「マルチメディアと図書館」研究グループ

第23回研究例会報告


テーマ:「既存図書館と電子図書館の間−Part 2」

発表者:織田裕行(京都大学附属図書館)

日時:1998年5月30日(土)15:00〜17:00

会場:大阪市立大学学術情報総合センター


<はじめに>

今回は織田氏を講師に招き、京都大学附属図書館において取り組まれた図書館業務システムの更新について、その経緯と苦労などについてお話しいただいた。

<新システムの特徴>

新システムの特徴として、電子図書館システムの導入、クライアント・サーバー型への移行、学内LANの積極的活用、汎用ブラウザ対応のOPACなどが挙げられた。

今年3月からは電子図書館システム、4月からは目録、閲覧、OPACの各サブシステムとILLシステムの一部が稼動している。

<電子図書館システム>

'96年ワーキンググループが組織され、'97年に入って電子図書館システム開発が本格的にスタートした。その開発経緯について、京都大学附属図書館報である「静脩」Vol.34, no.2/4(198.3)に掲載された業務日誌をもとに説明された。

この中では、単科大学の集合体のような性質をもつ組織上の複雑さ、規模の大きさからくる意思統一の難しさ、全学の図書館システムについてサポートをする掛として、研修をゆきわたらせることの大変さやトラブルへの対処についての負荷などについて報告された。

電子図書館システムの具体的な内容については、すでに前回例会において報告されていたので省略され、今回は電子図書館システム広報パンフレットが配布された。

<質疑>

1)学内LANであるKUINSのネットワーク管理者が図書館LANのネットワーク管理(IPアドレスの管理等)を兼ねているのか、という問いに対して、図書館LANの管理は図書館で行っているとの回答があった。

2)OPACの二次検索機能(検索結果集合に対する絞り込み検索機能)の有無について質問があり、telnetでは絞り込み方式をとっているが、ブラウザでは1000件を超えると、もう一度最初から再度検索する方式であることが説明された。

3)その他、NACSIS新CAT負荷テストの実施方法について質問があった。また、電子図書館システムと図書館システムとの継ぎ目が見えないとの意見が提示され、他の電子図書館システムとの対比に話が及んだ。

(文責:村上泰子)