テーマ:「OPACにおける目録構造(中間報告)」
発表者:村上泰子(梅花女子大学)
日時:1999年1月23日(土)15:00〜17:00
会場:大阪市立大学あべのメディックス
<はじめに>
今回はカード目録の場合とは異なり、コンピュータ目録において結果的に検索キーとして使用されている記述の形式と対象に着目しつつ、OPACにおける目録構造について検討した。
<記述の水準>
各水準で目録を作成した場合、容量差が決して大きいとは言えないことを示し、作成労力の問題はあるものの、国際的書誌交換機関である国立国会図書館や学術情報流通に中心的に関わるような大学図書館等の機関においては、国際的な書誌情報の交換に十分に対応可能とされる第3水準を志向することが必要であるのではないか、と提言した。
<ISBD区切り記号法>
上記のような機関において第3水準に基づいた書誌データが作成された場合、他館はその館種や規模に応じてそこから必要な項目だけを抽出する仕組みが提供されていればよいことになる。そのひとつの手がかりがISBD区切り記号法であるが、目で見て判断するのではなく、全く機械的に処理するのには不十分な点が多いことを次の4点から検証した。
あるエリアが何に関するエリアであるか。
ひとつのエリアが複数の要素から構成されている場合、その要素は何か。
ひとつの要素が複数の下位要素から構成されている場合、その下位要素は何か。
エリア間、要素間、下位要素間の相互関係
<目録構造と内部情報源>
目録の記述の対象範囲が広がりつつあることを指摘し、記述対象資料との位置関係から内部情報源と外部情報源に分けて検討した。
内部情報源に含まれる情報が記載されるのは概ね注記であるが、注記の構造は決して効率的な検索を実現するのに適しているとはいえないこと、構成書誌単位と目次の認定に「著作性」の判断が必要とされること、構成書誌単位の記述の情報源や記述要素にも問題があること、を指摘した。
<目録構造と外部情報源>
書評等の外部情報源が図書館外部のサーバ(出版者等のサーバ)に置かれて提供されるケースが見られるようになっている。データの管理が不安定な場合も多いと考えられ、その対策として安定的なリンク構造を維持する仕組みが必要となる。その仕組みとして考えられうる技術について紹介した。
<質疑>
構成書誌単位の記述について、ガイドラインの段階ではあるが1988年に公表されているISBD(CP)が紹介された。
オンライン書店の試みとして、利用者からの様々な検索アプローチのサポートを実現したものがあるという報告がなされた。
(文責:村上泰子)