ゼミ紹介
ゼミの研究テーマは国際マーケティングで,次の5つの基本方針で活動しています。と言ってもまだ若輩ゼミですので常に念頭におきたい目標と言った方が適切かもしれません。
1)理論の重視
理論無くして複雑な経済現象を理解することはできません。ところが現実をより良く理解するための理論を探し出すには膨大な量の文献を猟歩しなければなりません。研究テーマに応じて,日本語,英語にかかわらず,論文や書籍をコツコツと読んでいくしかありません。大変な作業ですが,一人夜中に文献と格闘していると,時に自分の思考に大きな影響を与えてくれるものに出会うことがあります。「深夜2時の感動」の後には一回り大きくなった君が居ます。
理論の海にどっぷりと浸かりきるといつしか自分なりの問題意識がはっきりとしてきます。こうした問題意識を分析フレームや仮説に落とし込んでいきます。次に待ち受けているのは「現実のチェック」です。
2)データは足で稼ぐ
理論を現実のフィルターに通過させるためにはデータが必要です。そして,このデータ収集はとても重要なプロセスです。なぜなら,自分たちでアンケートを作成したり,めったに受け入れてもらえない企業インタビューに緊張しながら赴いたり,日本の常識が通用しない外国で現地調査をおこなったりすること自体に大きな意味があるからです。実は,自分たちの知りたいことを「測定する」ことこそがとても難しいのです。なんらかの調査を行った後に初めて「何を測定したかったか」がはっきりすることもしばしばです。
3)実証分析
理論をデータによってチェックする時にはさまざまな分析手法を用いることができます。統計解析,ケース・スタディー,実験,シミュレーション...どんな手法であれ,まずはやってみることが大切です。近頃のソフトウエアはかなりユーザー・フレンドリーになってきているのでなんとかなります。いや,正確に言うと何とかしてもらう必要があります。私はデータ分析の専門家ではないので,一緒に勉強していくわけです。
4)情報発信
論文を執筆して,報告の機会があればどこにでも出かけていくのが基本姿勢です。ウェブでの公開,懸賞論文への投稿,学会や研究会での発表,討論会のオーガナイズなどなんでもやります。よりシビアに批判してもらえる場所ほど報告の意義があります。自分たちの研究成果をよりよいものにするためには欠かせません。まあ,相当の「度胸」が求められますが,場数をふめばなんとかなります。
5)ビジネスへの応用
ここまでは教員である私がお手伝いできることですが,学生の皆さんにはこのゼミで得たものの見方やスキルを実社会で活用するという大きな課題が残っています。まあ,これは私の切なる願いでもあります。
また今後は,最近増えているビジネス・アイデア・コンテストにも参加してみようと考えています。一昔前の学生と最近の学生との違いのひとつは,良きにつけ悪しきにつけ「起業」に関心を持っている点だと思われます。ゼミでの学習の成果をこういう場で問うことは,学生にとっても教員にとっても良いリトマス試験紙になるでしょう。
2005.4.24