日々雑記


入試

2009-2-1

今日から8日まで入試。
黄色いリボンを付けたり、首からの教職員証をぶら下げた人々が往来。試験監督者と学内散歩する人々と区別するための証。要所要所には在学生等が会場案内のために立つ。
すでに分厚い「入学試験監督要項」も配布され、注意事項のなかにも大学周辺での合否連絡を口実した個人情報や振り込め詐欺への諸注意も。合格発表は大学HPや携帯Webのみ。
クラブやサークルの「合否電報」勧誘も絶滅。

今年の初日は日曜日に当たっているので夕刊がなく、坂を登る光景は新聞にでないだろうと、真剣な表情の受験生を前におバカなことを考える。

学内最大の行事、開始。当分の間、早起きが続く・・・。

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卒論・修論

2009-2-3

入試終了後、卒論のコピー取り。
原本と複本があり、主査・副査で適宜読み回せばよいが、都合上、通勤の車内でも読んでいるので、万が一紛失してしまうとたいへん。おまけにアンダーラインなどを引いてしまうので、いつもこの時期は担当分の卒論を両面コピーする。厚さ3cm。
覚書風に卒論・修論を混ぜてのキーワードを掲げると以下の通り。
悲母観音 伴大納言絵巻 模倣の価値 大人アニメ デザインと量産
いわさきちひろ 日本現代音楽 ギャラリー画 林静一 宝冠弥勒 南蘋派
スタンリー・キューブリック 化粧 「パーフェクトブルー」 住吉物語絵
原羊遊斎 ボーヴォワール ルネ・マグリット ポップ・アート 漫才成立
初山滋 “無国籍”映画 与謝蕪村 『宝性論』 浄土思想  
今日、たまたま10年ぶりに当時の哲学科同窓会を開く案内を頂いたので、当時の卒論のキーワードを掲げると、
竹久夢二 光悦茶碗 ファン・デル・ウェイデン 横山大観 喜多川歌麿
とはずがたり ブリューゲル ダリ ロートレック 東寺講堂諸仏像 小袖
TVコマーシャル 寝覚物語絵巻 東大寺法華堂乾漆諸像(←私) ロールプレイングゲーム ・・・
ロールプレイングゲームが最先端ながら副題に「コンピュータを通した遊び」とあって時代を感じる。
8ビットか16ビットの「コンピュータ」で、カセットテープや8インチフロッピー(システム)を抜き差しして起動、記憶させ、本体にカラーのCRT、外付け8インチフロッピーディスク、漢字ROM!をつけると、ダイハツMira(軽自動車)が買えた・・・TSUTAYAもDVDもない時代。
そりゃ、卒論も変わるわなぁと実感。

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仏像

2009-2-6

入試もようやく終盤。

ふと、先日、東京駅ホームで見たJR東海の「ニッポンの 奥へ、奥へと、 室生寺へと。」のポスターを思い出し、TVCMじゃないけれど、「なんで室生寺なんだ?」と思ったが、3月1日まで金堂内部特別拝観との由。山手線ホームに立つと、3月から開かれる東博での「国宝 阿修羅展」のでかいポスターも既に掲出されており、仏像一色といった感じである。

地元関西では一転して仏像受難。このところ、京都しかも古刹での仏像盗難が相次いでいる。新幹線に乗って奈良・京都の古刹に来る人、阿修羅像の前に行列する観覧者がいる一方で、拝観者を装って仏像を盗みに来る輩もいる。落差の違いに異界感すら、覚えてしまう。
「速やかに返してほしい」と話す関係者のコメントの前後に「いずれも文化財指定を受けていない」と、わざわざ記す報道の感覚もどうかと思うが。

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ペン回し

2009-2-8

本日で入試も終了。ここしばらく天気がいいので、昼の休憩時間はこの通り“ピクニック・ランチ”となる。
邪魔しないように傍を通ると、今しがた終了したばかりの問題やら回答の雑談(講評)。時折、「え゛っ~!」という声も聞こえてくる・・・。

入試はほとんどがマークシートなので、筆記具はHBの黒鉛筆か0.5mmのシャープペンシル。もとより鉛筆削りと消しゴムも必携の由。
今の学生は、ペンを指に挟んでクルクルと器用に回す。見ているほうは落としはしないかとハラハラするが熟考中らしく全く意に介していない様子。
残念ながら私は出来ない。会社の勉強会などでもこれが出来る人とできない人がいる。ボールペンを器用に回すのはたいてい若い人たち。オヂさんたちはせいぜい鼻に引っかけるぐらいである。
ペンの扱いにもきっと世代の壁が存在するのだろうと今日も妄想。

