日々雑記


ミケランジェロはどこだ?

2023-5-1

授業準備は、お馴染みラファエロ「アテナイの学堂」。

プラトンのモデルはレオナルド・ダ・ビンチ、アリストテレスのモデルは・・・?とパワポを用意したまではいいが、ふと考える。レオナルド・ダ・ビンチの師匠はヴェロッキオ?
調べると、アリストテレスのモデルはアリストーティレ・ダ・サンガッロ。誰?ミケランジェロ「カッシーナの戦い」の下絵を模写した人物。

あっ、と思った旧哲学科元学生。
そもそもアリストテレスの弟子がプラトンなので、アリストテレスのモデルがミケランジェロであるはずがない。
ミケランジェロ曰く「オレがあんなヤツの弟子ってか!(怒)」。

ミケランジェロはどこ?とばかりに調べると、最前列左のヘラクレイトス。

確かに「アテナイの学堂」カルトン(原寸大下絵)を見るとそこは誰も描かれていない。
妙に納得。

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最後の晩餐

2023-5-3

帰省中の娘と近所のサイゼリヤに。

通された席の横に「最後の晩餐」が掛かっている。
見るとなんか1人足らないような。
1、2、3・・・12人?数え直したらイエスの横で寝てる者がいた。
誰や?と写真とってスマホで調べると、本画はギルランダイオ「最後の晩餐」(1480年)。
解説をちょっと読んでびっくり。
寝てるのはヨハネ、しかもテーブルの反対側に座るのはユダだった。確かにユダだけが光輪がない。
銀貨を入れた袋を持ってないやんかと思いつつ、15世紀の最後の晩餐はわかりやすいのが一番だったのかと。

出されたオーダーと娘たちそっちのけで、絵をしげしげ。

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振替輸送

2023-5-4

朝から好天、大学に行ってお仕事、お仕事・・・。

最寄駅まで来ると人だかり。つい先ほど人身事故が起こったばかりで、振替輸送がもうすぐ始まるとの案内。パス停に並びバスで私鉄駅に向かう。

到着後さっさと降りて・・・と思いきや、バスの降車口で「お客さん、運賃!」と運転手が連呼。呼ばれたのは私よりちょっと上の男性。「振替やんか」と。
GWにお出かけしようと、久しぶりにバス振替に出くわせたらしく定期券は勿論ない。
後の女性も「切符、あかんねんて」と慌てて財布を探している。
そうです、今では定期券持参者のみ振替(輸送)となるのです。

よもやまさかのGW振替輸送。

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心配

2023-5-5

午後、能登半島で地震。珠洲市で震度6強。

見たことのある風景が一変している。
お世話になったところだけに、かなり心配。

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現状

2023-5-8

連休時に知己の方からご連絡。某寺仏像の現状。

某寺は山岳地にあり、数年前まで住職が居たが、その後亡くなり現在は無住。管理は地元の方がされているが檀家もないという。周囲の箱はおそらく版本大般若経。

修復するにも費用が必要、クラファンで集めても山中の無住寺、修復後の盗難防止や管理も大きな課題である。
写真をみると近世の仏像のようだが、この際関係ない。

色々と先々の方策を考えるも名案は浮かばず、現地で部材を確認しなければ、どこが欠損している部分なのか分からない。まずは沖縄の仏像と同様に現状調査が必要であると、遅ればせながらその旨を伝える。

残念ながら、これが京都や奈良を含む日本全国の仏像が置かれた現状でもある。
刮目して見よ。

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辻の呪縛

2023-5-9

辻善之助『日本仏教史之研究 続編』第16章~第18章に記述される近世仏教堕落論。
初版は、昭和6年(1931)である。

辻は近世を「仏教衰微」の時代と捉え、そこを起点に仏教彫刻も仏教絵画も美術的価値を失って・・・と続く「仏教美術の衰微」。
戦後は、さすがに近世が空白期になってはまずいので異端とも思える円空、木喰を近代彫刻と対比させて扱う彫刻史。しかも円空は彫刻家橋本平八、木喰は民藝の柳宗悦が分担。
彫刻史の研究者は皆無。
もう戦後はおろか、21世紀に入っても“辻の呪縛”から逃れられないのが現状。

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限界?

2023-5-10

GW期間は結局3、6日以外はすべて大学で展覧会にも行けず、4月以降は週6で大学に来ているのに、ちっとも仕事が減らない。そろそろと限界?

