はしがき i
目次 vi
第1章 問題の位置づけ 3
1.正義について(1.1アリストテレスの正義論/1.2現代の正義論)/2.道徳とその外部/3.責任原理/4.ケアの倫理/5.本書の構成
第1部 責任という原理 32
第2章 ヨナス『責任という原理』の問題提起―自然、環境、人間― 32
1.環境としての自然/2.ハンス・ヨナスの『責任という原理』/3.討議倫理学によるヨナス批判/結語
第3章 環境、所有、倫理 47
1.生の享受/2.内と外との境界設定/3.環境倫理の触発/4.ロックの所有論―その問題構成―/5.ロックの所有論―神学的前提―/6.ロックの所有論―労働による価値の賦与―/7.ロックの所有論―ロック的但し書き―/8.自然契約の不可能性/9.責任原理の特殊な位置
第4章 生命の神聖―その失効とその再考― 74
1.生命の神聖と人間の尊厳の問題系/2.生命の神聖―その失効(2.1生命を神聖とみる主張は論理的に破綻せざるをえないという批判/2.2根拠の出自にむけられる批判/2.3生命の神聖や人間の尊厳という観念では、「課題」は解決できないという批判)/3.文脈と背景の転換/4.生命の神聖―その再考―(4.1ドゥオーキンの生命の神聖論/4.2ハーバマスの人間の尊厳論)/5.付論 人間性と人格―和辻哲郎の「人類性と人格性」―/6.結語
第5章 人間はいかなる意味で存続すべきか―ヨナス、アーペル、ハーバマス― 95
1.人間は特異な存在者か/2.ヨナスの未来倫理―その種々の基礎づけ―/3.アーペルによるヨナスの未来倫理批判/4.両者の対立からみえてくること/5.形而上学およびミュートスを語る意味
第6章 責任原理の一解釈―正義と境を接するもの― 114
1.ヨナスの哲学的閲歴/2.解釈の可能性―存在論の擁護―/3.解釈の可能性―存在論の捨象―/4.解釈の可能性―討議倫理学による基礎づけの代替―/5.解釈の可能性―正義と境を接するもの
第2部 ケアの倫理 140
第7章 ケアの倫理の問題提起 140
1.予備考察(1.1ケアの倫理―ギリガンの問題提起/1.2ケアの倫理―その倫理学への影響/1.3問題連関の切り分け/1.4ケアについての倫理/1.5ケアについての哲学的ないし人間存在論的分析―フランクファート)/2.ケア対正義論争(2.1正義の倫理からの統合/2.2結婚の比喩/2.3反転図形の比喩/2.4ケアの倫理と徳の倫理
第8章 ノディングスの倫理的自己の観念 169
1.ケアの倫理は他者志向か自己志向か/2.ノディングスの倫理的自己の観念の位置づけ/3.ノディングスのケアリングの倫理―その構成―(3.1ケアの特徴/3.2原理にもとづく倫理の拒否/3.3自然なケアリング/3.4倫理的ケアリング/3.5倫理的自己/3.6相互性―ケアするひととケアされるひととの関係/3.7超越?―ケアする私とそれをケアする私/3.8理想の涵養―他者の倫理的自己)/4.正義に関わる問いは正義なしで答えうるか(4.1ケアされる対象の範囲/4.2ケアのディレンマ/4.3ケアの限界)/5.ノディングスのケアリングの倫理―その問題点/6.ノディングスのケアリングの倫理―その特長
第9章 ケアの倫理、ニーズ、法 193
1.ケア/正義、女性/男性、私的/公的/2.ケアの倫理の第二世代/3.ノディングスの社会政策論/4.ニーズをめぐる議論―イグナティエフ、テイラー、ノディングス/5.ケアの倫理と法(5.1法の基礎は応報的正義である/5.2法の一部に修復的正義をとりいれる/5.3ケアの倫理に基礎づけられた法)
第10章 ケア対正義論争―統合から編み合わせへ― 214
1.反転図形の比喩再論/統合から編み合わせへ(2.1オーキン―正義によるケアの統合/2.2クレメント―相補的基礎づけ/2.3ヘルド―ケアと正義の編み合わせ)/3.家庭と正義/4.具体的他者と一般的他者/5.ケア対正義論争のひとつの到達点
第11章 ケア関係における他者 241
1.ベナーのケア論/2.現象学の他者論の系譜(2.1フッサール―「あたかも私がそこにいるかのように」/2.2ハイデガー―共現存在と各自の死/2.3メルロ=ポンティ―相互身体性/2.4サルトル―まなざしとしての他者/2.5レヴィナス―絶対的他者/2.6デリダ―正義と法)/3.ケアの倫理にたいするコーネルの評価と批判/4.ケア関係における他者
第12章 むすび 265
1.責任原理とケアの倫理が共有する特徴/2.分配的正義への回収は可能か/3.「正義の他者」と「正義と境を接するもの」
註 281
あとがき 298
引用参照文献 318
事項索引 322
人名索引 325 |