産学連携ワークショップ

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ヨーグルト市場での顧客クラスタ発見とクラスタを利用した販促分析 関西大学 商学部商学科  データマイニング・ラボラトリ 高橋龍太さん

ウィンナーを通じて効果的な販売戦略を導き出すための分析

ウィンナーという商品カテゴリーを通じて、消費者属性による購買分析を行いました。ウィンナーって、とても身近な商品ですよね。どこのお店でも売っていますし、嫌いな人も比較的少ないと思います。ということは、それだけ購入機会も平均していると予測することもできます。

今回、企業様から提供いただいた複数店舗での購買履歴データから、割引額・ポイントによる商品の売上げ変動、最も利益の出ると予測できる割引額・ポイント数を分析し、商品とカテゴリ全体での効果的な販売方法をについて研究発表を行いました。顧客クラスタは、ユーザーの平均商品購入単価により、量より質の「プチセレブクラスタ」、そして質より量の「大家族クラスタ」の2つに分類しています。

現状では、商品の割引きやポイント贈呈によるセールは、メーカー負担の部分も多いと聞いていますが、今後は販売店単独でポイントによる割引セールを行うケースも考えられます。この点を考慮してシミュレーションを行いました。販売店独自のセールを行った場合、割引き額と販売個数が一定数を超えると利益率が下がります。また、セールばかりを行っていると、価格を下げたセールの時にしか商品が売れなくなってしまうという事実もあります。店舗特性に合わせて、最適な割引価格と販売個数を予測できれば、在庫管理も含め効果的な販売戦略に役立てることができます。
ある商品は15ポイントで購入率が上がり、ある商品は75ポイントを超えないと購入率に変化が出ない。ある商品は10円の割引で変化し、ある商品は40円の値引きでないと変化が出ない。商品ごとの消費者購買行動と購入率、現金値引きとポイント贈呈による効果的なセール方法を把握できれば、売れ筋商品の売上げを落とさずに、2番目3番目商品の売上げを伸ばすことも可能になります。

興味深いことに、今回のウィンナーカテゴリーの購買行動分析では、お店、場所、期間が異なっても同じ購買傾向が見られました。普遍的に存在する消費者クラスタと商品カテゴリの関係をさらに調査すれば、今後の新商品開発にも繋がるのではないかという期待を持っています。

研究発表を終えて・・・

今メーカーではライフスタイルマーケティングに関しての取り組みが活発になっています。生産者本位、消費者本位ではなく、生活者の消費傾向や志向を重視しながら善哉的なニーズを掘り超す、生活者本位マーケティングの時代だともいわれています。データマイニングは、多くの分野で採り入れられ、さらにまだまだ広がる可能性を持っています。毎日毎日調査・分析・研究の連続で、正直大変でしたが、矢田先生の研究に対する情熱的な取り組みに触れるうちに、マーケティングやビジネスの仕組みって面白い、ものの売れる仕組みってこんなに面白いんだ!ってことに気づくことができました。今ではすっかり刺激的な毎日を過ごしています。

【DSI産学連携ワークショップ】

菱食株式会社 次世代事業推進本部の穐吉貴則本部長(株式会社シー・エム・シー社長兼任)、ブランデンブルク工科大学 Daniel Baier教授をお招きし、マーケティングとデータマイニングの活用に関する講演をいただくと共に、出席頂いた企業様に対して、関西大学商学部 矢田研究室の学生が研究発表を行いました。

開催日:
2009年2月12日
場所:
サピアタワー6F会議室(「東京ステーションコンファレンス」フロア)
主催:
関西大学DSIプログラム
共催:
株式会社シー・エム・シー
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