関西大学文学部英米文化専修 小林剛ゼミ

Department of Cross-Cultural Studies, Faculty of Letters, Kansai University

映画「ザ・コーブ」の概要

最初に映画「ザ・コーブ」のあらすじを簡単に説明します。
そして、さらに映画「ザ・コーブ」に関する数々の事実を日本と海外に分けてまとめてみました。

―The Coveとは?
(ストーリー)
60年代の人気テレビ番組「わんぱくフリッパー」で調教師兼俳優として活躍したリック・オバリーは、現在、イルカ解放運動の最前線に立って活動している。無知だった自分が原因で、イルカがビジネスの道具になっていると気付き、その後立場を変え、30年以上もの間イルカを救うことをライフワークとして生きてきた。日本で行われているイルカ漁の情報を聞きつけたオバリーは、「なんとか止めたい」という思いで和歌山県太地町にやって来る。そこは、長い捕鯨の歴史を持つ、クジラとイルカで栄えてきた町だった。
監督のシホヨスが太地町にやって来たのも、オバリーの招待によるものだった。到着した当初、マスクや帽子で変装しているオバリーに違和感を覚えていたシホヨスだったが、複数の車に常に尾行されているという異常な事態を目の当たりにし、次第にただごとではない状況を把握していく。そんな彼を、オバリーはオバリーはイルカ漁にまつわる様々な問題を語り出した。
 ショー用のイルカが世界中の水族館に15万ドル以上という高額で売られているということ(*)。選ばれなかったイルカが食用として販売されていること。それらのイルカ肉は水銀値が非常に高く、人体へ危険を及ぼす可能性があるということ。そのイルカ肉が、学校給食に使用されたことや、“クジラ肉”として偽装販売されているということ。オバリーは、イルカ漁を辞めるならその分の資金援助をすると町に申し出たが、断られたという。ペストコントロール、つまり生態系維持のためにイルカを間引く必要があると説明されたと言うのだ。
 町役場にイルカ漁について抗議の申し入れをしていた彼らだが、それが受け入れられることはついになかった。事実を明らかにするため、入り江の撮影を敢行しようとするが、関係者の妨害に遭い、入り江の内側には全く入ることができない。そこで、シホヨスは世界中から一流のスタッフを呼び集める。集まったのは、岩に似せたカメラケースを制作した元ILMのスタッフ、夜中でも撮影可能なサーモカメラを持ったカメラマン、エンジニア、ダイバーなど、『オーシャンズ11』にも劣らない特殊技能を持った者たちだった。
ある日の深夜、撮影隊は見張りの目をかいくぐってようやく入り江に忍び込み、複数のカメラを仕掛けることに成功する。そのカメラが写し出した驚くべき光景は、大量のイルカを棒で突き刺して殺す漁の実態、そして、真っ赤な血で染まる入り江だった……。ある入り江へ案内する。人目に付かないその場所は、イルカ漁が行われているという入り江だった。
映画ザ・コーヴオフィシャルサイトより (http://thecove-2010.com/index.html)


―The coveに関する事実
(日本)
・年間で2万頭近くのイルカが捕獲され、世界中の水族館に売られ、また残った多くは食用にされているという現状。
・NHKの「クローズアップ現在」でドキュメンタリー映画としての「ザ・コーヴ」の信憑性を解く。→NHK「クローズアップ現在」:映画「ザ・コーヴ」問われる“表現”
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=2910
・2010年に上映会を予定していた立教大学、明治大学などで公開が禁止する、また市民団体なども公開を阻止する事件を引き起こすなど、抗議行動が行われた。

(海外)
・2009年サンダンス映画祭で観客賞、2009年度第82回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞する。
・映画評論家のレビューを集めたデータベースサイトであるRottenTomatoesによると96%が肯定的な評価を与えている。
・イギリス、フランスヨーロッパなどではドキュメンタリーの信憑性や文化的側面から考えられた中立派の意見も出ている。


Posted by kimiko| 2011-01-13 (Thu)