倫理学演習

■講義概要
 
 倫理学(道徳哲学)は、哲学の一分野であり、また、デカルトその他の哲学者によって哲学の果実のように位置づけられてきた重要な分野である。ただし、倫理学のあつかう問題が社会生活に関わるために、この分野は、法、政治、経済、宗教などとも深い関連をもっている。その意味で、学際的(interdisplinary)な関心を要する分野である。
 倫理学(道徳哲学)に関心を深くもつ受講生を対象に、倫理学の重要文献を読解することで、倫理学的思考の訓練をする。
■講義計画  今年度は、倫理学の歴史全体に目配りのきいた展望を示しているノーマンの『道徳の哲学者たち』第2版を輪読していく。あらかじめ担当者を決め、担当部分(だいたいひとつの章の半分くらい)をまとめてもらい、それにたいする質疑応答によって授業を進めていきたい。1回に進む量は、各章のおよそ半分。日本語にして20ページ程度の予定。
 なお、予習をしていなければ、参加する意味がない。予習のために、授業支援システムを利用して、小テストをおこなう予定である。

§1ガイダンス
§2プラトン(1) p.18-p.27  §3プラトン(2) p.27-p.45
§4アリストテレス(1) p.46-p.59 §5アリストテレス(2) p.59-p.68
§6利己主義と利他主義(1) p.69-p.79 §7利己主義と利他主義(2) p.79-p.88
§8ヒューム(1) p.88-p.100 §9ヒューム(2) p.100-p.117
§10カント(1) p.119-p.133 §11カント(2) p.133-p.149
§12カント(3) p.149-p.174  §13ミル(1) p.157-p.174
§14ミル(2) p.174-p.186

§15ガイダンス
§16ヘーゲル主義(1) p.186-p.201 §17ヘーゲル主義(2) p.202-p.220
§18ニーチェ(1) p.221-p.237    §19ニーチェ(2)p.237-p.252
§20マルクスとフロイト p.252-p.268 §21 事実と価値(1) p.268-p.283
§22事実と価値(2) p.283-p.306
§23功利主義とその対抗説(1) p.307-p.325 §24功利主義とその対抗説(2)p.325-p.333
§24功利主義とその対抗説(3) p.333-p.350 §25倫理の世界(1) p.350-p.361
§26倫理の世界(2) p.361-p.390   §27-§28 補遺
■成績評価
の方法
定期試験を行わず、出席・レポート・平常試験など(平常成績)で総合評価する。
■教科書
 
リチャード・ノーマン   『道徳の哲学者たち』第2版   ナカニシヤ出版  
 
■参考書 ロバート・M・ヴィーチ   生命倫理学の基礎   メディカ出版   冒頭部分に倫理学全体の見取り図がある。
D.D.ラファエル   道徳哲学   紀伊国屋書店   やや功利主義に偏るが、主要な倫理理論を適切に説明している。
アラスデア・マッキンタイア   西洋倫理思想史 上・下   九州大学出版会   著者独自の見解にあふれた哲学史の概説書
ヒルシュベルガー   西洋哲学史 1−5   理想社   もし、大学院に進学して研究を続ける意志があるなら、哲学史上の知識をある程度身につけておくことが望まれる。

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