4月には、何とか頑張って香川県立ミュージアム「空海―史上最強」(~5/21)、中之島香雪美術館「修理のあとに エトセトラ」(~5/21)、龍谷ミュージアム「真宗と聖徳太子」(~5/28)に行こうしていたのに未だ1館も訪れていない。 5月21日は恒例のPTAが入っているし・・・。

香川の空海展は無理でも、せめて今度の土曜日午前は中之島香雪美術館へ行こうかと考えていた、定例午後の会議。

もたもたしていると、龍谷ミュージアムも危ない。

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住宅事情

2023-5-12

学内某所から問い合わせ。
本間六曲一双屏風の寄贈を受けるのだが、輸送費(保険料)算出のために時価が知りたいとの由。

まわりを探すも目録が見当たらない。仕方ないので某デジタルカタログを見る。想像していた以上に安価な最低額。もちろんオークションなので作品によっては上がるだろうが、それにしても。
今や、床の間はもちろん本間六曲一双屏風を置くスペースのある住宅は限られてくる。

お買い得と思うべきか、悲しむべき住宅事情か・・・。
寄贈品ながら返答に苦慮する。

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Galica(ガリカ)

2023-5-15

明治33年(1900)のパリ万国博覧会に合わせて出版された『Histoire de l'art du Japon』。翌年に邦訳されて『稿本日本帝國美術略史』が刊行。共に大著。

『稿本日本帝國美術略史』は国立国会図書館デジタルコレクションで読むことができるが、『Histoire de l'art du Japon』は(図書館に行って)実物を見ないといけないのか・・・と思っていたところ、フランス国立図書館電子サイトGalica(ガリカ)で閲覧できることがわかり、驚く。

当該頁も難なく見つけることが出来、無事に疑問一件、解消。
次いでに1878年のパリ万博に際しての文部省出品目録まで閲覧。

Galica、すげー。

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卒論ゼミあるある(1) 「氏」は必要ですか?

2023-5-18

卒論ゼミでの会話。

本文中で引用文献や既刊書の紹介を行う際、例えば佐藤某の論文を引用した時に「佐藤氏によれば、」と記すのか、「佐藤によれば、」とするのかとの質問。

教員ハセは、圧倒的に前者。
どんな方であっても自分に直接的・間接的に教えて頂いたことに感謝して敬意を払うべきやろと説明、「氏」を付けるべきと返答。

後日、草稿が送られてきて、ちょっとびっくり。
註記にも「佐藤某氏「高橋由一の鮭について」『○○研究』23、2023年、17頁。」と記してきた。慌てて「ここ(註記)の『氏』はいらんねん」と朱書抹消し、返信。

すぐさま返信が来て件の学生(日本人)曰く、「日本語は、やっぱ難しっす!」と。
注意して幾つかの論文を読めば、すぐわかるよと再度返信。

いくら外部に出ない卒論とはいえ、斯界の大家に対しての名指しは、あまりに不遜の極みではないか。

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卒論ゼミあるある(2) 「蓋然性」?

2023-5-20

過日の卒論ゼミでのもうひとつの出来事。

既に送られた卒論草稿。みると、「蓋然性が高い」との文言。
たぶん何かから文言を剽窃したのだろう。普段はそんな言葉遣いするわけないし・・・。

授業(対面)で、件の学生に「『蓋然性』ってなんや?」と問うてみる。
学生は、えっ、と意外な質問だったらしく、こちらの問いを無視して手元のスマホで検索、「確からしさの度合い」と返答。
「じゃ、『蓋然性』の類語は?」と再びこちらから問うと、再びスマホ。
しばらくして「『可能性』のことです!」と。
「そんなら『可能性が高い』と平べったい言葉でいいじゃないか」と。
学生は合点がいったらしく、「了解っす!」。

「難しい用語を羅列するだけが卒論やない、理解して書くのが卒論やで。」とハセセンセらしからぬ?指導を行う。

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PTA

2023-5-21

本日午後よりPTA(教育後援会総会・学部別教育懇談会)。
こちらは3組の保護者対応。学生は全員知っている。

1組目。昨年もお越しいただいた保護者。
学生は下宿しているので、学部別教育懇談会に合わせて下宿を見に来られる。
こちらも先週の授業終了後に「部屋、掃除せんとあかんで」と事前のアドバイス・・・。

