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Cultural Symbiotic 2005
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1.プロジェクトの目的

 2006年4月から文化共生学専修が立ち上がりましたが、現2年生以上のみなさんは、この専修で学ぶことができません。したがってわたしたちは、テーマ・プロジェクト「文化と共生」を開設することによって、この学問に関心のあるみなさんに門戸を開け、授業を提供したいと考えております。
 このプロジェクトの「文化と共生」については、このSTYLE BOOKの冒頭(3ページ)にある「1.文化共生学とは」をお読みください。みなさんが所属する専修の学問を学びながら、平行して「文化と共生」の問題に取り組んで、幅広い見識を身につけてもらいたいと思います。
 文化共生学は、最近ようやく注目されるようになり、その学問に対して期待が集まりつつあります。わたしたちはこの学問領域が、21世紀のトレンドになると確信しています。2年次生のみなさん、どうか新しい学問の扉を開いてください。きっと新次元の学生生活が展開されるはずです。


2.プロジェクトの内容

 プロジェクト「文化と共生」では、わたしたち教員スタッフの専門領域を勘案して、以下のような4つの授業の柱を立てています。とくにヨーロッパ(フランス、ドイツ)と日本をフィールドにした授業内容が中心になります。具体的には5.授業シラバスをご覧ください。

 (1)ジェンダー論
 (2)風俗文化論
 (3)モノの文化論
 (4)色彩論


3.プロジェクトの授業科目について

 ・ プロジェクト講義a:ジェンダー論からみた魔女狩り〔3年次配当 2単位〕 
 ・ プロジェクト講義b:「顔」の比較文化論〔3年次配当 2単位〕 
 ・ プロジェクト演習a:驚異のコレクションと庭園の思想〔3年次配当 1単位〕 
 ・ プロジェクト演習b:色彩とコミュニケーション〔3年次配当 1単位〕  
 ・ 卒業演習 〔4年次配当 通年2単位〕下記教員のうち、テーマに応じ2名が担当。
 ・ 卒業論文 〔4年次配当 通年4単位〕同上。


4.プロジェクト担当教員

 以下の4名の教員が担当します。全員、所属は文化共生学専修です。

伊藤 誠宏(いとう まさひろ)

担当:プロジェクト演習b

専門分野:色彩論 リスク論 フランスバロック文化

著書・訳書:『色彩の魔力』(明石書店)、『若者の感性とリスク』(北大路書房)



柏木 治(かしわぎ おさむ)

担当:プロジェクト講義b

専門分野:社会風俗史 文化イデオロギー 19世紀フランス文学 

著書・訳書:『ヨーロッパの祭りたち』(明石書店)、『色彩の魔力』(同)、『スタンダール変幻』(慶應義塾大学出版部)、『衣服の精神分析』(産業図書)など。



浜本 隆志(はまもと たかし)

担当:プロジェクト講義a

専門分野:比較文化論 ジェンダー論 マイノリティ論

著書・訳書:『魔女とカルトのドイツ史』(講談社)、『指輪の文化史』(白水社)、『「ジプシー」の伝説とメルヘン』(明石書店)、『アクセサリーが消えた日本史』(光文社)、『モノが語るドイツ精神』(新潮社)など。



森 貴史(もり たかし)

担当:プロジェクト演習a

専門分野:ドイツ文化論 植民地主義と異文化理解 旅行とツーリズム

著書・訳書:『ドイツ語が織りなす社会と文化』(関西大学出版部)、『特殊戦闘車両』(大日本絵画)、『一八世紀ドイツビールの博物誌 完全なるビール醸造家』(関西大学出版部)、『中世ヨーロッパ放浪芸人の文化史 しいたげられし楽師たち』(明石書店)など。




5.授業シラバス


プロジェクト講義a 担当:浜本 隆志 テーマ:ジェンダー論からみた魔女狩り

ヨーロッパでは、16−17世紀にかけて魔女狩りの嵐が吹き荒れ、多数の女性が残酷な拷問の後、魔女として処刑されました。本授業では、なぜ当時の人びとが集団妄想に駆り立てられ、魔女狩りに狂奔したのかを解明することを目指します。こうして女性差別を通して、共生の問題を考えたいと思います。予定している12回の講義は次のとおりです。

