地方財政論

理論・政策分野 後期集中4単位 月曜日4限―木曜日1限

  1. 講義要項
  2. 1998年度 『地方財政論』 まとめ
  3. 2001年度 地方財政論講義内容のまとめ(林 2部)
  4. 1998年度 (1部)地方財政論 後期試験問題
  5. 1998年度 (2部)地方財政論 後期試験問題
  6. 1999年度 (1部)地方財政論 後期試験問題
  7. 1999年度 (2部)地方財政論 後期試験問題
  8. 2000年度 (1部)地方財政論 後期試験問題
  9. 2000年度 (2部)地方財政論 後期試験問題
  10. 2001年度 (2部)地方財政論 後期試験問題
  11. 2001年度 (2部)地方財政論 後期試験問題 解答への指針
  12. 2003年度 地方財政論 試験問題
  13. 2004年度秋学期  地方財政論  講義まとめ

 




講義要項


[講義概要]

 本講義の目標は、国の財政とともに車の両輪をなす地方財政について、その現状と課題について理解・検討することである。3,300を数える市町村や都道府県の地方公共団体の活動は、わたしたちの日常生活においてきわめて身近なものでありながら、その仕組みや実態に関する一般の知識や理解は必ずしも十分とは言えないのが現状である。地方公共団体には、人口数百人の村から1,000万人を超える東京都までさまざまな状況があり、その理解には、制度と理論の両面からの接近が必要となる。また、最近特に議論が活発化している「地方分権」をキーワードにしながら、地方財政改革の方向性についても考えてみたい。

 [講義計画]

第1章 地方財政の機能    財政の役割 財政システムと財政の規模  地方財政の役割 

第2章 地方財政の仕組みと課題   地方制度と地方財政  地方分権の推進  地域福祉と介護保険 

第3章 地方公共支出の経済学  地方公共財の最適供給 生産と予算の効率性

第4章 地方財政の動向−歳出・歳入構造と財政指標−  地方の歳出構造 地方団体の歳入構造 地方財政の実態−財政指標−

第5章 地方税原則と地方税体系   地方税原則  国と地方の税源配分  地方税体系 

第6章 地方税制度の現状と改革の方向   個人住民税  地方の法人課税  地方消費税  固定資産税  地方譲与税
 
第7章 地方交付税   地方交付税の意義  地方交付税の仕組みと現状  交付税改革の課題  諸外国の財政調整システム 

第8章 国庫支出金   国庫支出金とは  補助金の経済効果  国庫支出金の現状と課題
 
第9章 地方債   地方債の発行  地方債の現状  地方債と国の関与
 
第10章 公営企業と民間活力   地方公営企業  民間活力と公共部門 

[教科書]

林・橋本『地方財政入門』(仮題、中央経済社、2002)

[授業評価の方法]

定期試験による。講義中に小テストを数回実施する予定。

[受講生への希望]

財政学を履修済みであることが望ましい。


1998年度 『地方財政論』 まとめ




1.地方財政の機能

財政の機能と地方財政の機能

2.公共財の特性
公共財の需要曲線
「警察や消防の民営化」

3.地方の経費構造
目的別
性質別

4.地方の歳入構造
自主財源と依存財源
一般財源と特定財源

5.地方税と税制改革

6.地方税
租税原則
地方税原則

7.個人住民税の改革

8.固定資産税の改革

9.地方法人課税(事業税)の改革

9.地方消費税の創設

10.国と地方の財政関係
補助金の意義と目的

11.地方交付税
地方交付税の算定(基準財政需要額と基準財政収入額、交付税率)
地方譲与税

12.国庫支出金
一般補助金と特定補助金の効果(無差別曲線)

12.地方債


2001年度 地方財政論講義内容のまとめ(林 2部)


1.財政の機能(政府の役割)
      資源配分機能(公共財の供給)
      所得再分配機能
      経済安定機能

2.地方財政の機能
      地域公共財の供給、地域福祉

3.地方の経費
      目的別分類と性質別分類

4.地方の歳入
      依存財源と自主財源
      一般財源と特定財源
      経常財源と臨時財源

5.地方税
      租税原則:公平、中立、簡素
   地方税原則:安定性、普遍性、応益性、地方自治の原則、負担分任の原則
      国の地方税法:超過課税、標準税率、制限税率

6.地方税改革
 @ 比例税化による個人住民税改革

 A 固定資産税の問題      土地評価の問題(収益還元)

 B 事業税改革(地方による法人課税)      付加価値ベースの課税

 C 地方消費税

7.国から地方への補助金
 @ 地方交付税
      基準財政収入額と基準財政需要額
      財源と交付額のアンバランス
      交付税特会(地方交付税及び譲与税配付金特別会計)の借入れ

 A 国庫支出金、地方譲与税

8.地方債



1998年度 (1部)地方財政論 後期試験問題


T 次の語句を用いて文章を作成せよ。
1.市町村,都道府県,固定資産税,住民税,事業税


2.税収の安定性,税源の普遍性,負担分任の原則,応益性


3.自主財源,依存財源,特定財源,一般財源


U 次の3つの事柄のうち2つを選択して説明せよ。


1.地方交付税の仕組みと意義
(仕組みは簡単でよい)


2.わが国の地方税が抱える課題と改革の方向


3.一般的な財政の機能と地方財政の役割

 


1998年度 (2部)地方財政論 後期試験問題


T 以下の用語について説明を加えよ。

1. 地方税の原則としての普遍性、安定性、負担配分における応益性の重視

2. 依存財源と自主財源

3. 一般財源と特定財源

4. 地方住民税

U 次のいずれかを選んで論述せよ。

1. 地方財政の果たすべき機能について

2. 我が国の地方税が抱える課題について(改革の方向について)


