日々雑記


源信展

2017-9-2

終了間際になって奈良博「源信 地獄・極楽への扉」展へ。
《地獄草紙》、《山越阿弥陀図》、《地獄極楽図》など久しぶりにじっくり拝見。
兵庫・極楽寺《六道絵》 、瀧上寺《九品来迎図》、五島美術館《沙門地獄草紙(火象地獄)》など、初拝見。地獄だから象も火を吐くのかと思ったり、僧侶俗人を問わず生きていくことは罪深いものだと思ったり。九博《九相図巻》。見たことはないが、さもありなん光景の変化。画師はきっと定点観測したのだろうと想像。
最後は高野山・《阿弥陀聖衆来迎図》。まじかにじっくり拝見。

奈良博を出てすぐに「永野鹿鳴荘」。永野太造が亡くなってほどなくして現在の「売店」のみの営業となる。
ネットやスキャナーがない学生の頃は何枚か写真を買ったが、今では懐かしい思い出。
ガラス乾板は帝塚山大学へ寄贈との由。

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慥ニ請取申候

2017-9-5

「七条左京」発給の請取状があると聞き、某資料館で閲覧手続き。

天保12年(1840)の文書。34代康敬の発給。寺名があったらいいな、像名があればいいな、とわくわくしながら待つことしばし。

うやうやしく出されたのが、箱の中に文鎮で押えられた切紙。
ちょうどコピーの頁に挟む紙をやや大きくした切紙。発給は「七条左京」名、「慥ニ請取申候」と。これだけ・・・。寺名どころか金額もない。

複写も面倒な手続きが必要なので、仕方なく「墨印」を丁寧に筆写する。

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県知事より偉い

2017-9-8

義弟が仕事の関係で興福寺の歴史・文化が必要との由。義弟は全くの理系人間。

最初「兄ぃさん、ちょっと興福寺で話を・・・」と来たが、固く固く固辞。
「興福寺やで。世が世なら“大和一国は興福寺のもの”となる。私ごときが出ていく分際ではないんで『どなたか、お知り合いの方をご紹介願えませんでしょうか?』って僧侶の方に聞いてみるのが一番確実。」
「(興福寺のお坊さんは)県知事クラスですか?」
「県知事より数段上。」
「え゛っ。最近も気軽に・・・」

会って話が聞きたいとのことながら、なかなか日程が合わない・・・。 やむなく興福寺に関する資料を作成。

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唐招提寺

2017-9-9

30数年前の報告書で見かけた仏像。
法量と「江戸時代」としか記載されていないが、こちらとしてはちょっと色めく仏像。掲載写真は本堂内。

拝観かたがた確認に行くも当該の仏像は見当たらない・・・。空振り?
真新しい客殿をみながら「売られたのかな」とふと思う。

このまま帰るのも悔しいのでちょっと足を伸ばして唐招提寺へ。

修復直後の真っ黒な盧舎那仏坐像もようやく落ち着いた感じになっている。金堂・講堂の諸仏像を眺めて、開山御廟に詣でる。当たり前ながら、開山御廟には中国人観光客が多く参拝。 萩はこれからが本番。

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絵画調査

2017-9-11

某所で絵画調査。
調査主担者や写真技師等もおられ、もっぱらお手伝い。

掛軸が主ながら掛緒が切れているもの、八双部分に切れがあるものはまず除外し、その後本堂で撮影・調査。掛けて(撮影)法量計って、表裏にして(墨書銘あり)、外して巻いて箱に戻す・・・の連続。
実習で複製を何本か巻いて終了というよりもよほどよい勉強になるのだが。

釈迦十六善神像。もちろん大般若経もありそちらは別働隊が格闘。1日に150~200巻というスピード。
共に昨今の「座学」重視では、到底対処できない。
久しぶりに学ぶこと、多し。

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摩耶夫人

2017-9-12

引き続き絵画調査。涅槃図登場。

最近TVで英一蝶筆涅槃図(ボストン美術館蔵)が紹介されており、摩耶夫人や侍女が艶っぽく生き生きしているとのコメントがあったが、この涅槃図も負けず劣らず艶っぽい。

数多く存在する近世の涅槃図などを扱った論文もないし、その様相は不思議なぐらい等閑視され続けている。未だ、近世=世俗画という呪縛から抜け出せないでいる。

絵画調査は本日にて終了。
「いやぁ、ハセさんが来ると、いいものがいっぱい出てくる」とは調査主担者。全否定していると「本当、本当。(いい作品が)ありそうなのに或る人が来るとまったく出なかったりすることが往々にしてある。」
なんとなく思い当たる節が無きにしも非ず。

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そこが争点?

