「マルチメディアと図書館」研究グループ

第26回研究例会報告


テーマ:「全学共通科目「情報探索入門」の取り組みについて−報告−」

発表者:慈道佐代子(京都大学附属図書館)

日時:1998年9月26日(土)15:00〜17:00

会場:大阪市立大学学術情報総合センター


<はじめに>

今回は、大学図書館が中心となって全学共通科目として「情報探索入門」を提供する試みについて、京都大学附属図書館参考調査掛長である慈道氏から報告があった。

<計画>

京都大学は今年度から、附属図書館が提供部局になって全学共通科目「情報探索入門」をスタートさせた。図書館が中心となった講義科目は新潟大学に先行例が見られるものの、全国国立大学でも殆ど例が無く、画期的な試みといえる。この計画は現総長の長尾真教授が図書館長であった時代に具体的提案がなされたものを、図書館がさまざまな調整を根気強く重ねた結果、ようやく実現にこぎつけたものである。授業方法や内容を具体的に決定するまでに多くの困難があったようである。

<概要>

この科目はレポートや論文を書くための情報活用技術を演習により習得することを通して、情報図書館学、情報探索学の概要を学ばせることを目的として開設され、5名の教員によるリレー方式で講義が行われ、演習補助者として図書館員が参加する形がとられた。授業は半期全13回で、レポート提出により単位認定が行われる。

以下の項目について順に、講義および演習が行われた。

図書館の参加にあたっては、これまでに実施してきた「新入生オリエンテーション」や「レポート・論文作成のための文献収集講座」などでの経験が大変役に立ったとコメントされた。

<次年度に向けて>

参加学生へのアンケートでも大変好評であり、後輩にも薦めるという学生が60パーセント近くあり、嬉しい結果であったこと、また今年度の配布資料や講義ビデオをもとにテキストを作成する計画も進行中であることなどが報告された。初年度の問題点を一歩一歩解決しつつ、この取組みを継続してゆきたいという熱意が伝わる報告であった。

<質疑>

授業内容構成の問題点についての指摘をきっかけに、情報リテラシー教育として持つべき内容および方法や構成について意見が交換された。その他、教材の提供に関して、ウェッブで公開してはどうかとの提案や、CD-ROM教材の問題点についての指摘がなされた。

(文責:村上泰子)