2組目と3組目は学年が違うものの、共に研究テーマ(卒論)の話題。
子供が何を研究テーマにしているのか知らない(教えてくれない)、とあるテーマを研究しているが卒論が書けるだろうか等のご質問。
研究テーマをお答えし、とあるテーマについては大丈夫ですと回答。

次回の授業で、「別に極秘テーマについて卒論書いているわけやないし、教えるぐらいええんとちゃうか」と助言しようかと思ったりする。

ともかくつつがなく終了。

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凍り付く

2023-5-23

学生のゼミ発表。

原稿を発表前々日までに送ってもらい、小さい画像で「この部分には○○が描かれ、」とされては授業にはならないので、当方が大きな画像を用意しパワポ作成、原稿での作品と共に授業上で必要な画像を追加して、発表する手順。

授業当初の学生は発表前々日を守っていたのだが、そのうち前日になり、とうとう前日深夜(23:25)にようやく原稿が送信。

午後1時からの授業(持ち授業は10:40から)。
開口一番、「前々日までの約束。それ以降に原稿を送ってくるなら自分でパワポを用意しろ!」「自分さえよければいいんだという驕りがわが身の破滅を招くんじゃ!」と激高。

久しぶりに教室が凍り付いた・・・。

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フェルメール

2023-5-26

例年とは違い、今日から初年次生の入門講義(リレー講義)。学生は「鳥獣戯画ちゃうの?」と。

実は6月4日まで、アムステルダム国立美術館で“史上最大規模”のフェルメール展が開催中。
真作約35点とされるフェルメール作品のうち、28点も出品されているので、行きたい―!と思えども国内の展覧会すら行けぬ状況で飛び入り講義となった事情を話す。
また鳥獣戯画は先週の一般教養で話したばかり、重複履修者は2人という文学部事情ゆえでもある。
今日はフェルメール!

白壁事情や画中画などをテーマに、ほぼフルタイムで講義。
実は海外美術事情ということで、鳥獣戯画の前振りでもある・・・。

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真宗と聖徳太子

2023-5-27

龍谷ミュージアム「真宗と聖徳太子」展へ。
親鸞聖人絵伝や光明本尊、聖徳太子(南無仏太子・孝養立像)をじっくり拝見する。

真宗寺院の親鸞聖人絵伝での荼毘の煙が右に流れるか、左に流れるかで東西が分かったり、聖徳太子像の画讃が大別して「吾為利生出彼、衡山入此日域、降伏守屋邪見、終顕佛法威徳」と「大慈大悲本誓願 愍念衆生如一子、是故方便従西方、誕生片州興正法」があり(もちろん例外もある)、どうしても関心は近世のほうへとながれてしまう。

南無仏太子像はこちらの調査経験が少ないこともあって、こういう時代なのかと改めて見ることもしばし。

その後、尼崎経由(車中で寝過ごし)で大学に。

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トンデモ本?

2023-5-29

事前提出の発表原稿(学生)。

そんな書籍知らんかったなぁと思いつつ、書籍名を見ると香ばしい香りが漂う。出版社を見ると「早川書房」。
早川書房が美術史関係の書籍を出版しているとは到底思えないが、念のため確認すると「傑作に隠された真のメッセージを解明する!」。
どうやらこれを纏めたらしく、原稿には「カバラ思想」とか「ヘブライ文字」とかが並んでいる。

昔、プレスチューデントプログラムでの受講生のミニ発表(作品紹介)で「ダ・ヴィンチ・コード」を引用して発表し、きつく叱って受講生を半泣きにさせた経験がある。

今の学生は書店も行かないので「早川書房」と聞いてもピンとこないのだろうと思いながら、よもや?と図書館で検索すると、2F開架閲覧室に配架、しかも分類は「723.37」と洋画に分類。
「ミケランジェロ」で検索すれば100件以上出て来るのに、またなぜと思ってしまう。

これからは参考書も指示しないといけないのかと、愕然たる気分。
トンデモ本は大学図書館には無用の長物。

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お互い若くはない

2023-5-31

朝、メールを確認すると、この先生(2022-10-6 大人の事情)からのメール。
此度も同様の振替授業のお願い。

快諾の旨を返信して、ふと先生の送信時刻をみると6:53。
超多忙と思いながら自宅にちゃんと帰ってる? 
23:00を過ぎて大学を出るようなら、帰れなくなるよ。(当方も似た状況)

他所に振ることの出来る仕事は職権乱用でバンバン振って、無理せずくれぐれも健康第一にして下さい。
お互い、もう若くはないのだから・・・。
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