2017-9-15

堺市長選。
現職と新人(維新)の一騎打ち。ただ似たような政策で争点はあまり見えてこない。

唯一の争点が「(利晶の杜・市民会館)百舌鳥・古市古墳群ガイダンス施設の再検討」。
現職は旧府立大阪女子大の跡地にガイダンス施設を建設(約20~40億円)しようとしているが、新人は既存博物館の利用。市長選の争点はそこなん?

前方後円墳の形を見ようとすれば、八尾空港までいってセスナ機で遊覧飛行でもしないと見えない(20分程 ¥12,600/人)。
ガイダンス施設といえど、その高さでは大きな森を横から眺めるようだし、既存博物館の利用もこれまで散々、増改築を要求したにも拘わらずボツにしておきながら、今頃、狭小な施設を増築で凌ごうとしても、今さら何をおっやっているんですか・・・。

いま一つ盛り上がらないのもむべなるかな。

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私事的東奔西走

2017-9-19

16日に甥の結婚式があり、台風に向かって九州へ。
翌日は台風に追われながら帰阪。九州在来線は始発から運転見合わせ。
台風は夜に近畿に再々上陸。

翌日朝から、上娘の依頼で都内まで車を走らせる。
好天の連休最終日、鮎沢PA付近で故障車2件、事故1件、大渋滞。夜の首都高を走ることに。
翌日は朝から帰阪の途につく。夕刻帰宅。

かなり疲労困憊。

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おつむが弱いとしか

2017-9-20

「安藤忠雄氏 大阪市に図書館寄贈 自ら設計、寄付募る」の新聞記事。
中之島公園内に「子供たちに本や芸術文化に触れる機会を提供する場にしたい」と。

安藤忠雄は司馬遼太郎記念館にこんな展示室を設計した(同館パンフレットより)。
ちょっと考えればダメだとすぐわかる。
”おかげで”司馬氏の蔵書は、現在ほぼ壊滅状態・・・。

「3層の大きな吹き抜けを囲う壁一面に本棚を設置する。子供たちが自由に本を手にし、楽しめる空間を計画」とのことだが、失敗は反省しないのか・・・。

大阪人は文化を破壊することには慣れているが、文化を守ることには土台、無理があるように思う。
マスコミも本が嫌いなようで礼賛記事ばかり。

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誕生日

2017-9-23

ながら、朝から未明まで緊張が続いた怒涛の一日。

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調査

2017-9-25

秋晴れ。某所で調査。
終日、阿弥陀如来像と不動明王像と格闘。

どうして鎌倉後期の阿弥陀像はそんな複雑な木寄せになるのか、ちっともわからない。書籍に掲載される構造があれば見てみたいものだと思う。悪戦苦闘しながら「納得できる(合理的)」構造を考えて記述していく。

「学生さん(の参加)はちょっと・・・」という意向で、こちらと同業者のみ。なんとなくわかる。

夕刻までかかって2躯調査完了。不動明王像では同業者と意見が異なる。

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閉店

2017-9-28

秋学期を迎え、関大前通りに異変。
長らく休店中であった「ササキスタジオ」(店頭に考える人の小像)が更地に変貌。天下一品(ラーメン屋)も29日をもって閉店。思い出のある店舗が次々となくなる。

夜ごと帰るたびに一杯機嫌のサラリーマンよろしく学生が騒ぎ、腹立たしく思っていた「大阪B級鉄板屋台 なかちゃん」も廃業。

これはよかった・・・。学生は勉強すべし。

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2017-9-30

怒涛の1週間が過ぎ、お疲れ。ふと「海」が見たくなり、家人を誘って和歌山・白崎海岸へ。

万葉集に「白崎は 辛くありまて 大船に 真舵しじぬき また帰り見む」と詠まれた故地。石灰岩に覆われて"日本のエーゲ海"ともいわれ、関西ではビギナー・ダイビングのメッカである。
やや強い風に吹かれながらぼんやりと海を見る。

近くに法燈国師像のある興国寺もあるが、今日はただただ海を見るのみ。明日から10月。

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