関西大学臨床心理専門職大学院
大阪府吹田市山手町3-3-35

自己紹介   |   教育   |   研究   |   

教育

 
関西大学に赴任して10年。当初は文学部に所属し、学部教育と大学院教育を並行して行ってきたが、2009年より臨床心理専門職大学院に籍を移してからは、 専門職大学院での教育が中心になっている。そのほかに、学部の授業(3〜4回生のゼミ)と博士後期課程での指導を行っている。

担当科目(2012年度前期の春学期は在外研究のため、秋学期のみの担当となり、学部の卒業演習と博士後期課程の授業は不開講)

学部(文学部心理学専修)
 心理学専修ゼミ
 心理学購読演習b

大学院(心理学研究科臨床心理専門職大学院)
 地域臨床心理学演習
 学内施設臨床実習3
 学内臨床カンファレンス実習2
 セルフディベロップメント演習1(集中)
 プラクティカル・ソリューション 2
 プラクティカル・ソリューション 4
 教育施設専門実習2

主な科目の紹介
   地域臨床心理学演習: 
コミュニティ心理学の知見を織り交ぜながらも、日本で発展しつつある独自の地域臨床の課題について現状のアプローチを検討している。
  学内施設臨床実習 3: 
本学に設置されている心理臨床カウンセリングルームで大学院生が担当した事例について、厳密な守秘義務の原則のもとで個人スーパービジョンを行っている。
  セルフディヴェロップメント演習1(集中):
臨 床心理士になるためには自分自身をよく知る必要がある。机の上での学びだけでなく、体験を通して自分を知り、自分の体験の範囲を広めることが求 められる。これはそのための合宿形式の授業。United Kingdom (英国)のカウンセラー教育のDiploma Courseではこの名前の授業がコース教育の中心的な1つとして行われている(University of East Anglia、University of StrathClyde)。

 学生教育についての考え
村 山先生に指導を受け、ロジャーズの考えに魅了されてきたので、学部でも大学院でも学生が自分の考えを発展させることが最も大事だと思っている。それは、学 生にはある面では自由を与えられているように感じられるようであり、同時に、自分で自分のことを決めなければならない、という厳しさがあるようである。こ ちらも、「教えたほうが早いんだけどなあ」と思いながらも教えずに、学生の中に動きが出てくるのを待つことが多い。とは言っても、それはこちらが考えてい るだけのことであって、学生はそう感じていないのかもしれないが。
以前のホームページに書いていた考え方と今の考え方には違う所もあるので、下に載せてみた(以前の考え方)。
 
学部ゼミ
現 在は臨床心理専門職大学院での教育が主になったので学部生(文学部理学専修)では、ほとんど3回生と4回生のゼミだけである。3回生から4回生のゼミにつ づく2年間は、最終的に卒業論文を仕上げることが1つの到達点である。そこで私が目指すことは端的に言うと2つあってコミュニケーションできることと、自 分で責任を持つことである。前者は、学生それぞれが自分の考えをあたため、言葉にして表現し、ゼミ友達との考えを交換できること、である。後者は、自分の 生き方は自分が決めるということである。(だから、手取り足取り教えてもらうことを求める学生には厳しく感じられるであろう)。
   私はたまたま臨床心理学が専門であり、それに関心のある学生がゼミに入ったのだから、そこで扱われるテーマは臨床心理学に関するものであるが、目指すのは上の2つである。ただし、せっかくだから楽しくやりたいと思っている。
   
 大学院(臨床心理専門職大学院)
高 度専門職業人として2年間の教育期間を3月末に終えると、その秋には日本臨床心理資格認定協会による試験が行われる。それを大きな目標として大学院で学ぶ ので、当然、学ぶことは多く、多忙な2年間になる。修士論文を書くことが課されていないが、授業が多く、演習、実習など質量ともに多く、学生(だけでなく 教員も)は大変な2年間を過ごす。私だけの印象ではないようだが、修士論文の指導の行われていた時期(臨床心理士1種指定校)のほうが、まだ、ゆとりが あった。
修士論文を書かないのでゼミがない。(その代わりにプラクティカル・ソリューション2~4は、ややゼミ的な運営がなされている)。学生はある特定の先生について学ぶ、というのではなく、この専門職大学院全体から学ぶ、という経験になるらしい。
そ の2年間において私が担当する科目(多い!)で、学生には自分で自分なりの人間観を持ってほしいと思って学生に語りかけるようにしている。学生には自分の 考えを持ち、表現し、他人と考えを交換し、そこから更なる学びが進むような人間であってほしいと思っている。したがって、私は学生に「こうしなさい」とい うことにいつも躊躇がある。

 大学院(博士後期過程)
この過程への進学を希望する人には、次のことを確認している。
@研究の方法論をほぼマスターしているか。
A自分の研究テーマを持っているか。
B英語文献を読めるか。
博士後期課程に入る人は既に修士課程で研究者の訓練を受けているので、この過程への進学を希望する人は、自分は自分で研究調査できる能力を持っている、ということを自問してほしい。
自 分の研究テーマを持っているかどうかであるが、思い付きのようなテーマでなく、自分の関心のあるテーマは既にこれまでの研究の歴史の中でどのように扱われ てきて、どのような知見が得られているか、そのような現状において自分の研究はどういう意味があるか、を勉強できているかを自問してほしい。
世界的な研究状況をレビューすることが求められ、国際学会での発表がカウントされる時代であるので、英語文献をある程度以上読めること。
その上で、
C自分の内面に問うてみて、この研究テーマが意義があることが感じられていること
を自問してほしい。実はCは最も重要である。しかし、@〜Bが出来ている人の多くはCの自分にとっての意義に突き動かされている。ただし、@〜Bが出来ている人の全員ではないらしいので、ここにCを挙げた。