1999年度 (1部)地方財政論 後期試験問題


T 次のうち1つを選んで論ぜよ。

(1)国と地方の財政関係
(2)地方財政の機能

U 次の語句を説明せよ。
(1)地方消費税
(2)自主財源と依存財源
(3)地方税の原則


1999年度 (2部)地方財政論 後期試験問題


T 次の3問から2問を選択

1. 地方税の原則を説明せよ。

2. 地方交付税の意義と仕組みを説明せよ(仕組みは簡単でよい)。

3. 地方財源の分類について述べよ。

U.消防や公園の設置・運営・管理が民間ではなく市町村によって行われるのはなぜかを論ぜよ。


2000年度 (1部)地方財政論 後期試験問題


T. 次の語句を用いて文章を作成せよ。ただし、1つないし2つの語句は利用する必要はない。

1. 一般補助金、特定補助金、地方交付税、国庫支出金、事業税、所得税、法人税

2. 所得税、事業税、地域偏在、安定性、応益原則、応能原則、赤字法人

U. 次の用語を簡単に説明せよ。

1. 基準財政需要額、基準財政収入額

2. 標準税率、制限税率

3. 普遍性の原則

V. 次の2つのうちから1つを選んで論述せよ。

1. 公共財の特質

2. 日本における、国と地方の財政関係


2000年度 (2部)地方財政論 後期試験問題


T かっこ内に下の語群から適当な語句を選んで記号を記入し、文章を完成させよ。

1. 市町村の中心的な税は、( )と( )である。

  a)住民税 b)事業所税 c)固定資産税 d)所得税 e)法人税 f)消費税 g)事業税 h)たばこ消費税

2. 都道府県の中心的な税は、( )と( )である。

  a)住民税 b)事業所税 c)固定資産税 d)所得税 e)法人税 f)消費税 g)事業税 h)たばこ消費税

3. 国から地方への補助金には、( )のようにその使途が限定されない( )と、( )のように使途を限定さえた( )とがある。

  a)特定補助金 b)一般補助金 c)定率補助金 d)定額補助金 e)地方交付税 f)国庫支出金 g)目的補助金 h)地方配分税

  i)地方財政負担金

U 次の3つのうちから2つを選んで説明せよ。

1. 公共財の特性

2. 地方税の原則

3. 地方財政の機能


2001年度 (2部)地方財政論 後期試験問題


T 次の語句を用いてテーマに沿った文章を作成しなさい。

1.地方公共団体の財源について

一般財源、地方交付税、国庫支出金、依存財源、地方税、自主財源、地方債、特定財源

2.国と地方の役割分担

所得再分配、経済安定機能、公共財の供給、6対4、約160兆円

U 次の用語を簡単に説明せよ。

1.標準税率、制限税率

2.地方税の原則

V 次の2つのうちから1つを選んで論述せよ。

1.個人住民税改革について

2.都道府県の事業税改革について


2001年度 (2部)地方財政論 後期試験問題 解答への指針


T 次の語句を用いてテーマに沿った文章を作成しなさい。

1.地方公共団体の財源について

一般財源、地方交付税、国庫支出金、依存財源、地方税、自主財源、地方債、特定財源

地方団体の歳入の区分

    経常財源 臨時財源
自主財源 一般財源 地方税
使用料・手数料
財産収入
寄付金
  特定財源    
依存財源 一般財源 地方交付税
地方譲与税
 
  特定財源 国庫支出金(経常分) 地方債
国庫支出金(建設事業分)

地方団体の歳入について、上記の表を理解したうえで記述してもらいたい。

2.国と地方の役割分担

所得再分配、経済安定機能、公共財の供給、6対4、約160兆円

 財政の機能のうち、国は所得再分配と経済安定、そして全国民的な広がりを持つ公共財を供給し、地方は主に地域的に受益が限定される公共財の供給を主たる役割としていることを理解し、約160兆円の財政支出は純計ベースで見ると6対4の割合で地方の占める比率が高いことを説明してもらいたい。

U 次の用語を簡単に説明せよ。

1.標準税率、制限税率

 地方税法に定められた通常適用すべき地方税の税率を標準税率といい、地方交付税基準財政収入の算定の際にはこの標準税率が利用される。財政状況が苦しいときなどに、標準税率を超えて超過課税を行うことはできるが、地方税法に定められた制限税率が上限となる。

2.地方税の原則

 税収に関する原則の第1は、収入が十分なものであり、かつ税源に地域間で偏りのない普遍性があることである。税収に関する第2の原則は、税収の変動に関することで、収入に安定性があることが求められる。地方税収ついては、経済規模の拡大につれて量的に増大する行政需要への対応を図るために、収入に伸張性があることも求められるが、先の安定性と合わせて、経済成長に対する弾力性が1という意味で安定して増加するものが望ましい。
 負担の公平に関する原則は、負担配分においては、国税と比較して応益原則を重視すべきというものである。また、できるだけ多くの住民で負担を分け合うべきという、負担分任の原則も導き出される。
 このほか、地方税には地域自治の観点から、地方団体の自主性も求められる。

V 次の2つのうちから1つを選んで論述せよ。

1.個人住民税改革について

 現行の個人住民税が抱える問題点を指摘し、比例税化などによる解決の方向を論じる。

2.都道府県の事業税改革について

 現行の事業税が所得課税であることから生じている問題点を指摘し、外形標準課税の導入などによる解決の方向を論じる。


Copyright(c) 1999  by Hiroaki Hayashi
Last Updated 03/03/07
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