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八島智子

外国語学部教授
大学院外国語教育学研究科教授

取得学位
文学修士(神戸市外国語大学)、博士(文化科学・岡山大学)

専門分野

応用言語学、異文化間コミュニケーション論

教育・研究テーマ

  私の現在の研究テーマは、異文化間接触状況におけるコミュニケーション行動や第二言語使用を扱ったものと、第二言語語習得・学習の情意的要因を扱ったものと、大きく二つに分けることができます。どちらも応用言語学・社会心理学・コミュニケーション論の3領域が関係し、そのため学際的なアプローチが必要となります。これまで行ってきた研究は、異文化接触・異文化コミュニケーション研究としては、1)留学など異文化接触状況における第二言語を用いた対人行動と対人関係形成の分析、2)国際ボランティア活動に参加する大学生を対象にした、異文化接触が異文化対応力に与える影響の調査、3)第二言語を用いたソーシャル・スキル、ソーシャル・サポートと異文化適応の関係を見ることなどです。一方、第二言語学習の情意的要因に関する研究としては、4)英語で自発的にコミュニケーションを図る傾向(willingness to communicate)に影響を与える要因(たとえば英語使用不安など性格要因、国際的志向性、学習動機、英語習熟度など)がどのように組み合わさって第二言語使用の頻度に影響するかを見る研究、5)異文化接触が英語学習の情意的要因にどのような影響を与えるかの調査、6)さらに最近では、ダイナミックシステム理論を用いて、変化とコンテキストに注目した動機付け研究に挑戦しています。

  論理実証研究で訓練を受けた私にとって、最近の研究パラダイムの転換の波は大きな刺激であり、自分の研究への取り組みを見直す契機となりました。ここ10年ほどの間、KJ法,グラウンディド・セオリー、マイクロ・エスノグラフィー、ナレーティブ研究など様々な研究法を学ぶ機会をみつけては、方法論を拡充する努力をしました。認識論的に迷路に迷い込んだ私が見つけた一つの道しるべが、矛盾を乗り越えて実証的・解釈的・批判的研究方法を融合するという視座、Martin & Nakayamaによる弁証法的(dialectic)アプローチです。無論一人の研究者がすべての方法を使えるわけではありませんが、広い視野は必要です。そして現象の本質に迫るために役に立つ方法はなんでも使うという姿勢で臨んでいます。異文化接触研究においても言語学習の情意の研究においても、数量データと質的データを融合し、対象が置かれた社会文化的な状況を十分に考慮した研究を目指したいと思っています。

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