関西大学大学院文学研究科哲学科では、すでに、幾人かの課程博士が育っています。学位は博士(文学)です。 課程博士とは、大学院博士後期課程の単位を取得し、ひきつづき、博士論文を提出し、博士の学位をみとめられたひとをいいます。 これまで、日本の文系では、博士後期課程を修了したひとでも、すぐには、博士論文を提出する慣習はありませんでした。これにはいろいろな 事情があるでしょうが、ひとつには、博士号というものをきわめて重く考えていたために、すでに押しも押されもせぬ業績をあげた方のみが 博士という名誉ある称号にふさわしいという判断があったからでしょうし、またひとつには、単一の著者による学術的著作を世に問うことが、 実質、博士論文に相当するものとみなされていたためもありましょう。 しかし、海外や、日本でも理系の場合には、むしろ、大学院の修了時点ないしは数年後のうちに博士の学位を取得する傾向がすでにあり、日本の 文系も、近年、その方向に進みだしました。 とはいえ、博士論文を提出するには、むろん、相応の努力と精進が必要です。学位には、大学の学部を卒業した時点で授与される学士(bachelor)、 大学院の博士前期課程および修士課程を修了した時点で授与される修士(master)があり、そのうえに位置する博士(doctor)は、とくに文系では、 卒業論文、修士論文で継続的にとりくんできた研究を集成してようやく完成するものですから。 ここに名前をあげているのは、その成果を出した若き研究者たちです。 なお、上記のような新しい潮流になるまえに大学院を修了したひとたちは、従来と同様、希望する大学院に学位請求論文を提出し、受理され、 審議をへて、博士の学位を授与されることができます。課程博士と学位としてのちがいはありませんが、その審査過程のプロセスの違いから、 便宜上、論文博士と呼んでいます。
伊藤信也(いとう しんや) 「若きヘーゲルとナショナリズム」
酒井 剛(さかい つよし) 「ショーペンハウアーの身体論」
川口輝夫(かわぐち てるお) 「心と実在 −ヴァスバンドゥ思想の研究−」