@ キリスト教以前の女神信仰と
  魔女との関係

A 魔女飛行伝説とサバト伝説の生成

B 聖母マリアと魔女の二極分化

C 舞踏病、鞭打ち苦行集団の流行

D オオカミ男伝説の虚像と実像

E 動物裁判という制度

F 魔女狩りと集団妄想

G 魔女裁判と拷問

H 儀礼としての公開処刑

I 子供を巻き込んだ魔女狩り

J 魔女狩りに抵抗した人びと

K ジェンダー論からみた魔女狩り




プロジェクト講義b 担当:柏木 治 テーマ:「顔」の比較文化論

自分の顔、他人への顔に対する関心は、古来さまざまな文化をつくりあげてきました。仮面や化粧術にはじまり「顔の科学」としての観相学(人相学)、額相学、骨相学にいたるまで、ヨーロッパでも「顔」は重要な文化的磁場を構成しています。本講義では、観相学の発達と変遷から出発して、化粧意識の地域差、社会階層ごとに典型化される顔、民族による顔の類型と差別意識などを論じながら、顔の比較文化論へと議論を進める予定です。

@ 顔の文化史――導入

A 観相学(人相学)の起源と発達

B 礼儀と表情
  ――宮廷文化における顔の役割

C 動物の顔/人の顔

D 化粧術の変遷

E 観相学(人相学)の衰退と復活

F 18、19世紀における「顔の科学」

G カリカチュアのなかの顔

H 異国の顔――植民地の身体

I 外国人が見た日本人の顔・日本人が
  見た「ガイジン」の顔

J 顔にみる近代化

K 顔が語る比較文化論




プロジェクト演習a 担当:森 貴史 テーマ:驚異のコレクションと庭園の思想

「モノを収集すること」は人間の欲望であって、それが不思議なモノであればなおさら、その度合いは高まります。それは同時に、置き場所や収納の方法を考えることになるのです。また収集の対象によって、収納場所が博物館、図書館、庭園になっていきます。この授業では、そんな不思議なモノや、収集と保存の思想、歴史的背景について分析します。

@ 驚異の陳列室(ヴンダーカンマー)

A 自然と人工の不思議なモノたち

B 庭園都市ヴェールリッツ

C ゴットルフの巨大地球儀と庭園

D 地図と時計の秩序

E 無人島をマッピングする

F 人造人間の創造

G ゲッティンゲンの教会図書館

H ファンタスマゴリア(幻灯機)

I 人体を探検する

J 自分だけのユートピア

K 人間の欲望をコレクションする




プロジェクト演習b 担当:伊藤 誠宏 テーマ:色彩とコミュニケーション

近年、人間関係において、「自分の思いが、相手にうまく伝わらない」と悩む人が多いと言われています。自分の思いを相手により正確に理解してもらう伝達手段は「ことば」だけではありません。本講義では、「色彩による意志伝達」をさまざまな視点から検討してみようと思います。色彩と文化、色彩と心理、欧米と日本の色彩イメージ比較、色彩化社会、他のコミュニケーション手段との比較などを論じながら、色彩による意志伝達とその効果を考えてゆく予定です。

@情報をどう読むか

A色彩とコミュニケーション

B花とコミュニケーション

Cリスクとコミュニケーション

D非言語コミュニケーション

Eコミュニケーション効果




卒業演習 卒業論文:学生諸君の関心のあるテーマと担当教員との合議による

・卒論のテーマ例示
ヨーロッパの祭り 庭園と風景論 色彩と心理 色彩文化 フランス風俗史 魔女と聖女 ヨーロッパの仮面と日本の仮面 ロマとヨーロッパ文化 植民地文化とその受容 衣装文化論 食の比較文化論 オタク文化論 表現文化論(手塚治虫論、高橋留美子論、富野由悠季論、庵野秀明論、押井守論など)