研究への取り組み
English
ナレッジディスカバリ−プロセスとは、知識発見におけるプロセス全体をさしており、ナレッジディスカバリやデータマイニング、ナレッジクリエーションなど企業全体の情報活動を含むものとして考えられる。
KDD(知識発見)プロセス
- 入力システム・・・・情報機器の普及が進み、社内には多くのデータ蓄積が存在する。しかし、それらは、明確な意思を持って蓄積されているものではなく、「たまたま」蓄積されているもので、中には何の利用もされずに、消失していくデータが少なくない。POSや受発注システムなどの入力システムは、それらデータ蓄積の源泉となるが、特にアメリカにおいて、それらを業務の合理化のツールとしてしか認識されてこなかった。しかし、近年、そうしたデータの有効利用が注目を浴びつつあり、データの入力システムとしてシステムアーキテクチャに関係してくることになる。また、そうしたデータの蓄積、管理技術としてデータウェアハウスが現れる。1990年代における情報システム・アーキテクチャーの『要』であり、主に企業経営者およびエンドユーザーの意思決定を支援すべく社内外より集められたデータを一元的に格納管理したものが、データウェアハウスである。こうしたものから、社内外のデータベースが構築されている。
- データベースアーキテクチャ・・・・入力システムなど、業務システムで蓄積されたデータは、何らかのデータベースシステムで、コンピュータ内に蓄積される。そもそもデータベースの多くは、提携業務処理のために構築されているもので、情報系などの分析プロセスから出てくる多様な要求に柔軟に対応することが難しいとされている。また、データベース構築の際に、あらかじめあらゆる必要なデータを設計しなければならず、分析に必要なデータや属性などが、この段階で欠落してしまうことも多い。今後、こうした分析に対しても有効なデータベースアーキテクチャが求められる。
- データマイニング・・・・マイニングとは、鉱脈を掘り当てるという語源からきている。データマイニングとはまさに、膨大なデータの中から、ある有用なルールや規則性(鉱脈)を掘り当てるプロセスである。新しく有用なルールは、それほど簡単には生まれてこない。むしろ、金脈といっしょで、ほとんど失敗に終わるといっていいかもしれない。しかし、ここから得られるものは、将来のビジネスへの有用な示唆を与えてくれる可能性持っている。特に、顧客ベースの知識は今後のインターネットビジネスにおいて、重要な貢献をもたらすと考えられる。アソシエーションルールやディシジョンツリーなど、多くの研究者による成果があるが、適用例が非常に少なく、スキルの蓄積が求められる分野である。
- ナレッジクリエーション・・・・上記のようなデータマイニングによって発見された知識は、直接的に利益に結びつくものではない。それは、ビジネスシステムに体化されて初めて、利益に結びつく。もちろん、そのためには、従来のシステム設計などを大きく変更することも含まれており、柔軟なシステム構築の必要性が求められる。ナレッジクリエーションとは、そうした業務改革、システム開発、ナレッジベースの開発など、社内の知識の再統合を意味している。その中で、新しいビジネスシステムの創造に必要なナレッジベースを生み出していく。
- ビジネスシステムの創造・・・・インターネットビジネスなど、多くのビジネスは、一過性のものではなく、継続的に利益を生み出すシステムを作り出している。新しいビジネスシステムには、新しいナレッジベースが必要になる。ナレッジベースとは、スキルやノウハウの束であり、それらを統合し、顧客の価値に転換できる組織能力を持つことが、企業の競争優位につながるであろう。
応用領域

1.生産管理・・・・生産過程において、多くのデータが蓄積されている。それらの中から品質向上や合理化のためのルール発見などが考えられる。
2.業務管理・・・・受発注業務など、日々のオペレーションは多くのデータを生み出している。それらのデータの中から、重要なデータを抽出し、業務改善を促す。
3.顧客管理・・・・苦情処理センターや顧客の購買データなど、顧客に関するさまざまなデータ蓄積が社内に蓄積されつつある。それらから、将来の有望な知識を発見する。
これらは、応用領域の一例であり、さまざまな領域への応用が可能である。しかし、実際への応用はまだ発展途上であり、実装技術の開発など、課題は多い。現状としては、これらの多額の投資をするリスクはかなり高い。将来への投資という名目の元に、盲目的な情報戦略は企業の将来に重要な危機をもたらしかねないことに、注意を要する。しかし、この中でも顧客の購買データなど、顧客知識の発見は、将来性が非常に高く、多くの研究者がその重要性を認めるところである。特に、インターネットビジネスの中で、これらの重要性は大きな高まりを見せると考えられる。 →カスタマー・プロファイリング!!
カスタマー・プロファイリング

カスタマー・プロファイリングとは・・・・カスタマープロファイリングとは、FBIが使う捜査技法の1つであるプロファイリング(Ressler
and Shachtman,1992)から造った造語である。プロファイリングは、犯罪者の心理的側面から動機や行動パターンを評価することによって、犯罪者を認識する方法である。捜査官は事件についての情報をできるかぎり集め、過去の犯罪記録に事件のデータを照合することによって、犯罪の動機や犯罪者の人物像(プロフィール)を作り上げるのである。
カスタマープロファイリングは、個々の顧客の購買データの詳細な分析に基づく、有益な知識の集合と、競争優位を達成するためのそれら知識の戦略的利用法として定義することができる。この概念の基本的な考え方は、顧客それぞれの購買行動により注目し、将来の詳細な分析のために、集約すること無しに顧客の購買履歴をすべて蓄積することにある。個々の顧客の詳細なデータによって、メーカーや小売店は顧客の購買行動や選好を理解することができ、したがってそれぞれの顧客に対して満足のいく製品やサービスを提供することができる。我々は競争優位を獲得するために、情報技術に基づいた、顧客知識の利用法としてカスタマープロファイリングを提示している。
