現代哲学講義(大阪大学)
■講義題目 |
正義の概念と基本思想 |
■授業の目的 |
「正義(justice)」は、古くから倫理学、政治哲学の基本概念のひとつだったが、1970年代以降、ふたたび脚光を浴び、倫理学、政治哲学の最も重要なテーマのひとつとなった。本講義では、その概念を整理し、基本思想をとりあげる。 |
■講義内容 |
(1)正義の基本概念、(2)現代正義論の基本的枠組み、(3)正義を基礎とする理論への異議申し立て、の三つの部分に分けて、講義を展開する。 |
■キーワード | 正義、分配的正義、匡正的正義、応報的正義、労働、所有、人格、物件、人間の尊厳、リベラリズム、リバタリアニズム、ケア、他者、責任 |
■講義計画 |
講義内容に記した順にしたがい、(1)では、まず正義の諸概念を整理し、アリストテレス、ロック、カントをとりあげて古代から現代に至る分配的正義の概念の変化をたどり、(2)ではロールズ、ノージックの間の正義の原理の概念の差異、カントを継承する討議倫理学の構想、正義を基礎におく倫理理論に対応する道徳心理学理論(コールバーグ)をとりあげ、(3)では、正義概念の歴史的な展開に対してその外部に位置づけられてきた存在――女性、他者、未来世代と自然――を念頭においた異議申し立てとして、この順に、ギリガンらのケアの倫理、デリダによる法の脱構築としての正義、ヨナスの責任原理に言及する予定である。特定のテクストは用いないが、参考文献は授業中に紹介する。 |
■成績評価 の方法 |
成績評価は学期末に提出してもらうレポート(2000字程度)による。 |
■教科書 |
プリント配布。 |
■参考書 |
『正義と境を接するもの 責任という原理とケアの倫理』(品川哲彦、ナカニシヤ出版、2007年) 『現代倫理学の冒険』(川本隆史、創文社、1995年) 『自由主義の再検討』(藤原保信、岩波書店、1993年)など。 |
■受講生へのメッセージ |
受講者の人数にもよるが、基本的に講義形式の授業を行う予定。講義内容はかなり基本的なところを押さえる。 |
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