研究室紹介

「有機圧電材料」

smart phone をはじめ,mobile 機器の発展は留まるところを知らない.特にwearableなhuman machine interface (HMI)の開発競争は次代の覇権をかけ,開発が行われている.そのkey materialとして,圧電体が注目されている.圧電性とは,物質に応力を加えたときには電気分極を生じ,またその物質に電界を印加したときには歪みを生じる性質である.前者の性質を正圧電,後者を逆圧電と区別することも多い.言い換えれば,圧電性を持つ材料は弾性的エネルギーと電気的エネルギーを相互変換することができる.このような性質を持つセラミックス材料,例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)は,古くから,正圧電をセンサ,逆圧電はアクチュエータとして工業的に利用されている.具体的には,医用超音波診断装置,ソナー,非破壊検査装置などに用いられる超音波送受信素子やブザー,フィルタ,精密ステージなど多岐にわたっている. 有機圧電材料,piezoelectric polymerは,透明化,軽量化,柔軟化,薄膜化などが容易であることから,新規なsensorあるいはactuatorとして昔から大きな期待が寄せられてきた.しかしながら,その圧電率はセラミックス圧電体と比べ1/10あるいは1/100であること,また他の高分子材料と同様に機械的損失が大きいために,actuator駆動に必須な共振現象が明瞭でないなど,実用圧電材料にはなりえなかった.一方で,高分子科学の分野では,高分子高次構造や結晶成長の解明が大きく進んだ.そのため,これらの研究成果をベースにした超臨界処理や高圧力処理などによる圧電性高分子独特の高次構造制御法が確立され,その圧電性が大きく向上するようになった.動画は圧電フィルムが電界により変形する様子を大きく拡大(誇張している)して示している. 現在,実用性がある有機圧電材料はキラル系高分子であるL型ポリ乳酸(PLLA),ポリプロピレン(PP)を用いてはじまった多孔体型のエレクトレット(cellular PP),長く圧電性高分子のtop runnerであったポリフッ化ビニリデン(PVDF)である.なかでもPLLAは新規HMIを具現化する材料として旬である.有機圧電材料が今大きく羽ばたく.本研究室では,今まで以上にsmartな有機圧電材料の実現を目指す.


バイモルフモデル1グラデーション                  

共振1次1枚                  
「高イオン導電性ナノコンポジットフィルム」
Flat Panel Display International 2003で発表
●表面がカチオン性のナノ粒子
●ナノレベルで均一に分散
…@有機溶媒完全フリー
…A高い透明性
⇒安全,高性能,薄膜形状自由
「帯電防止フィルム」

電気障害は現在の液晶パネル,電子機器の大敵です.帯電性を制御する技術の開発を目指しています.

「環境対応電線」

エネルギ・情報伝送
大学院生,卒研生が作った
情報伝送線作成装置とその伝送線

「ナノコントロール」

キラル分子,ら旋高分子を使った機能素子の実現
一本の分子鎖に電界を加え,
その変形量の測定方法を考えます.
これを利用したマニュピレータの開発が進んでいます.
(科研費,シーズ育成研究)