「マルチメディアと図書館」研究グループ

第60回研究例会報告


テーマ:「ICOLCの動向について(ICOLC:International Coalition of Library Consortia)」

発表者:村上泰子(梅花女子大学)

日時:2002年3月30日(土)14:30〜17:00

会場:大阪市立大学学術情報総合センター10階会議室


ICOLCはコンソーシアムのコンソーシアムとして1997年に正式に発足し、2000年9月現在加盟機関数150を数える。地域別に見ると北米が約7割近くを占めている。ICOLCの重点施策はライセンス契約、資金調達、サーバの導入、システム相互リンク計画(ヴァーチャル総合目録、エンドユーザILLを含む)、共同蔵書管理等いくつかあるが、中でも特に成功している分野がライセンス契約とシステム相互リンクに関わる分野である。またICOLCの当面の関心もライセンス契約に置かれている。

ICOLCは1998年以降3つの重要な文書を公表しているが、その中で最も基本的な方針を示しているのが『電子情報の選択と購入に関する現在の展望と望ましい実践』(Statement of Current Perspective and Preferred Practices for the Selection and Purchase of Electronic Information)である。この基本方針書は1998年にはじめて公表されたのち、2001年に改訂された。その二つを比較すると、ICOLCの政策展開の方向性を窺い知ることができる。これまでに取り組まれてきた課題に対してはより具体化の方向に進み、未実施の課題に対しても新たな取組みを進めている。

全体として図書館協力の姿が事後協力から事前協力への展開を見せている。このことが図書館という組織のあり方にも大きな影響を与えであろうことは否めない。

なお、詳細については『情報の科学と技術』52巻5号(2002)「International Coalition of Library Consortia (ICOLC)の動向」(p.266-271)を参照されたい。

(文責:村上泰子)