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その男、凶暴につき

2009-2-9

昨日、自宅でガラクタ整理をしたらしく、昔、職場で受けた「セルフ・エンパワメント」なる研修の結果が出現。 研修とはいえ、この種のセミナーで有名なマネジメントスクールの通信講座に拠ったものである。
初回は、様々なシチュエーション対応の回答による自己分析結果。
根底に人間不信があり、他者に対しては好き嫌いが激しく、嫌いな者に対しては非常に攻撃的。
  自分自身を何よりも信じ、他人がどういおうと「わが道」を進んでいく性格で・・・
結構、ひどい?内容。「当たってへんよな?」と問われた家族もやや後ずさり気味。

朝から終日、論文読み(&コメント・メモ)。時には内容がさっぱりわからず、何が言いたいのかも分からず、イラッ・・・としてはイケナイ。

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階段

2009-2-10

用事があって博物館へ立ち寄るとこの階段。素直にきれいな曲線だと思う・・・人はどうぞ、お友達に?。

台車が無粋だが、階段裏もなかなかよい。見た目の外観がいい、裏もいい、と思うところは、なんとなく茶碗にも似ている。
「いい仕事してますねぇ~」で、おなじみの中島誠之助は、修業についてこう述べている。

「修業は一生ということで、じゃあ一生毎日毎日、蕎麦猪口のケツを眺めていたり、ぶ厚い美術書をひっくり返していればいいのかというと、そんなのは大間違い。そういうふうにしか頭が働かないから、今の連中は視野が狭すぎるんです。だいたい茶碗のケツばかりみているような奴は、それしか進歩がないわけで大成することはない。」

思い当たる節もなきにしもあらずだと思いながら用事を済まして表に出ると、確か、3つ仰せつかったはずだが、1つがどうにも思い出せない。慌てて再び階段を上る。

まだまだ丁稚なみ。

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吉田南構内

2009-2-11

午後より恒例となった京都大学での会議。
今回は早く終了したが、すでに時計台には明かりが灯っている。

いつも会議は文学部のある本部エリアではなく、吉田神社参道を隔てた吉田南構内の某所で開かれる。総合人間学部、いわゆる「人環(ジンカン)」(人間・環境学研究科)のあたり。
登録文化財の正門をくぐると、新しい建物のなかにゲバ字の看板が立つ一方で、ナチュラル・ローソン(日・祝も営業)もある。
各建物内のトイレに入ると、洗面台の後ろにはシャワーと洗眼機が設置されていて、おやっと思うが「緊急用」の札が掛けられている。
実験中に万一劇薬などを被ってしまうと、まずはトイレに駆け込むということになるそうである。なかなか刺激的・・・。

この時期、この構内での定期的会合であるが、決して我々は「 折田先生像 制作委員会」ではない。日本学術会議の協力学術研究団体(最近ではこういうらしい)の会議である。

でも今日、構内ですれ違った人のなかにきっと「制作委員会」メンバーがいると、密かに思ったり。

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機縁

2009-2-13

某寺(禅刹)にて肖像彫刻調査。ここでの調査は2回目で、いずれも建造物修理に関連した調査。

肖像彫刻の場合、特に強く感じることだが制作の機縁というものがある。 像主の祝賀や御忌あるいは寺の復興などなんらかの制作事情、背景がなければ肖像彫刻は造られない。なんとなく制作されて安置されるというのはあまりあり得ない。もちろん他所から持ち込まれた場合はそうした事情もかなり曖昧にもなる。
像底に「永禄云々」という像主に関係しそうなそれらしい銘記があったが、形姿や構造からは制作時期は17世紀後半から末頃。調査しながら建築の先生や関係者に建築の創建・修復年代や寺史を聞いたりつつ、落としどころ?を考える。
建築の先生や関係者もちょっと期待されただけにやや落胆の様子も。

禅刹方丈は造像と建造物との関係が反対ながらもかなり明確。
当初は方丈仏間に架けられた頂相画が、機縁を得て常設の肖像彫刻に替わり、仏間裏にある眠蔵(めんぞう)が改造、それに伴って襖絵が改められたり、建築全体の修復を伴ったりする。眠蔵で寝ていたであろう僧侶は広い衣鉢の間や庫裏に引越し・・・。

春一番。日中は生暖かく時折雨。夜半からは強風も

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教授会

2009-2-14

年に1度の日時指定の教授会。(理由は入試査定)

