販売促進方法を提案しました。

分析では、まずビール、発泡酒、第3のビールの販売数量の変化を捉えるために、ネットワーク流量化推定と呼ばれる分析手法を利用して、各カテゴリの横断的な販売数量の変化を捉えました。そして、そこでは特定のカテゴリに特化した購買だけが行われているのではなく、第3のビールを中心にして、各カテゴリとの間で併売が毎月繰り返し行われている点を発見しました。そして、このビールの購買傾向を利用した顧客のグループ化によって、ビールの特徴的な購買傾向を発見しました。例えば、スタイルフリーやキリンゼロなどカロリーOFF商品を好む「健康志向派」。ビール、発泡酒、第3のビールの主要な商品をバランスよく購買している「バランス派」。発泡酒、第3のビールを主に購入する「低価格派」など、顧客の消費傾向から特徴的なグループを発見することができました。そして、それらの中からバランス派に注目して、ビールと第3のビールの消費シーンを分析することで、バランス派の顧客は、第3のビールを平日に、そしてビールは週末のご褒美として消費していることを発見しました。

この事実は、ビールの販売促進に利用できる有用な情報であり、最終的にビールの販売数量を増加させるためのプロモーションの方法を提案しました。このように、詳細にデータを分析することで、白紙の状態から、顧客の購買行動が徐々に浮き彫りになっていき、ビジネスに利用できるまでの情報を得ることができます。

研究発表を終えて・・・

データマイニングって本当に奥が深いですよ。難しいですけどね(笑)。一つを例にとると、過去のデータから未来の予測もできるのです。統計などを利用し購買履歴データを分析、加工することで予測購入モデルを作ることができます。そして、色んな条件下のシミュレーションを行えば、どの条件の時が最も「売上が高くなるのか」、「数量が売れるのか」、「利益が出るのか」など様々なことを導き出せます。 つまり、ちょっとしたテストマーケティングですよね。普段は大量の資金を投入して行うテストマーケティングが パソコンをポチポチするだけでできるなんて世も末だと思います(笑)
しかし、今回、出席して頂いた企業様に鋭い指摘をたくさん受け、今後データマイニングを更に実用的なものにしていくには現場に精通することが課題であると感じました。 難しいことですが、現場の理解もできたらもっとおもしろいことができると思います。

 

【DSI産学連携ワークショップ】

菱食株式会社 次世代事業推進本部の穐吉貴則本部長(株式会社シー・エム・シー社長兼任)、コロンビア大学教授 Rajeev Kohli教授をお招きし、マーケティングとデータマイニングの活用に関する講演をいただくと共に、出席頂いた企業様に対して、関西大学商学部 矢田研究室の学生が研究発表を行いました。

開催日:
2010年3月9日(火)
場所:
サピアタワー9階
主催:
関西大学DSIプログラム
共催:
株式会社シー・エム・シー
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