産学連携ワークショップ

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ヨーグルト市場での顧客クラスタ発見とクラスタを利用した販促分析 関西大学 商学部商学科  データマイニング・ラボラトリ 高橋龍太さん

ヨーグルトという特定の食品から導き出されるクラスタ

量販店やスーパーで、「いま購入すると○○ポイント贈呈」って書かれている値札やチラシを見かけることありますよね。個人的には、どうせ値引きにしてくれるのなら、ポイントではなく直接価格から値引きをして欲しいという思いもありますが、直接商品価格を下げる現金値引きと、販促ポイント(購入によるポイント贈呈)による間接的な値引き、この両者の値引き方法の違いで、消費者の購買行動や商品購入率がどのような変化するのでしょうか。ワークショップでは、ヨーグルトを題材にそれぞれの効果の違いについて半年間調査・分析し、参加企業様へのプレゼンテーションを行いました。

分析にあたっては、消費者を性別や年代によるデモグラフィック属性、購入金額や月間来店回数による購買行動属性、消費シーン・購入商品サイズなどによるカテゴリー特別属性の3つの属性に分類し、さらにこれらの属性を16の要素に細分化しています。

例えば、カテゴリー特別属性の消費シーンでは、健康のためにヨーグルトを食べていると思われるユーザー、朝食時に一緒に食べていると思われるユーザー、子供さんやデザートのために購入していると思われるユーザーに分けられます。これは、普段からノンオイルサラダ油を購入している=健康指向型、シリアルやバナナを定期的に購入している=朝食型、子供向けのお菓子を購入している=子供さんのおやつ・デザート型など、他の商品の購入履歴によってある程度の分類予測が成り立ちますよね。

では実際に、A・B・Cの3メーカーのヨーグルトが店頭に並んでいる場合で考えてみます。 特定メーカーの商品を値引くと、確かにその商品の販売個数は伸びます。でも、全体の売上げとしてはどうでしょう。ある商品だけが売れ、他の商品が売れなくなるいわゆる商品間の共食いになるのであれば、お店としては、売上げアップの効果は期待できません。 また、どの程度値引けば、食べ慣れたヨーグルトからセール商品に変更してくれるのか、それは現金値引きとポイント贈呈で違いがあるのか、どちらがより大きな効果がえられるのか、分岐ポイントはどこにあるのか、消費者の属性によって行動が異なるのかなど、一口に値引きといっても実に様々な分析要素が見えてきますよね。

研究発表を終えて・・・

今回、参加企業様から提供いただいた複数店舗の購入履歴データを分析することで、非常に興味深い傾向を発見する事ができました。このように膨大なデータを統計数理やマイニング手法を用いることで、有効なマーケティングデータが得られるだけでなく、新しい販売機会の発見や商品ディスプレイの改善にまで繋がるっていくんです。調べれば調べるほど、新しい世界が見えてくる、どうです? 面白そうでしょ。データマイニングは本当に奥が深いですね。

【DSI産学連携ワークショップ】

菱食株式会社 次世代事業推進本部の穐吉貴則本部長(株式会社シー・エム・シー社長兼任)、ブランデンブルク工科大学 Daniel Baier教授をお招きし、マーケティングとデータマイニングの活用に関する講演をいただくと共に、出席頂いた企業様に対して、関西大学商学部 矢田研究室の学生が研究発表を行いました。

開催日:
2009年2月12日
場所:
サピアタワー6F会議室(「東京ステーションコンファレンス」フロア)
主催:
関西大学DSIプログラム
共催:
株式会社シー・エム・シー
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