昨夜来の雨も上がり、なんとなく春めき、新1学舎1号館6Fからは梅田の高層ビル群も。
13:00からの会議も押しており(午前中にも会議1ヶ)、次の会議も押しに押されて、教授会開催もベタ遅れに。もちろん様々な議案・報告があるがゆえに。
下にみえる法文坂にはほとんど学生の姿がない。
いいよなぁ、学生は・・・と、恨み節?のひとつも。

年々慣れてきてラクになるはずなのに、慌ただしさに拍車が掛かるのは老化のせい?と思いつつ、それにしても色々な事があって驚くことも多い1日。

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2009-2-15

終日、大学にて書き物。

いつも「督促」メールがくるのだが、今回は日限が迫ってきているとの「警告」メール。

今回は好き嫌いのはっきりしている猫。好評となるか不評となるかが、問題。
そろそろ終わりにしたいのだが、まだ7回。毎回、よせばいいものを思いつつ、勝手にあと5回・・・と決める。

でもこの時期の日曜日、なんで図書館が休館なんだ・・・?

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口頭試問

2009-2-16

備忘録。

・当日朝までに試問会場ごとに卒論の束を括っておく事。
・口頭試問5回に1回は休憩を入れること(学生解放)。

試問を受ける学生へ
・見慣れた教員とはいえ、デレ~デレ~と試問を受けないこと。
・会場でべそをかいても、「アンタが書いたんでしょっ!」と許してくれるわけはない。
・試問時間の5分前には試問場へ来て待機しておくこと。【 見本
(おじょー様、試問の用意が整いましたので、どうぞ、会場のほうへお越しくださいって、執事じゃない!)

来年、試問を受ける学生へ
卒業演習の出席率と卒論の出来栄えは90%以上の確率で正比例する。

9:00から19:00まで、なんとか無事に終了。

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マンガのような

2009-2-18

頭部内の墨書銘 。

頭上部をパカッと開けると銘記が登場。
興福寺・金鼓を叩く波羅門像。いくら広葉樹の一木造で銘記を書く箇所がなかったとはいえ・・・。
高さ62.8センチ、「□□(なら)シンヤ/源三郎/天正五年四月/三十日」

「 シンヤ」は新屋町のことか。奈良林小路とする作品もあり、翌年五月にはもとの「宿院町」へ。

相変わらず、わからないこと、不思議なことも多い南都宿院仏師。

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異種格闘技

2009-2-18

大学院修論口頭試問。

これにて、論文読み&コメント・メモは一応の終了。
原稿用紙4、50枚程度からン百枚まで種々とり合わせて計37本也。
それぞれ“将来設計”がかかっているだけに、あだや、おろそかにも出来ず・・・。

内容が美術系とかモノ系統とかだと楽しく(厳しく?)読めるのだが、アビダルマや「説一切有部」やライプニッツの「可能世界」(共に例えばの話)などはほとんど異種格闘技に近い。試合のルールから知る必要があるので、コメント・メモに至るまでがひと苦労。
展覧会の異種格闘技はかなり楽しめるのだが、こちらはそうもいかない。

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この時期の調査

2009-2-20

ふたたび寒波。
お寺へ行くのに普段ならさほど問題にならないのだが、この時期に限って気を揉む所がある。

危惧しながら小雨のなか始発にて出発するが、途中まで快適・・・。午後からの調査で、もうちょっと寝る事ができたかもと、まだ眠気が残る頭で車窓を眺める。山間部に入っても雪は少なく楽勝ムード。

ところが、鄙びた駅で突如列車は停車。停電、信号機故障とあって車内で待つこと小1時間。ビジネスで乗車している人も多く、車内あちこちでお詫びの電話とイライラがつのる。こちらもむぅ・・・。
結局、停電区間はバス代行となり、その先を折返し列車で走らせる苦肉の策で、現地に着いたのは予定時間ちょうど。
ほぼ1時間おきに出ている特急ながら、5号に乗車して1時間ほど停車して、折り返しで乗った特急が7号というのは、遅れを少なくみせる偽装ぽくて、JR西の感覚もどうかと思うが。

おっとり刀で駆けつけるほど作品は優品で、足もとから来る寒さも忘れての調査だったものの、調査が終わると日も暮れ、高速バスもすでになく、帰りも未だ遅れて最終電車に滑り込む。ぐったり。

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むぅ・・・

2009-2-21

朝より2月期大学院(M・D)の筆記試験&口頭試問。
午後からは、プレ・スチューデント(3回目)も。終了後ほどなくして、さっそく合否査定の作業へ。
5時過ぎに終了したが、このあともプレゼンテーションが続く。
この時期に教員が一堂に集まることは少なく、時期的にも審議事項やら報告事項などが多いため、1日中めいっぱい。

