「マルチメディアと図書館」研究グループ

研究例会報告


テーマ:「Web2.0時代の大学図書館」

発表者:北克一(大阪市立大学大学院創造都市研究科兼学術情報総合センター)

日時:2007年5月26日(土)14:30〜16:30

会場:大阪市立大学梅田サテライト会議室


今回は、北克一氏より「Web2.0時代の大学図書館」について、その現状と問題点についてお話いただいた。

Web2.0とは、「ウェブをプラットホームとするオープン志向、ユーザ中心(オリエンテッド)、ネットワークの外部性の活用といったインターネットの開放性思想に基づいて提供されるサービスの次世代フレームワーク概念である。」「特定の技術やサービスを指すのではなく、インターネット環境下のWebの大きな変化そのものや、その新しいトレンドを意味している。」との定義をふまえて、Web2.0と関連付けて言及される技術やサービス、コンテンツとして、Ajax、Agile、LAMP、オープンソースソフトウェア、外部APIとマッシュアップをはじめとして多く紹介された。

次に、Web2.0の構成要素として、みんなで分類するという「フォークソノミー」、アマゾンのユーザーレビューに見られるような「サービスへの協力者」、Wikipediaに見られる「性善説」、GoogleのAdSence広告に見られる「ロングテール」、mixiに見られる「ユーザ参加型」、goo地図に見られる「リッチユーザインターフェイス」、P2Pネットワークによるサービスの「進歩的な分散志向」の7つの要素が挙げられた。また同時に、それらには「光」の部分だけでなく「影」の部分もあることにも言及された。一例として、みんなの意見は本当に正しいのか、支える技術のひとつJava Scriptはセキュリティの穴が多い、などの問題点が指摘された。

最後に、Web2.0の代表とされるGoogleの動きと、大学図書館で現在進行中の電子図書館、電子ジャーナル、機関リポジトリ、知識情報基盤の動向との比較を通じて、今後の大学図書館の進むべき道について問いを投げかけられた。

(文責:村上泰子)