暮らしのなかの倫理と法律(大阪医科大学看護学部)

対象:大阪医科大学看護学部1年生

■講義概要
 
  私たちはくらしのなかで「こうすべきだ」「こうしてもよい」「ああしてはならない」等の規範にしたがって生きている。こうした規範のうち、個人個人が内面から採用し、支持しているものを倫理と呼び、個人の属す国家において定められたものを法と呼ぶ。本科目では、まずは倫理と法が政治や経済や宗教等のその他の社会の要素とどのように関係しているかを教授し、ついで、将来、看護職につくひとが知っておくべき主題を素材にして、倫理規範や倫理的な思考法について教授する。 
 
■講義計画 第1回 イントロダクション—倫理、法、政治、経済、宗教 
 倫理とはどういうものか。倫理と法との類似点と相違点。社会を作り上げているその他の要素、政治や経済や宗教と倫理や法はどのように関連しているか。 

第2回 西洋の医の倫理の源流――ヒポクラテスの誓い 
 医療関係者の患者に対する「善意」に基づく医の倫理についてとりあげる。 
 

第3回 近代医学の変容—実験医学の倫理 
 19世紀の医学の転換(麻酔・微生物の発見・消毒法の発見による外科学や公衆衛生学の発展、実験医学の誕生)をとりあげ、新たな事実に対応して新たな倫理が要請されなくてはならないことを学ぶ。 
 

第4回 インフォームド・コンセントの成立の経緯 
 ナチスの強制的人体実験、ニュルンベルク綱領、世界医師会ジュネーヴ宣言、同ヘルシンキ宣言、アメリカ医師会患者の権利章典、世界医師会リスボン宣言などを参照して、現代の医の倫理の基礎であるインフォームド・コンセントがどのようにしてできあがってきたかを学ぶ。

第5回 インフォームド・コンセントの倫理的根拠と法的根拠 
 インフォームド・コンセントが、なぜ、必要なのか、その倫理的根拠と法的根拠を学ぶ。 
 

第6回 脳死と臓器移植(1) 
 日本で1997年に成立した臓器移植法と29年によるその改正を事例としてとりあげて、倫理と法の立場の異同を考えてみよう。まずは、脳死が生じるメカニズムを話し、「脳死はひとの死か」論争の争点を学ぶ。 
 

第7回 脳死と臓器移植(2) 
 1997年の臓器移植法と29年のその改正点とを比較して、法的決定のなかでどのような問題がどのように解決され、そしてまた、どのような問題が新たに生じてくるかを考える。 
 

第8回 ケアの倫理 
 看護にはもちろん、日々のくらしのなかの人間関係は、たんに法を遵守するだけでは足りず、気づかい(ケア)を必要としている。ケアする態度とはどのようなものか、ケアの倫理は何を求めるのか、について学ぶ。  

■成績評価
の方法
 毎回の小テストで評価する。
■教科書  なし。プリント配布。
■参考書  R.M.ヴィーチ『生命倫理学の基礎』品川哲彦監訳、メディカ出版、など、授業中に指示する。 

 

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