最後のプレゼンテーションは欠席し、既に始まっている同窓会へ駆け込む。
経年劣化?という言葉もちらりと脳裏をかすめつつ、「全然、変わってへんな~」とも。
旧姓ということもあるが、名前がなかなか思い出せず、ひと苦労。

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抽象的彫刻

2009-2-22

調査、戦列復帰。
調査物件のなかに江戸時代、非専業仏師でない作品をいくつか。一見、はぁ?と思うのだが、見れば見るほどに味がある。
仁王像の腹もそのうちどこかしら岡本太郎の作品にも似てくるので不思議。
巧く造ろうという気持ちより、仁王像を造るという意思が力強く素直に現れている。
やや開き直りにも似た造形は、見る者に力を感じさせてくれる。

まとまりの良い作品が主流を占めた近世の彫刻ながら、野趣あふれるプリミティブというか、時代の先駆を思わせる作品に驚く。平安時代やら鎌倉時代にも負けない造形と意志が表現。近世の彫刻作品を前に「芸術意志」とか「アバンギャルド」とか思う。

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戦国時代の仏像

2009-2-23

朝より小雨ながら某群像の調査。悉く背面に「永禄九年」「仏師大部」の文字。書き取りながら、戦国時代の信仰を思う。
川中島を初め各地で合戦が行われ、奈良では筒井順慶が入り、この翌年、東大寺大仏殿に火が放たれる頃。もちろん当地は奈良や京都から遠く離れたところであるが、施主をみると地元の有力者。騒乱のなかで何を祈願したのだろうか。

造形や構造からみると、「仏師大部」は確実に地元仏師と思われるが、「仏師大部 施主・・・」と1行で書きしるされたり、冒頭に仏師名がくる墨書銘からは、仏師が威張っていたか、あるいは当地で数少ない仏師であったために尊敬されていた様子がイメージできる。

銘記筆写に気を取られていたが、よく考えると背面材が存在しない。刳り抜いたままである。仏像の背面は、安置されると普通、見えない(見ない)部分となるため、こうした“手抜き”も許されたのだろうが、それにしてもである・・・。
節が多い用材であるためウロ(空洞)があったのだろうか。そうすれば、由縁のある霊木ということにもなろう。
観察所見と印象や歴史的イメージとがまったく齟齬する不思議な群像。
戦国時代の仏像はある意味、難しい。

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合宿

2009-2-24

芸美・現3回生へ業務連絡。

諸般やむをえない事情により、遅れていました六甲山合宿の案内が Information System に掲示されています(添付ファイル付)。
見ることができない芸美学生は氏名を明記のうえ、メールで連絡をください。
(「見れませ~ん」 moritapo@… だけでは誰だかわかりません。)
あと、関西風すき焼き“レシピ”をマスターしておいてください。牛脂・酒・砂糖・醤油はありますが、「割下」はありません。

合宿や見学旅行も教員の仕事と、過日の同窓会でつぶやいたら「えっー!」と言われた。
いやいや・・・。
私ら(哲80-○○)だけは特別。自他共に認めた“元気な学年”でしたから・・・。丹波篠山や麻耶山、近江舞子や飛鳥、伊賀上野、岡山など、教員そっちのけで、みんなで合宿。だからこそ、次回の同窓会は湯布院、道後、城崎などと温泉場系になるのでは?
合宿ひとつ取り上げても隔世の感。

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博(乙第○○○号)

2009-2-25

午後より長い会議の後、博士論文審査会。

博士論文(博士号)には、課程博士(甲)と論文博士(乙)がある。
甲は大学院博士課程を修了し博士論文を提出した者。乙は、大学・大学院を出て、それまで学会等で様々に発表あるいは学術誌に掲載した論文をまとめて提出した者。もちろん甲も学会発表、学術誌掲載を経てまとめているが、すべてではない。初出一覧の有無が最たる特徴。
甲・乙いずれも大冊ながら、(乙)の論文受理には、推薦状が必要で提出専修(学科)専任教員全員の署名、捺印が必要。(心理的)ハードルは高い・・・。
文科省の方針としては(乙)を廃止していく方向だそうだが・・。

審査中にとある先生から、小声でアドヴァイス。
(乙)の場合は副査のひとりは当該専修(学科)以外の外部副査也。

滞りなく終了するも、既に日没近く。この後まだまだお仕事・・・

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中国・山東省 江蘇省の旅

2009-2-26

詳細は こちら

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過去ログ